7 / 42
迷走
しおりを挟む
生きてる時は、毎日が精一杯で
死んだ時にどうするかなんて考えたこともなかった。
嫁には『俺が先に死んだら、誰か他の人と結婚しなさい』とよく言っていたが、もちろん本心ではない。
脅かせば、俺から『離れない!』って言ってくれるのが嬉しくて、ついつい 心にもない事を言って構っていただけだ。
でもまさか本当に死んでしまうなんて…要らん事を言ったばっかりに『言霊』になってしまったのかもしれない。
あの時バイクに乗らなければ、車だったら生きてたんじゃないか…。
それとも、自分は『死』を予感してて、お気に入りのバイクを お供に選んだのだろうか?
今更どうこう考えても、現実はひっくり返らないのだが。
《後悔先に立たず》とはよく言ったものだ。
生きていれば、やり直しも可能だったかもしれないなぁ。
それより『死んだらそこで終わり』と思っていたのに、死んでから選択を迫られるなんて誰が思うだろう。
漫画でいえば、『死ぬ』とその人を『裁く人』がいて、良い人は天国へ、悪い人は地獄に堕とされるってのが常だが、実は『成仏するか彷徨うか?』を自分で選ぶことになっているとは。
これはさすがに、死んでみないと分からない世界だったわ…。
いや、知りたくもなかったけど。
さて…
こんな事を悠長に考えている俺。
ずっと宙に浮いている訳だが。
これからどうしようか。
一旦身体に戻るか?
でないと、戻れなくなった時に困る。
待てよ?
困ると言っても、俺を待っているのは『火葬』であって、生き返れる訳ではない。
魂として生き続けるか否か。
遺体に戻るか、このまま浮遊するのか?
どっちも嫌だけど どっちか選ばなくては‼︎
一体どうしたらいいんだ~⁉︎
そうだ、その前に…
「おい!案内人!」
俺は黒服の男を呼んでみた。
…男は出てこない。
「なんだ?いつでも何処でも伺いますって言っていたくせに、出て来ないじゃないか」
あ、そうか。
なんだったっけ?
「おい!NAMAE NAI‼︎」
俺はヘンテコな名前を呼んでみた。
ひゅーーーーーーーーーー…
ドンガラガッシャーン‼︎
「はいはいは…ヒィ~‼︎」
あ、マジで来た。
ってか、床がないのになんでドンガラ音がするんだ?
「ご用件を伺いますです~」
男は出会った時と違って、髪もスーツもボロボロになっていた。
「お前…ちょっと見ないうちにスッゲー姿 変わってんだけど?」
「ははは(汗) ただいま対応中の方が、えらく興奮なさってましてっ」
また汗を拭き拭き、身なりを整える。
どうやら『さっき亡くなった人』とやらに ボコボコにやられたようだ。
俺はマシな方だったってわけか。
「どのようなご用件でしょう?」
「あ、いやぁ…ちょっと呼んでみただけ」
そう、本当にコイツが来るのか、試してみたかっただけだ。
怒るかな?
「お試しになられたんですね?」
男は笑っている。
「怒らないのか?」
「この仕事、長く続けておりますから慣れております。ご本人にすれば、なかなか信じられないことばかりでしょうから」
意外に人間が出来ているじゃないか。
ん?この人 人間か?
「すまんすまん。あんたも忙しいのに。これで来てくれるってのは信じた。何かの時はまた呼ばせてくれ」
男のその姿を見たら、なんだか申し訳なく思えて、俺は素直に謝った。
「こちらこそ、このような大変な時にお気遣い頂きありがとうございます。またお困りの時はどうぞお呼びください。それでは失礼いたします」
男は会釈するとまた消えていった。
あ、せっかくだったから、遺体に戻るか浮遊か悩んでるって相談すればよかった。
俺としたことが。
もう一回呼び出してやろうか?
その時、足下で、俺の遺体を運び出す話が進んでいるのが聞こえた。
マズイ。
マジで。
ここで遺体と離れても、また身体に戻れるのか?
どのくらい離れても大丈夫なんだろう?
しまった。
そこ聞いておけばよかった。
考えていても無駄だ!
とにかく今は戻るしかない‼︎
なんだったけ?
念じるんだ!
