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1つの国を巡る。
テイク4!
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意中の相手であるムーンに抱き着かれて嬉しさと困惑が入り混じる祭ではあるがこの機を逃すまいと彼女の背中に腕を通そうとすれば、彼女は一旦離れてしまった。切なさを感じる祭をよそにムーンは語り始める。
「いきなり抱き着いてごめんなさい!…私、また迷ってしまったようで…。」
「いや、それは良いんだけど!って、迷った?」
「そう…みたいなの。」
疑問に思う祭ではあるが彼女はこのように説明をする。
「家に帰る途中に大きな扉?みたいなのに吸い込まれたの…。そしたら何故かここに来ていて…。」
「…もしかして、ムーンちゃんも扉に吸い込まれたのか?」
「多分…。私、怖いわ。」
悲しむように俯くムーンの可愛さにノックアウトされる祭ではあるが、困惑をしているムーンを助けたかった自分が居た。だから彼はムーンの手を取ってにっこりと笑う。なぜ笑うのかさっぱり分からないでいるムーンではあるが祭はそれでも笑っていた。
「俺もこの世界は初めてなんだ~!だから散策がてらどこかに行こうよ!」
「散策…?マツリはこの国が怖くないの?何かあるかもしれない…のに?」
ムーンの問い掛けに祭は何かを考えてから再び笑った。
「俺、バカだし直感人間だからそういうのって分からないんだ~。それにエルリアも…ってあれ?居ない?」
見渡すと先ほどまで居たエルリアが居ないことに驚く祭ではあるが要は考えようだ。アイドゥも居ないし2人っきりでデートというのも悪くない。いや、幸運に思えてしまう。そんな祭にムーンはにっこりと微笑んでから言う。
「そうね…!考えても仕方ないもの!マツリの考えに従うわ。」
可憐な笑みを見せるムーンにアイドゥの鼓動は早くなってしまった。
街角にて。喫茶店へと入った祭とムーンは紅茶を飲み、茶菓子を食べていた。愛しのムーンとの初デート…いや、
女の子とのデートなんてしたことが生きてきた人生の中でなかった祭は心中では慌てふためている。
(ムーンちゃんと…デっ!デート!!!こんなラッキーなことあるのか?いや!!!その前に何か話を…)
「マツリ、服装が変わったね?」
「へぇあっ!??」
突然のムーンの問い掛けに祭は変な声を出してしまう。そんな彼のおかしな様子にムーンはクスリと笑って話を続ける。
「その服装、似合うよ。すっごく似合う。」
にこりと笑って服装を見るムーンに祭は嬉しさと恥ずかしさが入り混じった。そんな彼にムーンは彼が手にしている袋を指さしてそれは何だと問い掛ける。彼女の問い掛けに祭は自分も何かは分からないと言うが彼女は興味本位で彼に駆け寄った。なんだと思う祭に彼女は彼の目元に唇を当てたのである。
「なぁっ!??」
驚きで祭が転げそうになるのを傍目にムーンは彼から袋を取り上げて中身を見る。一瞬、驚いた表情を見せるムーンではあったが袋のリボンを縛ってから転げ落ちそうになっていた祭に手を貸した。しかし何が何だか分からないでいる祭は先ほどのムーンの行動を言葉に出そうとするのだが、その前に彼女は軽やかに笑う。
「その袋の中身も良いと思うわ。でも、とっておきのものだから。他の人に見せちゃダメだよ?」
「なっ!???えっと…!さっ!!!さっきのは…?」
「マツリが面白い反応するかな~って思って。…嫌、だった?」
「全然!!!むしろ目元だけじゃなくても…良いし」
「でも、デュラム起動させてたし、なんか文字がズラズラと並んでるけど…?」
「えっ…?」
まだ慣れていない為かデュラムは起動させっぱなしであり、しかも生放送であった。コメント欄にはムーンが祭の彼女ではないかというコメントで溢れており祭は恥ずかしさのあまりデュラムに指示をして中断させる。命令を聞いたデュラムは動画の生放送を閉じてくれたので安堵する祭ではあるが、今度はムーンが焦った様子で立ち上がった。
「ごめんなさい!ちょっと用事を思い出したの!…こんな私だけど、いつも遊んでくれてありがとう!じゃあまた!!」
「あっ!待って!ムーンちゃん!…君に伝えておきたいことがあるんだ!」
「…なに?」
立ち止まるムーンに祭は笑って言った。
「俺は、この世界の理を知って、君を助け出す。…仲間としてでも。」
