追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

ティネンへ8

　一行は、山と山に挟まれた場所にあるボスコという名の町に到着した。ボスコは都市間を移動する旅人の中継地といった趣きの町で、宿屋が三件と雑貨屋、食堂などが数件程度。あとは郊外に畑を持つ人々の民家が建ち並んでいるだけ…といった小さな町だ。冒険者ギルドも修道騎士団支部もない。

　強力な魔物モンスターのいない地域でああるため、町の自警団だけで十分治安は保たれているようだ。

　ルカ達はここで商隊キャラバンと別れた。彼らの目的地はルカ達の目指すティネンとはまた別の場所だからだ。

　商隊キャラバンに挨拶をして、ルカたちは宿屋へと向かう。

「いやぁ、久しぶりにベッドで眠れるのは嬉しいですねぇ」

　と安鶴沙。彼女は野営の時、「いやぁ、野営っていかにも旅、冒険って感じでいいですねぇ！」と喜んでいたが、今はベッドが恋しいようだ。

　その気持ちは、ルカにも分かる。冒険の最中は不便な野宿が楽しいのだが、ひとたび町に入ると落ち着いた部屋と柔らかかいベッドが恋しくなる。そんなものだ。

「レイミアさんもそう思いますよね？」

　そう言って、少女は振り返る。その言葉に、

「…まあね」

　と錬金術師は頷いた。彼女の目的地もティネンという事で、商隊《キャラバン》と別れた後もルカ一行に同行する事となったのだった。