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第一部 第一章

65話

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 朝食を食べ終わったエルクとルリは、宿の受付カウンターに行き、部屋の鍵を返してチェックアウトした後、この宿場町を出て領都ロクスへと向かう街道をまた歩き始めた。

 宿場町を出たエルクとルリは、今日中に依頼を達成したかったので街道の人通りがないことを確認すると、無限収納から魔道馬車を取り出し中に乗り込むと、今回の依頼の目的地である迷いの森まで猛スピードで走らせた。

 魔道馬車で迷いの森に向かって数時間後、午後の三時を少しまわった頃、エルクとルリは今回の依頼の目的地である迷いの森に辿り着いた。

「ここが迷いの森か。一目見ただけで大きいとわかる位、広大な森だな。取り敢えず今のところは森付近の街道には荒らされた荷馬車や遺体、それにオーガ自体の姿も見当たらないし、オーガの群れはまだ森の中から出て来てないのか。ルリ、森の中を気配察知で少し調べてみてくれないか。ルリの方が俺より察知範囲が広いから何かわかるかも知れない」

「わかったわ。ちょっと待ってて」

 ルリはそう言うと、目を瞑り集中し始めた。

 それから暫くして、集中して気配察知で索敵を行っていたルリが静かに目を開けた。

「それで、何かわかったか。ルリ」

「ええ、わかったわよ。先ず、この森の中層のしかも深層寄りに生息しているはずのオーガが、中層よりとは言え浅層に集落を築いているわね。これだけでも異常事態だけれど、その集落からこの街道に向けて二十体のオーガが向かってきているわ。多分だけど、ここまで獲物を取りに来る途中なんじゃないかしら」

「成程な。取り敢えず、こちらに向かってきているそのオーガの群れは街道に出てきたら直ぐに処理しよう。それと、オーガの集落は取り敢えず、今のところは放置だな。根本の問題を解決しよ」

「そうね。こっちに向かって来るオーガの群れを処理した後に、この迷いの森の深層を少し調べた方が良いわね」

 エルクとルリがその様に話していると、森の茂みがガサガサと鳴り始め、その奥にオーガの三メートル位ある大きな体のシルエットが次々と現れ始めた。

「ルリ、オーガの群れが出て来たぞ。戦闘態勢だ。こちらから一気に仕掛けるぞ」

「ええ、わかったわ」

 そして、エルクは仙気を体に纏い、ルリは人間形態のまま両手に純粋な魔力を纏わせて森から出て来たオーガの群れに向かって駆けたして行った。

 仙気を纏う事によって自分の身体能力を低めにセーブしたエルクは、オーガの体を出来るだけ気付付けない様にオーガ達の攻撃を捌きながら手刀で一体ずつ首を確実に落として行った。

 一方のルリもエルクと同じ様にオーガの体を余り痛めつけない様に自慢の俊敏力を駆使して、次々とオーガの首を切り落としていた。

 そして、お互いに十体ずつオーガを倒したエルクとルリは、オーガの死体を無限収納に回収すると、街道にそのまま置いてあった魔道馬車の前に集合すると、一度馬車の中に入りこの後どの様に動くかについて馬車内のリビングで紅茶を飲みながら話し始めた。






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