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”狼”の舞台挨拶
不幸ヤンキー、”狼”に魅了される。【4】
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学生ホールへと2人が向かえば人だかりが出来ていた。
「うわ~!なんかすごいな…。あの女の子の為とはいえ…すげぇ。」
「確かにすごいね…。おっ!もやしとスピード発見!って、カメラマン居んじゃん!?すごっ!」
幸と哉太が驚くさなかで見つけたフライは少し緊張している様子だ。そんな彼に心司はカメラマンに指示をしてから自分は心とは少し離れた場所でパソコンを操作していた。合図がされてから心はフライの手をしっかりと握る。…過去視が始まったのだ。フライの手を握りながら心はゆっくりと語りかける。
「可哀想に…。あなたはとある人間の手によって攫われて私と同じ人間に。…でも良かったです。あなたを助けてくれる方がたくさんいらっしゃるんですね?…特に赤い髪の人に。」
「…さっちゃんのことですか?」
「名前は過去では存じることはできません。ですがこの方はあなたの運命の相手…になっているんですね?大切な人としての…。」
「はい…。とても大事で大切な友人です。」
愛しげに話すフライに哉太は苛立ち、幸は感嘆を覚えるが心は言う。
「あなたはとっくに救われていますね。…これからも精進をして今の道を進んで下さい。」
言葉は丁寧であるがそっけない心の言葉にフライはたじろぎつつも礼をする。するとフライが幸に気が付いて手を振って見せれば他の観客からの盛大な拍手と称賛が送られた。
「うそっ!???あの赤い髪の子居たよ!??」
「心ちゃんの過去視は本当なんだ!!!」
皆が絶賛する中で心は言い放つのだ。
「私は迷える子羊を救えるような人間になりたいのです!あなた方を救えるような…そんな人間に!」
大きな声を上げる心と彼女に視線を向ける観客の人々。…しかし哉太は違った。
「なに見てるんですか!??営業妨害ですよ!!?」
「いや~。パソコンでなんかいじってるからさ~?…なんかあの子にカンペでも渡してんのかと思って。」
心司が哉太に驚けば彼はパソコンに興味を持っていた様子であった。しかし心司は鼻で笑いながら哉太に言い放つ。
「仮にカンペで言ったとしても私はあの子に…心にどう伝えるんです?あの子は長い髪ですが髪を高く結っていてしかも2つに結わいてるんですよ?」
「ツインテールね。」
「…。そのツインテールで耳には何も装着はしてません。それでもあなたは疑う…とでも?」
何も言えない哉太に勝ち誇るような笑みを見せる心司は彼の脇腹に刻まれている”狼”の入れ墨を見てから再び笑った。
「まあ?心に過去を見られて嫌な事でも思い出さないように。…今日はあの子、少し能力を加減したようなので。…では、わたくし達は次の現場があるので失礼します。…サングラスの若い方?」
パソコンを閉じてから心を呼んで2人はその場を離れるのであった。人々が学生ホールを離れる中で哉太だけが審議を掛けている様子である。
「心ちゃんの過去視は本物ですよ~!なに疑ってんですか?」
「俺もそう思います。見ず知らずのフライ先輩の過去も言い当ててましたし。」
フライとスピードが口々に言うが幸は違った様子だ。
「でもそれにしては簡単だったよな?…幼少期の過去、例えば、俺とお前が初めて会って話したことは言ってなかったし。」
「それは…まあ。でも!赤い髪の人だって断言してたし!スピード君のことは触れていなかったんだよ?」
それでも幸は納得がいかないようだ。そんな彼らに哉太はスマホを見てから言い放つ。
「あいつに相談してみよっか?…一応”狼”専門の刑事だし。」
「???誰に相談するんだ?」
幸の言葉に哉太はニヤリと笑うのだ。
「警視庁きってのキレ者…麗永にだよ。」
しかし哉太はそう簡単に出来事が上手くいかないことを今は知らないでいた。
「うわ~!なんかすごいな…。あの女の子の為とはいえ…すげぇ。」
「確かにすごいね…。おっ!もやしとスピード発見!って、カメラマン居んじゃん!?すごっ!」
幸と哉太が驚くさなかで見つけたフライは少し緊張している様子だ。そんな彼に心司はカメラマンに指示をしてから自分は心とは少し離れた場所でパソコンを操作していた。合図がされてから心はフライの手をしっかりと握る。…過去視が始まったのだ。フライの手を握りながら心はゆっくりと語りかける。
「可哀想に…。あなたはとある人間の手によって攫われて私と同じ人間に。…でも良かったです。あなたを助けてくれる方がたくさんいらっしゃるんですね?…特に赤い髪の人に。」
「…さっちゃんのことですか?」
「名前は過去では存じることはできません。ですがこの方はあなたの運命の相手…になっているんですね?大切な人としての…。」
「はい…。とても大事で大切な友人です。」
愛しげに話すフライに哉太は苛立ち、幸は感嘆を覚えるが心は言う。
「あなたはとっくに救われていますね。…これからも精進をして今の道を進んで下さい。」
言葉は丁寧であるがそっけない心の言葉にフライはたじろぎつつも礼をする。するとフライが幸に気が付いて手を振って見せれば他の観客からの盛大な拍手と称賛が送られた。
「うそっ!???あの赤い髪の子居たよ!??」
「心ちゃんの過去視は本当なんだ!!!」
皆が絶賛する中で心は言い放つのだ。
「私は迷える子羊を救えるような人間になりたいのです!あなた方を救えるような…そんな人間に!」
大きな声を上げる心と彼女に視線を向ける観客の人々。…しかし哉太は違った。
「なに見てるんですか!??営業妨害ですよ!!?」
「いや~。パソコンでなんかいじってるからさ~?…なんかあの子にカンペでも渡してんのかと思って。」
心司が哉太に驚けば彼はパソコンに興味を持っていた様子であった。しかし心司は鼻で笑いながら哉太に言い放つ。
「仮にカンペで言ったとしても私はあの子に…心にどう伝えるんです?あの子は長い髪ですが髪を高く結っていてしかも2つに結わいてるんですよ?」
「ツインテールね。」
「…。そのツインテールで耳には何も装着はしてません。それでもあなたは疑う…とでも?」
何も言えない哉太に勝ち誇るような笑みを見せる心司は彼の脇腹に刻まれている”狼”の入れ墨を見てから再び笑った。
「まあ?心に過去を見られて嫌な事でも思い出さないように。…今日はあの子、少し能力を加減したようなので。…では、わたくし達は次の現場があるので失礼します。…サングラスの若い方?」
パソコンを閉じてから心を呼んで2人はその場を離れるのであった。人々が学生ホールを離れる中で哉太だけが審議を掛けている様子である。
「心ちゃんの過去視は本物ですよ~!なに疑ってんですか?」
「俺もそう思います。見ず知らずのフライ先輩の過去も言い当ててましたし。」
フライとスピードが口々に言うが幸は違った様子だ。
「でもそれにしては簡単だったよな?…幼少期の過去、例えば、俺とお前が初めて会って話したことは言ってなかったし。」
「それは…まあ。でも!赤い髪の人だって断言してたし!スピード君のことは触れていなかったんだよ?」
それでも幸は納得がいかないようだ。そんな彼らに哉太はスマホを見てから言い放つ。
「あいつに相談してみよっか?…一応”狼”専門の刑事だし。」
「???誰に相談するんだ?」
幸の言葉に哉太はニヤリと笑うのだ。
「警視庁きってのキレ者…麗永にだよ。」
しかし哉太はそう簡単に出来事が上手くいかないことを今は知らないでいた。
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