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ラナキア洞窟攻略7
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夕食を食べ終えた一行は、焚火を中心にして車座になっていた。後は見張りを一人ずつ交代で立て、眠るだけだ…とルカが思ったその時、ジョゼフがふと口を開いた。
「なあ、ルカ君。ルカ君はどうして冒険者なんてやってるんだ?」
「…僕ですか?」
「ああ、ルカ君の歳で冒険者なんて珍しいだろ?いや、ルカ君とそう変わらない年齢の子も時々見かけるには見かけるが…見習いとしてパーティの端っこについてくるようなのがほとんどだ。まだ13歳で、ルカ君みたいにきちんと自分の役割を考えて行動出来てる人間ってのは、俺は初めて見たぜ」
「そんな…僕なんて全然ダメですよ」
「いや、私もジョゼフ殿の言葉に同意する」
アレクシアが会話に加わった。
「ルカ君はまだ幼いのに随分としっかりしている。正直、私などよりずっと色々な事を知っていると思うよ」
「そんな事ないですよ。僕はアレクシアさんみたいに強くないですし」
ルカは現在アルトゥース流の初伝。この先どれだけ一生懸命努力したとしても、自分がアレクシアの年齢で奥伝にまで達しているとは考えられなかった。
「冒険者をやってる理由だって、故郷の村が魔物に襲われた時冒険者のパーティに命を助けられて…それに憧れて、僕も冒険者になって冒険をしたり人を助けたいと思った…ていうだけですから」
「へえ…冒険者に命を助けられて自分も人を助けたいと思って、か…立派な理由だと思うぜ。ちなみに、なんて名前のパーティか聞いてもいいか?」
「はい、『ホイール・オブ・フォーチュン』です」
「『ホイール・オブ・フォーチュン』…!?」
ジョゼフが驚きの声を上げる。ゲルトも意外そうに眼を見開いていた。
「『ホイール・オブ・フォーチュン』っていやあ…達人ランクのパーティじゃねえか」
「達人…?」
アレクシアだけは、よく分からないという風に首を傾げている。
「達人というのは、冒険者の最高ランクの事です。一応その上に大英雄というランクがありますけど…これは世界を救った英雄に与えられる称号で、歴史上二人しかいません。なので、実質的には達人ランクが最上級です」
ルカが答える。
「ふむ…冒険者ランクの最高位。大英雄に達人か。Sランクが最高位だと思っていたが、それ以上があったんだね」
なるほど、とアレクシアが頷いた。
「だから、僕が冒険者になったのは『ホイール・オブ・フォーチュン』に憧れて、っていうそれだけなんです。…ちなみに、ジョゼフさんはどうして冒険者になったんですか?」
「俺か?」
話を向けられたジョゼフは、胸を張って答えた。
「俺はな…ま、簡単に言えば自分の存在が田舎に埋もれるのが勿体ねえと思ったのが理由だな」
「存在が埋もれるのが勿体ない…ですか?」
「ああ。俺の生まれた村はド田舎でよ。家は農家で、俺も親の跡を継ぐよう育てられてきた。子供の頃の俺はそれに疑問も持ってなかった」
「へえ…」
ルカはジョゼフの生い立ちに共感を覚えた。村が魔物に襲われる前は自分も同じような境遇だったからだ。
「けどある年の冬、冒険者の爺さんが村に流れ着いてきてな…。しばらく村に滞在させてくれって言ってきたんだ。俺の住んでた地域は結構な豪雪地帯だから、村でひと冬越させて欲しいってな。村には宿屋なんてないから、俺の家に泊まる事になった。人の良さそうな爺さんだったし、泊まる対価に結構な金を払ってくれたから俺の親父も喜んで爺さんを迎え入れたって訳だ。…けど、親父からしてみればそれは間違った選択だったんだろうなあ」
そこでジョゼフはふっと笑った。
「冒険者の爺さんは、俺に今まで自分が経験してきた冒険の事を話した。特に俺が惹かれたのは迷宮についての話だな。底知れぬ迷宮、数々のトラップ、強力なボス、その先にある宝…。俺は、爺さんの話に夢中になった。俺の住んでる村の外には、俺の知らない世界がある事を…知っちまった」
そう言ってジョゼフは昔を懐かしむように焚火を見つめる。
「槍使いだった爺さんは俺に槍の使い方も教えてくれてな。『お前は筋がある』なーんて言うもんだから、俺もその気になって、爺さんの跡を付いて行って冒険者になろうとして…けど親に反対されて…結局は、村を飛び出して冒険者になった、と。そういう訳だ」
そう言い終え、ジョゼフは照れたように自身の頭を掻いた。自分の事を長々と話してしまったのが途端に気恥ずかしくなってしまったのだろう。
「えーっと、ルカと俺は話をしたからよ、次はアレクシア殿とゲルトの旦那。二人がどうして冒険者になったのかも聞かせてくれよ」
