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第六章
□迷宮暴走2
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ヤツの魔力を吸い上げることに集中すると、その分だけ吸収する速度があがる。
私の周囲は青白い靄で閉ざされ、もはや視覚では外の様子を伺うことすらできない。
私が感知できるのは、一角の魔獣のおおまかな動きだけ。ヤツが動き、騎士達と戦っているのがなんとなくわかる程度だ。
どれ程の魔力を吸い上げたのかわからぬが、既に自分の体型が変わり果てている自覚はある。体が、いままでと違うバランスになっている。
ちょっとやそっと、おおきな魔法を使ったところで容易には元に戻らないだろう。
ヤツの咆吼、騎士達の怒声、負傷を伝える声、騎士に指示を出す声、そしてシュラの声。
負傷者は多数出ていると知る。ここは第一及び第十、第九の騎士団が当たっており、既に半数は負傷などにより戦線を離脱しているようだ。
一人二人と減ってゆく騎士達。
「体力ゲージが半分以下まで削れました! 魔法攻撃が通るはずです!」
シュラの声と共に、魔法の攻撃が開始される。
「魔力吸収してる人! もっとうしろにさがりなさい! 巻き込まれます!」
ジェンド団長らしき声に怒鳴られ、魔力吸収を一瞬だけ止めて後方に飛びすさるが、再開した魔力吸収は離れた分だけ弱くなった。
「吸収が追いつかなくなってます! 魔力の回復が凄い! ここは魔力の吹き出し地点が近いのかも知れません! 魔力を使って自己回復しています! 体力ゲージが三分の二まで戻りました、魔法が効かない!」
「魔力吸収できる者は他に居ないか!」
「いねぇよそんな奴! くそっ! そこのお前っ! 魔力吸収してるお前っ! まだできるな! まだ――」
「カロル! 無茶を言うな!」
「無茶しねぇと無理だろ! くそがっ!」
カロル団長でも、無茶をしなければ無理な戦況なのか。そうか……。
引いた分の距離を進みながら考える。もし触れることができれば、もっと一気に魔力を抜けるのではないか……いや、抜ける。
ならば、無茶をしよう。
魔力吸収を止め、付与魔法を靴、服、手袋にかける。
「どうし――魔力を吸えなくなったのかっ!」
晴れていく青白い靄の外が騒然とするのを聞きながら腰を落とした。一角の魔獣のいる場所は見当が付いている。
ヤツの姿が見えた瞬間、私は低くした姿勢から飛び出した。
途中に居る騎士達の間をマントを翻して駆け抜け、一角の魔獣に肉薄する。
首をおおきく振り、その角で威嚇をするが、魔力が充実している私にそんなものはきかない。体が軽い、どこまででも走れるし、どこまでも跳べる気分だ。
シュラがくれたこの装備のお陰で、いくらでも無理が利く。
途中、名を呼ばれた気がしたが、いつにない早さで走る私の耳元は風の音がうるさくて聞き取れなかった。
ヤツの角を使った攻撃を躱したとき、がら空きになった背中が見え――咄嗟にその背に跨がった。
「魔力吸収」
首の根にしがみつき、魔法を行使した。
今までの比ではない量の魔力を一気に吸い上げる。振り落とすように暴れる一角の魔獣にしがみつくので精一杯で、走り出すのを止める術はなかった。
騎士達が追ってきているのに気付いたが、とにかく一角の魔獣の魔力を減らすことが第一なので、いま離れるわけにはいかない、そして、私がくっついていると騎士達も攻撃をできない……いやそれ以前に、これの足に着いてこれる人間は居ない。
一角の魔獣は森の中を駆ける。
魔獣の首にしがみつき、道なき道を走る中でいつの間にかマントを失いっていたが、途中でこいつの意図に気付いた。こいつは、敢えて魔力が噴出している場所を選んでいる。
魔力が噴出している場所で自身に溜まる魔力を、私に吸収させているんだ。
なんのために?
この森の魔力をなくすために、か。
数カ所目の魔力の噴出箇所で私に魔力を吸われる一角の魔獣は、とてもおとなしかった。
私を背に乗せ、されるがまま魔力を吸収されている。
「お前は……」
お前は殺される可能性があるにも関わらず私の前に現れ、私を背に乗せて魔力を吸収させた。騎士に殺されるのも覚悟の上だったのだろう? そして、私の能力を見込んでこうして森の魔力を吸収させているのはなぜだ。もしかして、お前はこの森を守りたいのか?