《戻りたい!戻りたい!あの身体に戻りたい‼︎》
死んだ時にどうするかなんて考えたこともなかった。
嫁には『俺が先に死んだら、誰か他の人と結婚しなさい』とよく言っていたが、もちろん本心ではない。
脅かせば、俺から『離れない!』って言ってくれるのが嬉しくて、ついつい 心にもない事を言って構っていただけだ。
でもまさか本当に死んでしまうなんて…要らん事を言ったばっかりに『言霊』になってしまったのかもしれない。
あの時バイクに乗らなければ、車だったら生きてたんじゃないか…。
それとも、自分は『死』を予感してて、お気に入りのバイクを お供に選んだのだろうか?
今更どうこう考えても、現実はひっくり返らないのだが。
《後悔先に立たず》とはよく言ったものだ。
生きていれば、やり直しも可能だったかもしれないなぁ。
それより『死んだらそこで終わり』と思っていたのに、死んでから選択を迫られるなんて誰が思うだろう。
漫画でいえば、『死ぬ』とその人を『裁く人』がいて、良い人は天国へ、悪い人は地獄に堕とされるってのが常だが、実は『成仏するか彷徨うか?』を自分で選ぶことになっているとは。
これはさすがに、死んでみないと分からない世界だったわ…。
いや、知りたくもなかったけど。
さて…
こんな事を悠長に考えている俺。
ずっと宙に浮いている訳だが。
これからどうしようか。
一旦身体に戻るか?
でないと、戻れなくなった時に困る。
待てよ?
困ると言っても、俺を待っているのは『火葬』であって、生き返れる訳ではない。
魂として生き続けるか否か。
遺体に戻るか、このまま浮遊するのか?
どっちも嫌だけど どっちか選ばなくては‼︎
一体どうしたらいいんだ~⁉︎
そうだ、その前に…
「おい!案内人!」
俺は黒服の男を呼んでみた。
…男は出てこない。
「なんだ?いつでも何処でも伺いますって言っていたくせに、出て来ないじゃないか」
あ、そうか。
なんだったっけ?
「おい!NAMAE NAI‼︎」
俺はヘンテコな名前を呼んでみた。
ひゅーーーーーーーーーー…
ドンガラガッシャーン‼︎
「はいはいは…ヒィ~‼︎」
あ、マジで来た。
ってか、床がないのになんでドンガラ音がするんだ?
「ご用件を伺いますです~」
男は出会った時と違って、髪もスーツもボロボロになっていた。
「お前…ちょっと見ないうちにスッゲー姿 変わってんだけど?」
「ははは(汗) ただいま対応中の方が、えらく興奮なさってましてっ」
また汗を拭き拭き、身なりを整える。
どうやら『さっき亡くなった人』とやらに ボコボコにやられたようだ。
俺はマシな方だったってわけか。
「どのようなご用件でしょう?」
「あ、いやぁ…ちょっと呼んでみただけ」
そう、本当にコイツが来るのか、試してみたかっただけだ。
怒るかな?
「お試しになられたんですね?」
男は笑っている。
「怒らないのか?」
「この仕事、長く続けておりますから慣れております。ご本人にすれば、なかなか信じられないことばかりでしょうから」
意外に人間が出来ているじゃないか。
ん?この人 人間か?
「すまんすまん。あんたも忙しいのに。これで来てくれるってのは信じた。何かの時はまた呼ばせてくれ」
男のその姿を見たら、なんだか申し訳なく思えて、俺は素直に謝った。
「こちらこそ、このような大変な時にお気遣い頂きありがとうございます。またお困りの時はどうぞお呼びください。それでは失礼いたします」
男は会釈するとまた消えていった。
あ、せっかくだったから、遺体に戻るか浮遊か悩んでるって相談すればよかった。
俺としたことが。
もう一回呼び出してやろうか?
その時、足下で、俺の遺体を運び出す話が進んでいるのが聞こえた。
マズイ。
マジで。
ここで遺体と離れても、また身体に戻れるのか?
どのくらい離れても大丈夫なんだろう?
しまった。
そこ聞いておけばよかった。
考えていても無駄だ!
とにかく今は戻るしかない‼︎
なんだったけ?
念じるんだ!
《戻りたい!戻りたい!あの身体に戻りたい‼︎》
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜
あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。
そんな世界に唯一現れた白髪の少年。
その少年とは神様に転生させられた日本人だった。
その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。
⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。
⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる