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花人の謎

【閑話休題】不幸ヤンキー、”狼”が越してくる。《終》

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「ごめん…なさい…。なんか…あの…もやもやしちゃって…それで、あの」
 ―傷つけてしまってごめんなさい。
 変態狼に後ろを解されては謝罪をする可愛らしいヤンキーに哉太は背筋が粟立つような、ゾクリとしてしまうような感覚に陥った。それは気持ちが悪いという意味では無い。…純粋な青年がここまで無自覚に自分を誘うという恐怖にだ。
 …えっ、幸ってこんなにエロかったっけ。…なにその可愛さと兼ね揃えた妖美さは…?
 ―もっとイジメたくなるじゃん。
 変態狼の心に火が付いた。
「発情しちゃったんだ~。…後ろ、イジんなきゃダメなぐらい?」
 ―――グチュゥ…、ヌチュゥ…、クチュウリィ…。
「あっうぅっ…ごめん…なさ…い…」
「え~、本当に思っているの~?」
 ―――グチュゥ…ヌチュゥ…。
「あぅ…ごめん…なさい…」
 気持ち良さなのか、果たして責められているからなのか、分からない。だが涙が溢れ出し許しを請うように泣いてしまう幸に、哉太の心にあるブレーキは簡単に壊れてしまった。長い指を狭い洞窟どうくつに指を抜き差ししては数を増やし柔らかくさせる。すると窮屈であった幸の臀部でんぶは柔らかくなったいくのだ。
「あぅ…、ナカ…きもちいぃ…」
「ふ~ん、気持ちが良いのね~。幸は淫乱ちゃんだね~?」
「うぅ…ごめんな…さい…」
 甘美な声を上げて指を引き抜いた哉太は自身の肉棒を出し、幸の後孔にわざとてようとして…止める。
「え…あの、かなた…さん?」
 戸惑っている様子の幸に哉太は意地悪く耳元で囁くのだ。
「俺に挿入れて欲しい?」
「ふぇ…?」
 内心、哉太のことであるから挿入してくれるだろう。エッチなことなどしてくれるだろう。そんな期待を抱いていたが哉太は違うらしい。…だがこれも哉太のだ。幸がもっと甘美で可愛らしくなって欲しいがゆえの、彼の我慢なのだ。
 しかし幸は挿入をして欲しそうな、期待をしたいが恥ずかしさで言えない自分がいるのかしどろもどろでいる。そんな幸に哉太の心はさらに揺れ動き欲情をする。
 …やばい。挿入れたい!
 しかし平静を装って哉太は敏感な幸の耳元で話し掛けるのだ。
「…謝るよりも、俺は幸が可愛く頷いてくれたら…許すし、挿入れられるけれど?」
「うぅ……」
 …まぁ、とっくのとうに許してもいるし逆にすぎてお釣りが出てしまうけれど?
 ―哉太の作戦とは、心が読める少女へ”幸に気を引かせてラブラブに!?作戦”を実行したからである。相手は小学生なので性行為に対しては”大人の体操”とはぐらかして彼女へ助言を求めたのだ。…とか言いつつも、心はなんとなく分かっていた様子ではあったがわざと知らないフリをして、自分なりの考えを伝えたのである。
「哉太君の匂いがするなにかを傍に置いた方が良いと思う。香水とか」
 しかし哉太は香水など付けていない。だったらシャンプー類はどうだろうかという策を提案されたのだ。…それがこのような美味しい状況になったのである。
 …こころにちゃんとお礼を言わなきゃな~。あと可愛い洋服でも買ってあげよ~。
 そんなことを思いながら幸に尋ねる変態狼の哉太の心情に構わず、純粋無垢な幸はうずくココロとカラダに耐え切れずにいたのだ。そしてか細い声で紡いだ。
「哉太さん…許して…、だから…」
 ―挿入れて?
 哉太のヴォルテージが破損した。


 その夜。心は麗永に送ってもらい哉太のマンションへと行った。しかし何回鳴らしてもインターフォンには出ない哉太であったので心はまた春夏冬家に避難をしたのだ。そして、顔が真っ赤な幸を尻目に哉太に向けて麗永だけが哉太へ説教をしたのだ。
「まったく、あなたって人は幼い女の子に対しても―」
 正座をさせられて彼の説教を不満げに受けている哉太を見て、幸は自分も恥ずかしくなる。…するとスマホのメッセージアプリにて、心から連絡が来ていたので開いてみた。
『哉太君となにかあったかな。なにも無ければ良いのだけれど…』
 すると幸は2人の傍を離れて連絡をする。そしてこのような返事を送った。
『心も大丈夫か? 俺も哉太さんも大丈夫だから』
『…できた?』
 …それはどういう意味で? というか…
 ―もしかして、心は知っていたのでは?
 そう。幸ははぐらかしていたが心には分かっていた。提案者だから知っているに決まっている。
 だが、幸の文面を見てなんとなくだが作戦が上手くいったのだと心は思った。
 ―そんな2人を温かく見守ろうと心は決心をし、それぞれの思いを抱きながら哉太の引っ越しが無事完了したという。
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