「私が無限に魔力を取り込めるからいいものの……できなかったら、どうするつもりだったんだ」
もしかしたら、野生の勘で私の能力に気付いていたのかも知れないし、単純に偶然なのかも知れないが。私を頼っているらしいこいつに、私は悪い気はしなかった。
一角の魔獣が、促すように私を振り返る。
「ここはもういいのか。わかった、次へ行こう」
しっかりと首にしがみつくと、一角の魔獣が走り出す。
どんどん奥へ進む一角の魔獣に、若干の不安を感じながら更に数カ所魔力の濃い場所を回り、森の深部にたどり着いていた。
遠くからも見えていた、切り立った崖から轟々と音を立てて水が落ちる巨大な滝があり、淵の側まで来ると対岸に魔獣と戦う騎士達がいた。
狼を倍以上におおきくしたような赤黒い毛並みを持つ巨大な魔獣は酷く禍々しく、普通の狼程の体躯の魔獣を何十匹も従えて騎士達に襲いかかっていた。
魔法の攻撃をしているのが見えるが、巨大な魔獣の足を止めはできても致命傷を与えるには至っていない。そして、周囲を守る魔獣の連携に阻まれているのが見て取れる。
その混戦のなかにシュラが居るのも見えた。
一角の魔獣が首をおろし、私におりることを促す。
「もういいのか?」
背から飛び降り、元々纏っていた青白い靄すらない一角の魔獣を見上げれば、ヤツはこちらを振り返りもせずに森の中に消えていった。
本当に、魔力を吸わせたかっただけなんだな。
そういえばいままで一度も、一角の魔獣が攻撃を仕掛けてきたことはなかったな……。
「もしかして、私の能力目当てで近づいていたのか?」
ホッとしたような呆れたような、なんとも言えない心地で後ろ姿を見送り、それから対岸へと視線を戻す。
まずは向こうへ渡らねばならない。淵から流れ出る川へ走り、川幅が狭くなる場所を探して下る。
それにしても――なぜ、こんなに胸が膨らむんだ? ステータスを見てみれば、魔力が既に五桁になっている。五桁か……ちょっとやそっとじゃ使い切れんな。
いまの体型が私の万全の状態ということなのだろう、膨らんだ胸は正直に言って邪魔で、走れば上下に揺れてしまう。本当に邪魔だ。
幸いなのは、服の性能なのか、体型が変わったにもかかわらず動きに不都合がないことか。
ここに至るまでに脱げたマントがあれば、多少なりとも体型を隠せたものを。……いや、これだけ変わってしまえば、隠すのも難しいか。
王妃殿下たちにも知られているのだ、もうどうにでもなればいい。
走りながら腹を括ったとき、川に飛び石のように数カ所岩が突き出た場所を見つけた。
これならば、渡れるだろう。
先を見ても川幅はまだ広く、一息で飛び越すのは無理そうだ。やはりここを渡るしかないな。
助走を付けるために後退し、向こうに渡りきる軌道を思い描き、足を踏み出す。
一歩目で二つ目の岩を蹴り、二歩目で五つ目の岩を蹴る、三歩目が一番大きな岩で、あともう一歩は水面に見え隠れするギリギリの岩を――。
最後の岩で、僅かに足を滑らせてしまい、勢いが落ちてしまった私は、あとわずかというところで敢えなく川に落ちてしまった。
とはいえ、すこし下流へ流された程度で向こう岸にたどり着き、ずぶ濡れになった体は、潤沢にある魔力で乾かした。ついでに浄化の魔法もかけてすっきりしたところで、上流に向かって走り出す。
シュラ達は大丈夫だろうか。騎士団の中でも選りすぐりの精鋭が揃っていたし、彼は第一や第十の団長達を相手に訓練もしていたんだ、大丈夫に違いない。
不安を打ち消しながら走った先で最初に遭遇したのは、負傷した騎士だった。
どうやら、滝の淵に至るまでに魔力も尽き、回復もできなくなった騎士のようだ。足手まとい故に、ここで待機しているのだろう。それならば、復帰できるようにするのみ。
「きみ……いや、あなたは? なぜこんな場所に」
腹を割かれ、木に寄りかかって座る騎士が、近づいた私に気付き、げっそりとした顔に不審そうな表情を乗せる。ああそうか、いまの私はこんな形だものな。
「死の女神……か?」
自嘲の笑みをこぼした私に、彼はぽかんと見上げてそう呟いた。
死の女神とは! いや、黒ずくめの服を着た女が、こんな奥地にあらわれたら、人ならぬものと思って当然か。
彼の側に膝をつき、手袋を脱いで頬に触れる。
「完全回復」
