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序章

3話

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 ステータスとスキルの説明をすると言ったメルティアは真っ白な空間に手を突っ込むとその空間から既に何か書かれている半透明でボードの様なものと数枚の札を取り出した。

「ではステータスとスキルについて説明して行きますね。先ず、ステータスについてですが……こちらのボードを見て下さい」

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勇人の初期ステータス
・芹沢勇人
・年齢15歳
・レベル1
・攻撃力 F+
・防御力 F
・魔力  F-
・素早さ F+
・器用さ F
・総合戦闘力 F  
・スキル【秘密基地 SSS】【神の書 EX(不完全)】 
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「このボードに書いてある通り今のままのステータスではイザレアに送った後直ぐに死んでしまいますので今回は特別に前回勇者として召喚された際の最後のステータスを勇人さんの今の体に適応させたいと思います。そうすれば勇人さんが望んでいたスローライフを堪能しながら私からの依頼を遂行することが出来るはずです。勿論、レベルは一からのスタートなので勇人さんは今よりもっと強くなります。強くなってもらわないと私を含めた地球の神々としても困ってしまいますからね」

「わかった。それで前回の俺のステータスを今の俺に適応させると今の俺の体にはどんな影響が出るんだ」

「はい。今の勇人さんの体ではあの頃の勇人さんの力には到底耐えられませんので適応させると同時に勇人さんの体をそうですね大体1十八歳から二十歳程度まで成長させます。実年齢は変わりませんあくまでも体を成長させるだけですから」

「いやでも体を成長させるってことは実年齢も上がるんじゃないか普通は」

「そこはほら私が神様だと言うことで納得して下さい。私の力を使えばそう言うことも出来るんです~」

「……まあ、わかった。それじゃあ早速やってくれ」

 俺がステータス適応を了承して早速やる様にうながすとメルティアは両手を俺にかざして力を込め始めた。

「よし、力を貯め終わりました。それでは始めますよ」

 メルティアがそう言うとメルティアの手から銀色に光る粒子が放たれ俺の体へと入り込んで来た。

「な、グッ!?、グアァァ!、な、何なんだ。…………グッ、こ、この痛みは…………グアアアアアア!!」

 それから痛みはしばらく続き俺は痛みに耐えきれず気絶した。

「はあ、はあ、はあ、メルティア、俺は一体どの位眠っていたんだ」

「そうですね。大体一時間位でしょうか。……まあ仕方ありませんよ。体の構造を大幅にいじったのですから……それよりも自分の体を確認してみて下さい」

 メルティアはそう言うとまた真っ白な空間から今度は大きな鏡を取り出して俺の前に置いてくれた。

 その鏡には様変わりした俺の体が映っていた。

 鏡に映った俺の体は黒髪で先程までの少しふっくらとした顔ではなくシュッとした顔立ちで自分で自分のことを褒めるのもなんだけどはっきり言ってイケメンだ。

 そして、百六十九センチ程だった身長はグングンと伸び百八十三センチ程になっている。

 足も長いし、俺ってこのまま成長したら三、四年後にはこんなに成長するのか。

 なんか少し地球に戻るのが楽しみになって来たなあ。

「それじゃあ、ステータス適応後の勇人のステータスを確認してみましょうか」

 メルティアが半透明のボードを一度軽く小突くと今までボードに書かれていたステータス適応前の俺のステータスが綺麗さっぱり消え、代わりに適応後の新たなステータスが書き出された。

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勇人の初期ステータス
・芹沢勇人
・年齢15歳
・レベル1
・攻撃力 S+
・防御力 S-
・魔力  SS-
・素早さ S+
・器用さ S
・総合戦闘力 S+
・スキル【秘密基地 SSS】【神の書 EX(不完全)】 
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 成程成程、これが俺の今のステータスか。

 魔力も総合戦闘力も前回召喚された時の最終ステータスより若干高い気がするけどまあ良いだろう。

「最初のステータスより大幅に強くなったな。これでレベル一なんだからレベルMAXのレベル百になったら一体どれ程の強さになるのか今から楽しみの様な恐ろしいような何だか不思議な感じだな」

「あ、その事なんだけど、今回の召喚についてはレベルの上限はないからどこまでも上がって行くわ。この世界イザレアもそうだけどパラレルワールドの地球もレベルの上限を設定していないからね。あっちの世界に戻ってもレベルに制限が掛かることはないわ。……それじゃあスキルの説明に移るわね」