次はそっちの番、とばかりに女剣士とエルフの魔術師に話を振った。
「なあ、ルカ君。ルカ君はどうして冒険者なんてやってるんだ?」
「…僕ですか?」
「ああ、ルカ君の歳で冒険者なんて珍しいだろ?いや、ルカ君とそう変わらない年齢の子も時々見かけるには見かけるが…見習いとしてパーティの端っこについてくるようなのがほとんどだ。まだ13歳で、ルカ君みたいにきちんと自分の役割を考えて行動出来てる人間ってのは、俺は初めて見たぜ」
「そんな…僕なんて全然ダメですよ」
「いや、私もジョゼフ殿の言葉に同意する」
アレクシアが会話に加わった。
「ルカ君はまだ幼いのに随分としっかりしている。正直、私などよりずっと色々な事を知っていると思うよ」
「そんな事ないですよ。僕はアレクシアさんみたいに強くないですし」
ルカは現在アルトゥース流の初伝。この先どれだけ一生懸命努力したとしても、自分がアレクシアの年齢で奥伝にまで達しているとは考えられなかった。
「冒険者をやってる理由だって、故郷の村が魔物に襲われた時冒険者のパーティに命を助けられて…それに憧れて、僕も冒険者になって冒険をしたり人を助けたいと思った…ていうだけですから」
「へえ…冒険者に命を助けられて自分も人を助けたいと思って、か…立派な理由だと思うぜ。ちなみに、なんて名前のパーティか聞いてもいいか?」
「はい、『ホイール・オブ・フォーチュン』です」
「『ホイール・オブ・フォーチュン』…!?」
ジョゼフが驚きの声を上げる。ゲルトも意外そうに眼を見開いていた。
「『ホイール・オブ・フォーチュン』っていやあ…達人ランクのパーティじゃねえか」
「達人…?」
アレクシアだけは、よく分からないという風に首を傾げている。
「達人というのは、冒険者の最高ランクの事です。一応その上に大英雄というランクがありますけど…これは世界を救った英雄に与えられる称号で、歴史上二人しかいません。なので、実質的には達人ランクが最上級です」
ルカが答える。
「ふむ…冒険者ランクの最高位。大英雄に達人か。Sランクが最高位だと思っていたが、それ以上があったんだね」
なるほど、とアレクシアが頷いた。
「だから、僕が冒険者になったのは『ホイール・オブ・フォーチュン』に憧れて、っていうそれだけなんです。…ちなみに、ジョゼフさんはどうして冒険者になったんですか?」
「俺か?」
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「俺はな…ま、簡単に言えば自分の存在が田舎に埋もれるのが勿体ねえと思ったのが理由だな」
「存在が埋もれるのが勿体ない…ですか?」
「ああ。俺の生まれた村はド田舎でよ。家は農家で、俺も親の跡を継ぐよう育てられてきた。子供の頃の俺はそれに疑問も持ってなかった」
「へえ…」
ルカはジョゼフの生い立ちに共感を覚えた。村が魔物に襲われる前は自分も同じような境遇だったからだ。
「けどある年の冬、冒険者の爺さんが村に流れ着いてきてな…。しばらく村に滞在させてくれって言ってきたんだ。俺の住んでた地域は結構な豪雪地帯だから、村でひと冬越させて欲しいってな。村には宿屋なんてないから、俺の家に泊まる事になった。人の良さそうな爺さんだったし、泊まる対価に結構な金を払ってくれたから俺の親父も喜んで爺さんを迎え入れたって訳だ。…けど、親父からしてみればそれは間違った選択だったんだろうなあ」
そこでジョゼフはふっと笑った。
「冒険者の爺さんは、俺に今まで自分が経験してきた冒険の事を話した。特に俺が惹かれたのは迷宮についての話だな。底知れぬ迷宮、数々のトラップ、強力なボス、その先にある宝…。俺は、爺さんの話に夢中になった。俺の住んでる村の外には、俺の知らない世界がある事を…知っちまった」
そう言ってジョゼフは昔を懐かしむように焚火を見つめる。
「槍使いだった爺さんは俺に槍の使い方も教えてくれてな。『お前は筋がある』なーんて言うもんだから、俺もその気になって、爺さんの跡を付いて行って冒険者になろうとして…けど親に反対されて…結局は、村を飛び出して冒険者になった、と。そういう訳だ」
そう言い終え、ジョゼフは照れたように自身の頭を掻いた。自分の事を長々と話してしまったのが途端に気恥ずかしくなってしまったのだろう。
「えーっと、ルカと俺は話をしたからよ、次はアレクシア殿とゲルトの旦那。二人がどうして冒険者になったのかも聞かせてくれよ」
次はそっちの番、とばかりに女剣士とエルフの魔術師に話を振った。
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