ファーストカット！！！異世界に旅立って動画を回します。

突然の旅立ち。

突然の出来事に困惑しています。テイク１！

とある一室にて昼なのにも関わらず部屋に篭り動画を編集している人間…いや、高校生ぐらいだろうか。灰色の短髪に耳にはピアスの穴が開きまくり、唇にピアスをしてはいるもののどこか子供っぽそうな幼い顔立ちをした青年は画面を見ながらも呻っている様子である。

「う～む。…全然、まったくもって！動画のネタが思いつかん。…さすがにこのネタで収益が左右するとは思えんしな…。」

”大阪へ行ってお好み焼き以外の名物探してみれば…なんと！？”というタイトルが付けられた動画を編集している高校生きってのトップｗｅ　ｔｕｂｅｒ（ウィーチューバァー）であるまっつんこと軒下　祭（のきした　まつり）の現在の悩みは、有名すぎて学校へ行く意味が分からなくなり行かなくなってしまった…というような彼の両親が悩んでいることではなく最近のｗｅ　ｔｕｂｅ状況である。最近では喧嘩や脅迫、はたまた犯罪に至るような動画は収益にはならず、祭が得意にしていた過激な表現方法も垢バンされてしまうような風潮となってしまっている。だから祭は最近のｗｅ　ｔｕｂｕｅ状況に悩まされているのだ。

「たばこのポイ捨てでライダーキックした動画とか…、ラブホに入る客に突撃インタビューした動画とか…伸びたんだけどなぁ～。…仲間ももう高校に入ってからは音沙汰もないし。」

写真立てに飾られているかつての仲間たちの写真を懐かしむ祭ではあるが、彼は自身のスマホを見てからふと溜息を吐く。

「考えても仕方ねぇや。…ちょっと散歩しよ。はぁ…だるぅ。」

頭を掻いて寝間着で出かけようとすれば目についたのは久しく着ていない高校の制服であった。なんとなく見てから祭は思い立ったようにＹシャツに腕を通す。

「こういう時には変わった格好してぶらついて何か考えるのも良いかもな～。”まっつん！？高校中退してなかったの！？”な～んていうドッキリ動画とか？…さすがに危ねぇな。出身校バレてデジタルタトゥーだわ。はは。」

自分でも危なっかしい動画のネタを考えながら祭は外へと出た。


外へ出ていつも立ち寄っている公園へと足を向ける。普段であれば人けがいるのだがいつも以上に静かであった。

「？？？なんか人が居ねぇな…。まっ！いっか！なんかあったのかもしれねぇし！」

祭の何気ない言葉が事実になる事をこの時の彼は知らずにいる。なぜなら、この公園の名物である湖にはとんでもないモノが現れていたのだから。

「なっ！？？なんだ？？これ？？？」

祭は驚いた。…なぜならそこには大きな扉が浮いていたのだから。