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マジか風邪ひいた
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ハックシュン!!
冬の朝日に照らされて、雪が辺りを照らしている。
その窓からくる光は眩しいが不思議と嫌いじゃない。
屋上に行ったり、江川が入部したりしたのは昨日の事。
昨日家の前で江川と別れてから、もう半日以上の時間が経過している。
学校? いや、休みました。
……風邪です。
思い返せば確かに心当たりはある。
まず、屋上で上着なしで昼休み中過ごしただろ、そして部活の時は雪にも関わらずいつも以上の距離を走っただろう、でそれと────
────うん、そう言えば学校からの帰り道に江川から雪玉ぶつけられたり、雪の中に突き落とされたりもしたな……
なんか、そのどれにしろ同じ笑顔が思い浮かぶのは、偶然だよな。
改めて最近よく過ごしている彼女を認識しながらも、俺の瞼は欲求のままに閉じろうとする。
疲れであろうか。
そう言えば、最近はテストが近かった事もあって睡眠時間を削り気味になっていた気がする。
こういう時はいっそ思い切ってリフレッシュするのが一番良い。
下手に勉強などしても頭に入らないだろうし、まして走るのなどはもってのほかだろう。
人間、切り替えが大事だ。
最後に顧問の言葉を思い出してまた、俺の意識は布団の奥へと沈んでいく。
────俺は夢を見ていた
何故夢と気づいたのかは分からない。
ただ何となく、そう思ったのだ。
俺は1人、陸上競技場を走っていた。
きつくはない。息が上がることも無ければ、肺が痛くなることもない。
ただ足が重かった。
意識がはっきりし、他の部分が動く分だけそれは余計にもどかしい。
がむしゃらに腕をふり、地面を蹴って足を進ませようとする。
ふと、背中にあたる感触。
久しく忘れていた誰かが背中を押してくれる感触。
1年の頃、練習がきつく集団から遅れ始めるとよく先輩がしてくれていた。
何も聞こえなかった空間。そこに突如現れた感触。
光の粒子の集まったようなそれは手を当てたまま、俺の横に並ぶ。
口を動かしているのだろうとは思うが、その音は聞こえない。
いや、実際は聞こえているのだろうが、俺の根本に眠る何かがその認識を拒絶している。
光が消えた。その時、俺が走っていたのはトラックを一周半した所。
その勝負所ともいえる残り200メートルを示す白線。
それを跨いだ瞬間、また更に背中を押され────
まず目に入っのは木の天井。
トラックのように長丸の木目は、確かに俺の部屋のものだ。
カーテンは空きっぱなしになっていて、紅く焼けた空が良く見えた。
あっ俺、一日中寝てたんだ
一度割り切っていた為後悔はないが、それでももったいなかったかな。と、いう気持ちも少しはある
そこで俺はちょっとした違和感を感じた。
時間の経過ではない。もっと直接的な事。
匂い?
そう、家の匂いとは違う甘い香り。
スースー
ん?
俺は今起きている。
目覚めたばかりで瞼が上がりきっている訳ではないが、意識は覚醒し始めている。
つまり、この寝息は俺のでは決してない。
俺のベットは窓際に置かれており、目を開いた俺には左上の方に空が見えているのだ。
寝息は俺の右側から聞こえる。
取り敢えず身体を起こそうとするが、一日布団で固まったそれは言うことを聞かない。
仕方なく首だけを、それでもゆっくりゆっくり動かすとそこに居たのは、彼女だった。
……、近い
彼女の顔はほんの数十センチ先で布団に埋もれている。
俺の机には氷水とタオルが複数枚置いてあった。
そして、彼女の手にも一つ。
その心遣いと気の抜けた寝顔。
やっとこさ動くようになった右手を彼女の頭の上に乗せる。
「ありがとう」
まさに素で出てきた言葉と行動だった。
「ふにゃ……」
どうやら起こしてしまったか
慌てて右手を引っ込めようとしたがもう遅い。
意識が覚醒した彼女は同時に頭の上の感触に気づき頬を赤く染める。
「おはようございます」
「おはよう」
布団に顔の下半分を埋める彼女。
布団に顔の右半分を埋める男。
等しく顔の赤さを隠そうとする2人は、図らずとも互いの変顔を拝むことになる。
笑い声があがる。
初め照れ笑いのような声は、いつの間にか弾けるもへと変わっている。
これは、後から親に聞いた話だが、彼女は朝も顔を見せに来てくれていたらしい。
そして、その時に放課後も来ることを親に約束し、ついでに合鍵をも預かっていたのだ。
全く、いつの間に俺の家の親と仲良くなったのやら
その日を境に彼女の出入りは活発化し始める。
時に一緒にご飯を食べたり、逆にお世話になったり。
彼女の人柄のおかげであろうか、彼女とのご飯はいつも笑顔の花が咲いていた。
そして、時は過ぎていく。
冬の冷たさは、彼女のあたたかさを引き立たせ、そして過ぎていった。
冬の朝日に照らされて、雪が辺りを照らしている。
その窓からくる光は眩しいが不思議と嫌いじゃない。
屋上に行ったり、江川が入部したりしたのは昨日の事。
昨日家の前で江川と別れてから、もう半日以上の時間が経過している。
学校? いや、休みました。
……風邪です。
思い返せば確かに心当たりはある。
まず、屋上で上着なしで昼休み中過ごしただろ、そして部活の時は雪にも関わらずいつも以上の距離を走っただろう、でそれと────
────うん、そう言えば学校からの帰り道に江川から雪玉ぶつけられたり、雪の中に突き落とされたりもしたな……
なんか、そのどれにしろ同じ笑顔が思い浮かぶのは、偶然だよな。
改めて最近よく過ごしている彼女を認識しながらも、俺の瞼は欲求のままに閉じろうとする。
疲れであろうか。
そう言えば、最近はテストが近かった事もあって睡眠時間を削り気味になっていた気がする。
こういう時はいっそ思い切ってリフレッシュするのが一番良い。
下手に勉強などしても頭に入らないだろうし、まして走るのなどはもってのほかだろう。
人間、切り替えが大事だ。
最後に顧問の言葉を思い出してまた、俺の意識は布団の奥へと沈んでいく。
────俺は夢を見ていた
何故夢と気づいたのかは分からない。
ただ何となく、そう思ったのだ。
俺は1人、陸上競技場を走っていた。
きつくはない。息が上がることも無ければ、肺が痛くなることもない。
ただ足が重かった。
意識がはっきりし、他の部分が動く分だけそれは余計にもどかしい。
がむしゃらに腕をふり、地面を蹴って足を進ませようとする。
ふと、背中にあたる感触。
久しく忘れていた誰かが背中を押してくれる感触。
1年の頃、練習がきつく集団から遅れ始めるとよく先輩がしてくれていた。
何も聞こえなかった空間。そこに突如現れた感触。
光の粒子の集まったようなそれは手を当てたまま、俺の横に並ぶ。
口を動かしているのだろうとは思うが、その音は聞こえない。
いや、実際は聞こえているのだろうが、俺の根本に眠る何かがその認識を拒絶している。
光が消えた。その時、俺が走っていたのはトラックを一周半した所。
その勝負所ともいえる残り200メートルを示す白線。
それを跨いだ瞬間、また更に背中を押され────
まず目に入っのは木の天井。
トラックのように長丸の木目は、確かに俺の部屋のものだ。
カーテンは空きっぱなしになっていて、紅く焼けた空が良く見えた。
あっ俺、一日中寝てたんだ
一度割り切っていた為後悔はないが、それでももったいなかったかな。と、いう気持ちも少しはある
そこで俺はちょっとした違和感を感じた。
時間の経過ではない。もっと直接的な事。
匂い?
そう、家の匂いとは違う甘い香り。
スースー
ん?
俺は今起きている。
目覚めたばかりで瞼が上がりきっている訳ではないが、意識は覚醒し始めている。
つまり、この寝息は俺のでは決してない。
俺のベットは窓際に置かれており、目を開いた俺には左上の方に空が見えているのだ。
寝息は俺の右側から聞こえる。
取り敢えず身体を起こそうとするが、一日布団で固まったそれは言うことを聞かない。
仕方なく首だけを、それでもゆっくりゆっくり動かすとそこに居たのは、彼女だった。
……、近い
彼女の顔はほんの数十センチ先で布団に埋もれている。
俺の机には氷水とタオルが複数枚置いてあった。
そして、彼女の手にも一つ。
その心遣いと気の抜けた寝顔。
やっとこさ動くようになった右手を彼女の頭の上に乗せる。
「ありがとう」
まさに素で出てきた言葉と行動だった。
「ふにゃ……」
どうやら起こしてしまったか
慌てて右手を引っ込めようとしたがもう遅い。
意識が覚醒した彼女は同時に頭の上の感触に気づき頬を赤く染める。
「おはようございます」
「おはよう」
布団に顔の下半分を埋める彼女。
布団に顔の右半分を埋める男。
等しく顔の赤さを隠そうとする2人は、図らずとも互いの変顔を拝むことになる。
笑い声があがる。
初め照れ笑いのような声は、いつの間にか弾けるもへと変わっている。
これは、後から親に聞いた話だが、彼女は朝も顔を見せに来てくれていたらしい。
そして、その時に放課後も来ることを親に約束し、ついでに合鍵をも預かっていたのだ。
全く、いつの間に俺の家の親と仲良くなったのやら
その日を境に彼女の出入りは活発化し始める。
時に一緒にご飯を食べたり、逆にお世話になったり。
彼女の人柄のおかげであろうか、彼女とのご飯はいつも笑顔の花が咲いていた。
そして、時は過ぎていく。
冬の冷たさは、彼女のあたたかさを引き立たせ、そして過ぎていった。
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