「ああ、頼む」

 メルティアはそう言うとボードを小突いて俺のステータス表を消すとかわりにスキル表と書かれた表がボードに表示させた。 

 ボードに表示されたスキル表には幾つか枠がありその内二つの枠には【神の書 EX(不完全)】と【秘密基地 SSS】のスキルが書かれている。

 ん?そう言えば俺が開花させたスキルって二つともランク無しだったはずだけど…………ちゃんとあるな。

 二つとも全く見たこと無いランクだけど……でもないよりは全然良いよな。

 …………あれ、【神の書 EX】がなんか不完全になってるな…………何でだろう。

 俺が【神の書 EX】のスキルが不完全になっていることについて疑問を感じ首を傾げていると、メルティアがボードに表示されたスキル表を指で指しながら説明を始めた。

「えっと……では先ず、勇人さんが今すごく気になっているであろう【神の書 EX(不完全)】にあるEXと不完全と言う表記について説明しますね。先ずEXとはスキル【神の書】のスキルランクを現しています。なのでスキル【秘密基地 SSS】はスキルランクSSSと言うことになります。では次に【神の書】の(不完全)と言う表記ですが文字通り不完全だと言うことです。勇人さんを召喚するためこの空間に呼んだ時……次元の狭間を通して来たのですが終焉神達の張った結界に阻まれてしまいスキル【神の書】が不完全な状態でこの空間に来てしまったようです。終焉神達の力に阻まれてしまった残りの【神の書】の力は私の仲間である地球の神々が確保し保管しているので勇人さんが地球に戻れる様になったら自動的に戻って来るのでその辺は心配しないで下さい」

「それじゃあ、今の【神の書】にはどれくらいの力が封印されているんだ。前は七十二柱くらいの神々の力が封印されていたはずだけど」

「えっとですね。私ダンジョンと建築の女神メルティアとオリンポスの主神天空神ゼウス、戦神アレスの三柱の神の力と斉天大聖の仙術が使えますが、仙術は何時でもいくらでも使えますが他の三柱の神の力は私の力は制限時間十分、ゼウスの力は制限時間一分、アレスの力は制限時間三分しか今の不完全な【神の書】では使えません」

「そうか。わかった。それでこの【秘密基地】は俺がもう一つの地球で手に入れたスキルだと思うんだけど、一体どう言う能力があるんだ」

「はい。このスキル【秘密基地】は家にある部屋の一つを秘密基地に指定することによってその部屋を秘密の万能部屋にすることが出来るんです。しかも使用者の魔力の多さによって秘密部屋の間取りが大きく変わり色々な機能を持つ部屋を複数作ることが出来るんです。勇人さんの今の魔力量だと秘密の部屋の間取りは大体リビングに個室が四つですね」

 ん~、リビングに個室が四つか――

「それで、俺はイザレアに着いたら一体どこで暮らすんだ。住処とかはそっちで用意してくれるのか?」

「はい。住む場所から家、倉庫やら家具以外の必要そうなものはこちらで一通り用意させていただきます。何か足りないものがあった場合はこの後、建物などの建設位置を決める時に言って頂ければ対応しますので」

「え、俺が自分で建物の位置とか決めて良いのか?」

「ええ、勿論ですよ。今回は私達神々の我儘で勇人さんをこちらの世界に召喚したのですから当たり前です」

 そうなのか…………それじゃあどんな家を建てるかな、その前にどんな場所を俺の生活拠点にしてくれるんだろうな。

「それでは、残り枠のスキルを決めてしまいましょうか」

 メルティアはそう言うと最初に空間から半透明のボードと一緒に出した数枚の札を俺に渡して来た。

「ではこの三枚の札にそれぞれ一つスキル名を書いて下さい。スキルとして成立する物であれば札が光り出し粒子となって勇人さんの体の中に溶け込んで行きます。又スキルとして成立しない物であった場合は何も起こりませんのでまた書き直して下さい。それではスキルを決め終りましたらお声を掛けて下さいね」

 メルティアは俺にそう言うと少し離れた所にちゃぶ台と座布団を取り出すと空間から熱々のお茶を取り出して一服しはじめた。

 さてどうするかな。戦闘系のスキルは【神の書】と勇者としての力があればまあ問題ないだろうし、そうなるとサポート系のスキルに絞った方が良いかな。

 そして、俺は三枚の札にそれぞれスキル名を書き三つのスキルを新たに習得した。

「よし、決まったぞ。…………メルティア待たせたなスキルが決まったぞ」

「そうですか。それでどの様なスキルを習得したのですか」

「ああ、一つ目は【ディメンションゲート】だ。こいつは今までに見たことや行ったことがある場所にゲートをつなげて行き来出来る様にするスキルだ。それで二つ目は【複製】だ。このスキルは俺が持っているスキルや物をいくつでも複製、コピーすることが出来る。そして三つ目の【譲渡&付与】は二つ目の【複製】とセットで使うと凄い力を筆記するスキルだ。まあセットじゃなくても便利なスキルだけどな」

「中々いいスキルを手に入れましたね。……はいちゃんと今手に入れたスキルは勇人さんの魂に定着している様です。それではあちらでの勇人さんの拠点設置の準備を始めましょか」

 メルティアは空間から新たに大きな透明の台座を取り出すとその台座を俺の前に置き台座の真ん中にあるスイッチを押した。


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