祭の言葉にムーンは呆然としてから礼を言って走り出した。本当は恋人としてとも言いたかったのだが言える勇気が出なかった祭はデュラムを使って先ほどの生放送を切り抜いて動画をアップロードすることにする。しかし、茶菓子を食べたというのに腹の虫が治まることはない。深い溜息を吐いてから祭は苦虫を噛み潰したような顔をして宿へと戻るのであった。
「いきなり抱き着いてごめんなさい!…私、また迷ってしまったようで…。」
「いや、それは良いんだけど!って、迷った?」
「そう…みたいなの。」
疑問に思う祭ではあるが彼女はこのように説明をする。
「家に帰る途中に大きな扉?みたいなのに吸い込まれたの…。そしたら何故かここに来ていて…。」
「…もしかして、ムーンちゃんも扉に吸い込まれたのか?」
「多分…。私、怖いわ。」
悲しむように俯くムーンの可愛さにノックアウトされる祭ではあるが、困惑をしているムーンを助けたかった自分が居た。だから彼はムーンの手を取ってにっこりと笑う。なぜ笑うのかさっぱり分からないでいるムーンではあるが祭はそれでも笑っていた。
「俺もこの世界は初めてなんだ~!だから散策がてらどこかに行こうよ!」
「散策…?マツリはこの国が怖くないの?何かあるかもしれない…のに?」
ムーンの問い掛けに祭は何かを考えてから再び笑った。
「俺、バカだし直感人間だからそういうのって分からないんだ~。それにエルリアも…ってあれ?居ない?」
見渡すと先ほどまで居たエルリアが居ないことに驚く祭ではあるが要は考えようだ。アイドゥも居ないし2人っきりでデートというのも悪くない。いや、幸運に思えてしまう。そんな祭にムーンはにっこりと微笑んでから言う。
「そうね…!考えても仕方ないもの!マツリの考えに従うわ。」
可憐な笑みを見せるムーンにアイドゥの鼓動は早くなってしまった。
街角にて。喫茶店へと入った祭とムーンは紅茶を飲み、茶菓子を食べていた。愛しのムーンとの初デート…いや、
女の子とのデートなんてしたことが生きてきた人生の中でなかった祭は心中では慌てふためている。
(ムーンちゃんと…デっ!デート!!!こんなラッキーなことあるのか?いや!!!その前に何か話を…)
「マツリ、服装が変わったね?」
「へぇあっ!??」
突然のムーンの問い掛けに祭は変な声を出してしまう。そんな彼のおかしな様子にムーンはクスリと笑って話を続ける。
「その服装、似合うよ。すっごく似合う。」
にこりと笑って服装を見るムーンに祭は嬉しさと恥ずかしさが入り混じった。そんな彼にムーンは彼が手にしている袋を指さしてそれは何だと問い掛ける。彼女の問い掛けに祭は自分も何かは分からないと言うが彼女は興味本位で彼に駆け寄った。なんだと思う祭に彼女は彼の目元に唇を当てたのである。
「なぁっ!??」
驚きで祭が転げそうになるのを傍目にムーンは彼から袋を取り上げて中身を見る。一瞬、驚いた表情を見せるムーンではあったが袋のリボンを縛ってから転げ落ちそうになっていた祭に手を貸した。しかし何が何だか分からないでいる祭は先ほどのムーンの行動を言葉に出そうとするのだが、その前に彼女は軽やかに笑う。
「その袋の中身も良いと思うわ。でも、とっておきのものだから。他の人に見せちゃダメだよ?」
「なっ!???えっと…!さっ!!!さっきのは…?」
「マツリが面白い反応するかな~って思って。…嫌、だった?」
「全然!!!むしろ目元だけじゃなくても…良いし」
「でも、デュラム起動させてたし、なんか文字がズラズラと並んでるけど…?」
「えっ…?」
まだ慣れていない為かデュラムは起動させっぱなしであり、しかも生放送であった。コメント欄にはムーンが祭の彼女ではないかというコメントで溢れており祭は恥ずかしさのあまりデュラムに指示をして中断させる。命令を聞いたデュラムは動画の生放送を閉じてくれたので安堵する祭ではあるが、今度はムーンが焦った様子で立ち上がった。
「ごめんなさい!ちょっと用事を思い出したの!…こんな私だけど、いつも遊んでくれてありがとう!じゃあまた!!」
「あっ!待って!ムーンちゃん!…君に伝えておきたいことがあるんだ!」
「…なに?」
立ち止まるムーンに祭は笑って言った。
「俺は、この世界の理を知って、君を助け出す。…仲間としてでも。」
祭の言葉にムーンは呆然としてから礼を言って走り出した。本当は恋人としてとも言いたかったのだが言える勇気が出なかった祭はデュラムを使って先ほどの生放送を切り抜いて動画をアップロードすることにする。しかし、茶菓子を食べたというのに腹の虫が治まることはない。深い溜息を吐いてから祭は苦虫を噛み潰したような顔をして宿へと戻るのであった。
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