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第六章
■五月山修羅は重要な情報を入手する
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□修羅サイド□
訓練終了後、人気の無い場所でシュベルツに教えを請うていた。
「俺は、あくまで、聞いただけだからな」
そう念押ししてから、男同士の交わりかた、及び使用すべき消耗品の購入場所などについて、懇切丁寧に教えられた。
「誰と使うかは聞かん! 聞かんが、無理だけはするなよ、回復魔法があるにしても痛みは痛みだからな。それにしても、お前もちょっと前までは、ひょろひょろだったのに、よく育ったもんだよな、この短期間で」
「頑張りましたから」
胸を張る修羅に、シュベルツは苦笑いする、『頑張る』で納得できるような成長ではないことは理解しているのだろうか、この若造はと。
そんな彼の内心を知ってかしらずか、修羅はすこし考えてから、バルザクトから教わった回復魔法をシュベルツに教えた。
「破壊された筋肉はそのままにして、回復か。そういえば、ずっと昔、バルザクトが貴族出の騎士に教えていたかもしれないが……そうか、そういう魔法だったのか」
「魔法を発動させるのが、難しいですけど。効果は絶大です」
言い切った修羅の体型を見れば、その言葉を納得せざるを得ない。
「覚えてみますか? 情報料代わりに」
「いいのか? バルザクトに断ってからのほうが、いいんじゃないのか?」
教えて欲しそうにしながらも、義理を通そうとするシュベルツに、修羅はバルザクトは本当はみんなに使って欲しかったみたいだが、騎士として相応しくない魔法だと貶されたから教えなくなっただけだということを伝えた。
「ああ、貴族出の奴らなら言いそうだ。じゃあ、誰に教えてもいいんだな?」
「騎士団の実力を底上げできるならば」
まずは疲労しなければならないので、ということで二人は組み手を行い、たまたま通りすがった従騎士のケンセル・ヒリングスが嬉々としてそこに参加してきた。
そして十分に疲れ果ててから、例の回復魔法を教える。
平民出の騎士の中でも、魔法の扱いのうまいシュベルツは何度か失敗したものの、根性でそれを獲得し、筋肉に関することならば上下関係を気にしないケンセルの願いを受けて、彼にも魔法を掛けてやる。
自分のレベルアップを期待して小躍りしながら去るケンセルを見送ってから、他の騎士にもこれを教えることを決める。魔法が下手な人間には、シュベルツがかけてやってもいいだろう。
「付与魔法に続いて、面白い魔法を使うよな、お前ら。付与魔法も、もう少し服や靴に耐久力があればいいんだが。貴族のように、すぐに買い換える金がないのが痛いな」
「もっと強度のある、魔獣素材の装備だったらいいんでしょうが」
腐っても騎士なので、国から指定されているもの以外を仕事で着ることはできない。
「そうだな。訓練着になら融通できないか、交渉してみるか」
いいことを思いついたというようにニヤリと口の端を上げたシュベルツは、修羅と分かれて、交渉のために団長の執務室へと向かった。
「さすがに、俺の手持ちを渡すわけにはいけないしな」
騎士団員全員に配布するほどはないし、記憶喪失設定であまり派手なことはできない。カロルに渡した戦闘用大斧ですら、かなり迷ってから渡したものだ。
鑑定の魔法を使うような人間は滅多に居ないので、それが国宝級の武器であることは修羅しか知らないが、カロルにはくれぐれも出所は内緒にしてくれと念を押してある。
「それにしても。……買いに行く時間、なくなったな……」
先程シュベルツに聞いた店へ行こうと思っていたのに、サドい回復魔法を伝授するためにすっかり日が沈んでしまった。
近いうちに買いに行こうと決心して部屋に向かった修羅だが、結局使う機会がないということで、情報は悲しくもお蔵入りになった。
訓練終了後、人気の無い場所でシュベルツに教えを請うていた。
「俺は、あくまで、聞いただけだからな」
そう念押ししてから、男同士の交わりかた、及び使用すべき消耗品の購入場所などについて、懇切丁寧に教えられた。
「誰と使うかは聞かん! 聞かんが、無理だけはするなよ、回復魔法があるにしても痛みは痛みだからな。それにしても、お前もちょっと前までは、ひょろひょろだったのに、よく育ったもんだよな、この短期間で」
「頑張りましたから」
胸を張る修羅に、シュベルツは苦笑いする、『頑張る』で納得できるような成長ではないことは理解しているのだろうか、この若造はと。
そんな彼の内心を知ってかしらずか、修羅はすこし考えてから、バルザクトから教わった回復魔法をシュベルツに教えた。
「破壊された筋肉はそのままにして、回復か。そういえば、ずっと昔、バルザクトが貴族出の騎士に教えていたかもしれないが……そうか、そういう魔法だったのか」
「魔法を発動させるのが、難しいですけど。効果は絶大です」
言い切った修羅の体型を見れば、その言葉を納得せざるを得ない。
「覚えてみますか? 情報料代わりに」
「いいのか? バルザクトに断ってからのほうが、いいんじゃないのか?」
教えて欲しそうにしながらも、義理を通そうとするシュベルツに、修羅はバルザクトは本当はみんなに使って欲しかったみたいだが、騎士として相応しくない魔法だと貶されたから教えなくなっただけだということを伝えた。
「ああ、貴族出の奴らなら言いそうだ。じゃあ、誰に教えてもいいんだな?」
「騎士団の実力を底上げできるならば」
まずは疲労しなければならないので、ということで二人は組み手を行い、たまたま通りすがった従騎士のケンセル・ヒリングスが嬉々としてそこに参加してきた。
そして十分に疲れ果ててから、例の回復魔法を教える。
平民出の騎士の中でも、魔法の扱いのうまいシュベルツは何度か失敗したものの、根性でそれを獲得し、筋肉に関することならば上下関係を気にしないケンセルの願いを受けて、彼にも魔法を掛けてやる。
自分のレベルアップを期待して小躍りしながら去るケンセルを見送ってから、他の騎士にもこれを教えることを決める。魔法が下手な人間には、シュベルツがかけてやってもいいだろう。
「付与魔法に続いて、面白い魔法を使うよな、お前ら。付与魔法も、もう少し服や靴に耐久力があればいいんだが。貴族のように、すぐに買い換える金がないのが痛いな」
「もっと強度のある、魔獣素材の装備だったらいいんでしょうが」
腐っても騎士なので、国から指定されているもの以外を仕事で着ることはできない。
「そうだな。訓練着になら融通できないか、交渉してみるか」
いいことを思いついたというようにニヤリと口の端を上げたシュベルツは、修羅と分かれて、交渉のために団長の執務室へと向かった。
「さすがに、俺の手持ちを渡すわけにはいけないしな」
騎士団員全員に配布するほどはないし、記憶喪失設定であまり派手なことはできない。カロルに渡した戦闘用大斧ですら、かなり迷ってから渡したものだ。
鑑定の魔法を使うような人間は滅多に居ないので、それが国宝級の武器であることは修羅しか知らないが、カロルにはくれぐれも出所は内緒にしてくれと念を押してある。
「それにしても。……買いに行く時間、なくなったな……」
先程シュベルツに聞いた店へ行こうと思っていたのに、サドい回復魔法を伝授するためにすっかり日が沈んでしまった。
近いうちに買いに行こうと決心して部屋に向かった修羅だが、結局使う機会がないということで、情報は悲しくもお蔵入りになった。
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