魔力の残滓が輝いて舞うなか、負傷は目に見えて回復したものの、痩けた頬は戻らない。回復魔法は肉体の損傷は治しても、魔力を回復することはないのでしかたがない。
「ついでに、魔力もくれてやろう」
返事を聞かぬまま、両手で顔を掴んで目を合わせ、強制的に魔力を注ぎ込む。勿論、副作用は承知しているが、いまはとにかく万全の状態で戦場に叩き戻すのが先だ。
「――っ、ぁっ」
身悶える彼には悪いが、入るだけ魔力を入れて手を離す。
「上流へ急げ。戦いは終わっていないぞ」
腹を押さえてうずくまる彼を置いて、先を急いだ。
私の周囲は青白い靄で閉ざされ、もはや視覚では外の様子を伺うことすらできない。
私が感知できるのは、一角の魔獣のおおまかな動きだけ。ヤツが動き、騎士達と戦っているのがなんとなくわかる程度だ。
どれ程の魔力を吸い上げたのかわからぬが、既に自分の体型が変わり果てている自覚はある。体が、いままでと違うバランスになっている。
ちょっとやそっと、おおきな魔法を使ったところで容易には元に戻らないだろう。
ヤツの咆吼、騎士達の怒声、負傷を伝える声、騎士に指示を出す声、そしてシュラの声。
負傷者は多数出ていると知る。ここは第一及び第十、第九の騎士団が当たっており、既に半数は負傷などにより戦線を離脱しているようだ。
一人二人と減ってゆく騎士達。
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シュラの声と共に、魔法の攻撃が開始される。
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「吸収が追いつかなくなってます! 魔力の回復が凄い! ここは魔力の吹き出し地点が近いのかも知れません! 魔力を使って自己回復しています! 体力ゲージが三分の二まで戻りました、魔法が効かない!」
「魔力吸収できる者は他に居ないか!」
「いねぇよそんな奴! くそっ! そこのお前っ! 魔力吸収してるお前っ! まだできるな! まだ――」
「カロル! 無茶を言うな!」
「無茶しねぇと無理だろ! くそがっ!」
カロル団長でも、無茶をしなければ無理な戦況なのか。そうか……。
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ならば、無茶をしよう。
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首をおおきく振り、その角で威嚇をするが、魔力が充実している私にそんなものはきかない。体が軽い、どこまででも走れるし、どこまでも跳べる気分だ。
シュラがくれたこの装備のお陰で、いくらでも無理が利く。
途中、名を呼ばれた気がしたが、いつにない早さで走る私の耳元は風の音がうるさくて聞き取れなかった。
ヤツの角を使った攻撃を躱したとき、がら空きになった背中が見え――咄嗟にその背に跨がった。
「魔力吸収」
首の根にしがみつき、魔法を行使した。
今までの比ではない量の魔力を一気に吸い上げる。振り落とすように暴れる一角の魔獣にしがみつくので精一杯で、走り出すのを止める術はなかった。
騎士達が追ってきているのに気付いたが、とにかく一角の魔獣の魔力を減らすことが第一なので、いま離れるわけにはいかない、そして、私がくっついていると騎士達も攻撃をできない……いやそれ以前に、これの足に着いてこれる人間は居ない。
一角の魔獣は森の中を駆ける。
魔獣の首にしがみつき、道なき道を走る中でいつの間にかマントを失いっていたが、途中でこいつの意図に気付いた。こいつは、敢えて魔力が噴出している場所を選んでいる。
魔力が噴出している場所で自身に溜まる魔力を、私に吸収させているんだ。
なんのために?
この森の魔力をなくすために、か。
数カ所目の魔力の噴出箇所で私に魔力を吸われる一角の魔獣は、とてもおとなしかった。
私を背に乗せ、されるがまま魔力を吸収されている。
「お前は……」
お前は殺される可能性があるにも関わらず私の前に現れ、私を背に乗せて魔力を吸収させた。騎士に殺されるのも覚悟の上だったのだろう? そして、私の能力を見込んでこうして森の魔力を吸収させているのはなぜだ。もしかして、お前はこの森を守りたいのか?
