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第一部 第一章

89話

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 ブロンとバズに「ああ、頼んだぞ二人とも」と言うとエルクはルリを伴って未だエルク達を警戒してこちらに近づいて来れないでいるオリハルコン級の魔物三十体とヒヒイロガネ級の魔物三体の群れへ愛刀にしている雷刀【雷切】を右手に握りしめ駆け出して行った。

 一方、エルクに「自分達の援護に徹しろ」と言われたブロンとバズは、雷刀【雷切】を横にないで魔物達の群れに切り込んで行き相手の魔物をバッタバッタと切り裂いて倒していくエルクと、氷魔法【氷の爪】で敵の魔物を次々と細切れに切り刻んでいくルリの援護や支援をするために空を飛びエルク達を襲ってくる魔物を魔法で牽制していた。

「バズ、絶対に空の魔物を撃ち漏らすんじゃないぞ。主殿とルリ様が何の憂いも無く地上の魔物にだけ集中できるようにしないといけないからな」

「うん。それが僕達の仕事だもんね」

 ブロンとバズは空を飛びエルク達を襲おうとしている魔物、グリフォンやワイバーン等を打ち落とすためにブロンは雷魔法の最上級魔法の一つ【ボルテクスライトニング】をバズは風魔法の最上級魔法の一つ【テンペストサイクロン】を空を飛行する魔物に向かって放ち牽制し始めた。

 ブロンとバズが放った二つの最上級魔法は何を間違ってしまったのか上空にいる飛行魔物だけでなく、その猛威はエルクとルリが殲滅に当たっていた地上の魔物にまで及んだ。

 しかし、猛威は幸か不幸かエルク達に被害を与えず、むしろエルク達の助けとなりエルク達がまだ到達していなかった群れの後方に居るヒヒイロガネ級の魔物やオリハルコン級の魔物の中でも最強の部類に入るドラゴン種や巨人種にも少なくないダメージを与えていた。

「お、おお、何だか強力過ぎたんじゃないかな。後でご主人様とルリ様に怒られないと良いけど、父さん、大丈夫かな」

「ま、まあ、大丈夫じゃないか。……たぶん大丈夫なはずだ。誤射したわけじゃないし、むしろ主殿たちの役に立っているんじゃないか。……ほら、見てみろ。我らの放った魔法が後方の魔物達にダメージを与えているぞ。――主殿達に先んじて後方の魔物にダメージを与えておくことで主殿達が後方に辿り着きあの魔物達に攻撃をする時に少しでも楽に仕留められるのであれば、それはとてもいい事ではないか」

「成程、では、今回の結果は結果オーライと言うことですね」

「うむ、そう言うことだ。たぶん怒られないはずだ」

 一方、ブロンとバズが放った最上級魔法が上空だけでなく地上にまで猛威を振るい始めた時、魔物の群れに切り込んでいたエルクとルリは、突然辺り一面を暴風と落雷が現れ魔物の群れを蹂躙し始めたので、自分の身を守るためにエルクは全身に仙気を纏い仙気のバリアを張り、ルリは人間形態からフェンリル形態に変身して防御力を上昇させてそのままの勢いで群れの中を魔物を切り込みながら進んで行った。



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