「私が無限に魔力を取り込めるからいいものの……できなかったら、どうするつもりだったんだ」
もしかしたら、野生の勘で私の能力に気付いていたのかも知れないし、単純に偶然なのかも知れないが。私を頼っているらしいこいつに、私は悪い気はしなかった。
一角の魔獣が、促すように私を振り返る。
「ここはもういいのか。わかった、次へ行こう」
しっかりと首にしがみつくと、一角の魔獣が走り出す。
どんどん奥へ進む一角の魔獣に、若干の不安を感じながら更に数カ所魔力の濃い場所を回り、森の深部にたどり着いていた。
遠くからも見えていた、切り立った崖から轟々と音を立てて水が落ちる巨大な滝があり、淵の側まで来ると対岸に魔獣と戦う騎士達がいた。
狼を倍以上におおきくしたような赤黒い毛並みを持つ巨大な魔獣は酷く禍々しく、普通の狼程の体躯の魔獣を何十匹も従えて騎士達に襲いかかっていた。
魔法の攻撃をしているのが見えるが、巨大な魔獣の足を止めはできても致命傷を与えるには至っていない。そして、周囲を守る魔獣の連携に阻まれているのが見て取れる。
その混戦のなかにシュラが居るのも見えた。
一角の魔獣が首をおろし、私におりることを促す。
「もういいのか?」
背から飛び降り、元々纏っていた青白い靄すらない一角の魔獣を見上げれば、ヤツはこちらを振り返りもせずに森の中に消えていった。
本当に、魔力を吸わせたかっただけなんだな。
そういえばいままで一度も、一角の魔獣が攻撃を仕掛けてきたことはなかったな……。
「もしかして、私の能力目当てで近づいていたのか?」
ホッとしたような呆れたような、なんとも言えない心地で後ろ姿を見送り、それから対岸へと視線を戻す。
まずは向こうへ渡らねばならない。淵から流れ出る川へ走り、川幅が狭くなる場所を探して下る。
それにしても――なぜ、こんなに胸が膨らむんだ? ステータスを見てみれば、魔力が既に五桁になっている。五桁か……ちょっとやそっとじゃ使い切れんな。
いまの体型が私の万全の状態ということなのだろう、膨らんだ胸は正直に言って邪魔で、走れば上下に揺れてしまう。本当に邪魔だ。
幸いなのは、服の性能なのか、体型が変わったにもかかわらず動きに不都合がないことか。
ここに至るまでに脱げたマントがあれば、多少なりとも体型を隠せたものを。……いや、これだけ変わってしまえば、隠すのも難しいか。
王妃殿下たちにも知られているのだ、もうどうにでもなればいい。
走りながら腹を括ったとき、川に飛び石のように数カ所岩が突き出た場所を見つけた。
これならば、渡れるだろう。
先を見ても川幅はまだ広く、一息で飛び越すのは無理そうだ。やはりここを渡るしかないな。
助走を付けるために後退し、向こうに渡りきる軌道を思い描き、足を踏み出す。
一歩目で二つ目の岩を蹴り、二歩目で五つ目の岩を蹴る、三歩目が一番大きな岩で、あともう一歩は水面に見え隠れするギリギリの岩を――。
最後の岩で、僅かに足を滑らせてしまい、勢いが落ちてしまった私は、あとわずかというところで敢えなく川に落ちてしまった。
とはいえ、すこし下流へ流された程度で向こう岸にたどり着き、ずぶ濡れになった体は、潤沢にある魔力で乾かした。ついでに浄化の魔法もかけてすっきりしたところで、上流に向かって走り出す。
シュラ達は大丈夫だろうか。騎士団の中でも選りすぐりの精鋭が揃っていたし、彼は第一や第十の団長達を相手に訓練もしていたんだ、大丈夫に違いない。
不安を打ち消しながら走った先で最初に遭遇したのは、負傷した騎士だった。
どうやら、滝の淵に至るまでに魔力も尽き、回復もできなくなった騎士のようだ。足手まとい故に、ここで待機しているのだろう。それならば、復帰できるようにするのみ。
「きみ……いや、あなたは? なぜこんな場所に」
腹を割かれ、木に寄りかかって座る騎士が、近づいた私に気付き、げっそりとした顔に不審そうな表情を乗せる。ああそうか、いまの私はこんな形だものな。
「死の女神……か?」
自嘲の笑みをこぼした私に、彼はぽかんと見上げてそう呟いた。
死の女神とは! いや、黒ずくめの服を着た女が、こんな奥地にあらわれたら、人ならぬものと思って当然か。
彼の側に膝をつき、手袋を脱いで頬に触れる。
「完全回復」
魔力の残滓が輝いて舞うなか、負傷は目に見えて回復したものの、痩けた頬は戻らない。回復魔法は肉体の損傷は治しても、魔力を回復することはないのでしかたがない。
「ついでに、魔力もくれてやろう」
返事を聞かぬまま、両手で顔を掴んで目を合わせ、強制的に魔力を注ぎ込む。勿論、副作用は承知しているが、いまはとにかく万全の状態で戦場に叩き戻すのが先だ。
「――っ、ぁっ」
身悶える彼には悪いが、入るだけ魔力を入れて手を離す。
「上流へ急げ。戦いは終わっていないぞ」
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