上 下
37 / 91
第一部 第一章

37話

しおりを挟む
 エンプレスセイントアントとセイントアントクイーン(幼体)にフェリスとアリスと言う名前を付け終えたエルク達は、フェリスとアリスを連れてキラーアントの巣を出て行った。

 キラーアントの巣を出たエルク達は、そのまま急いでテキト村の近くまで戻って来た。

 テキト村まであと少しと言う所でエルクは一度立ち止まり、フェリスとアリスに人化する様に言った。

「その姿のままだと村人達が警戒してしまうからな。ここで人化しておいた方が良いだろう。後で、俺の仲間達には改めて紹介させて貰う」

 フェリスとアリスが人化をし終わりテキト村に戻って来ると、村の門の所に俺達と別行動をしていたブロンとその息子のバズがいた。

「おお、主、戻ったか。村人達は今のところ大丈夫だ。今、トイニーとノワールが看病をしている。我達は村の入り口の見張りと主とルリ様の出迎えをやる様にトイニーにきつく言われてしまってな」

「お前、もしかして村人の看病が出来なかったんじゃないか。それで邪魔だからってトイニーに追い出されたんだろ。それで、バズはブロンの見張り役ってところか」

「良くわかりましたね。そのとうりです。父を一人にしておくと何をしでかすかわからないから見張っている様にと、母から言われました」

「何、息子よ、我はその様なことは聞いておらぬぞ」

「それはそうだよ。父さん、言ったら絶対駄々をこねるだしょ。それを防ぐために黙っておくように母さんに言われたんだよ」

「ぐぬぬぬ、トイニーのやつ」

「ブロン、お前、全然信用されていないのな」

「あ、主まで、酷過ぎるのだ。……ところで主とルリ様の後ろにいるその二人はどちら様なのだ」

 ブロンの質問にエルクはここではなんだから村長の家で話そうと言い村長の家に向かった。

 村長の家の居間にトイニーとノワール以外の仲間を連れて来たエルクは、フェリスとアリスの事を教えた。

「成程、詰まりこの二人が元エンプレスキラーアントとその子のエンプレスキラーアント(幼体)で、主によってテイムされて、今は、エンプレスセイントアントとセイントアントクイーン(幼体)になっていて、我々の仲間になっていると、そう言う事ですな」

「そうだ。それと、万能解毒薬を作るのに必要なエンプレスキラーアントの酸の原液はフェリスをテイムする前にわけて貰ったから、問題なく作ることが出来るぞ。と言う訳で俺はこれから万能解毒薬を作るからその間お前達はトイニー達の手伝いをしていてくれ。あ、ブロン、絶対にトイニー達の邪魔にならない様にな」

「わかっている」

 そして、村長の家にエルクを残して他の皆はトイニーとノワールのいる教会へと向かって行った。

 ブロン達を見送ったエルクは、村長の家の居間にある机の上にブロンから受け取った人面草の葉と小ビンに詰めたフェリスの酸、ファイアドラゴンの牙一つ、グランドタートルの甲羅一つ、清らかな水を置いて万能解毒薬を作る準備を整えた。

「さてと、作るかな。頼むぞ錬金眼。成功してくれよ」

 そして、エルクは錬金眼を発動した。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

誕生日当日、親友に裏切られて婚約破棄された勢いでヤケ酒をしましたら

Rohdea
恋愛
───酔っ払って人を踏みつけたら……いつしか恋になりました!? 政略結婚で王子を婚約者に持つ侯爵令嬢のガーネット。 十八歳の誕生日、開かれていたパーティーで親友に裏切られて冤罪を着せられてしまう。 さらにその場で王子から婚約破棄をされた挙句、その親友に王子の婚約者の座も奪われることに。 (───よくも、やってくれたわね?) 親友と婚約者に復讐を誓いながらも、嵌められた苛立ちが止まらず、 パーティーで浴びるようにヤケ酒をし続けたガーネット。 そんな中、熱を冷まそうと出た庭先で、 (邪魔よっ!) 目の前に転がっていた“邪魔な何か”を思いっきり踏みつけた。 しかし、その“邪魔な何か”は、物ではなく────…… ★リクエストの多かった、~踏まれて始まる恋~ 『結婚式当日、婚約者と姉に裏切られて惨めに捨てられた花嫁ですが』 こちらの話のヒーローの父と母の馴れ初め話です。

【短編集】恋愛のもつれで物に変えられた男女の運命は!?

ジャン・幸田
恋愛
 短編のうち、なんらかの事情で人形などに変化させられてしまう目に遭遇した者たちの運命とは!?  作品の中にはハッピーエンドになる場合とバットエンドになる場合があります。  人を人形にしたりするなど状態変化する作品に嫌悪感を持つ人は閲覧を回避してください。

専属奴隷として生きる

佐藤クッタ
恋愛
M性という病気は治らずにドンドンと深みへ堕ちる。 中学生の頃から年上の女性に憧れていた 好きになるのは 友達のお母さん 文具屋のお母さん お菓子屋のお母さん 本屋のお母さん どちらかというとやせ型よりも グラマラスな女性に憧れを持った 昔は 文具屋にエロ本が置いてあって 雑誌棚に普通の雑誌と一緒にエロ本が置いてあった ある文具屋のお母さんに憧れて 雑誌を見るふりをしながらお母さんの傍にいたかっただけですが お母さんに「どれを買っても一緒よ」と言われて買ったエロ本が SM本だった。 当時は男性がSで女性がMな感じが主流でした グラビアも小説もそれを見ながら 想像するのはM女性を自分に置き換えての「夢想」 友達のお母さんに、お仕置きをされている自分 そんな毎日が続き私のMが開花したのだと思う

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~

藤森フクロウ
ファンタジー
 相良真一(サガラシンイチ)は社畜ブラックの企業戦士だった。  悪夢のような連勤を乗り越え、漸く帰れるとバスに乗り込んだらまさかの異世界転移。  そこには土下座する幼女女神がいた。 『ごめんなさあああい!!!』  最初っからギャン泣きクライマックス。  社畜が呼び出した国からサクッと逃げ出し、自由を求めて旅立ちます。  真一からシンに名前を改め、別の国に移り住みスローライフ……と思ったら馬鹿王子の世話をする羽目になったり、狩りや採取に精を出したり、馬鹿王子に暴言を吐いたり、冒険者ランクを上げたり、女神の愚痴を聞いたり、馬鹿王子を躾けたり、社会貢献したり……  そんなまったり異世界生活がはじまる――かも?    ブックマーク30000件突破ありがとうございます!!   第13回ファンタジー小説大賞にて、特別賞を頂き書籍化しております。  ♦お知らせ♦  余りモノ異世界人の自由生活、コミックス3巻が発売しました!  漫画は村松麻由先生が担当してくださっています。  よかったらお手に取っていただければ幸いです。    書籍のイラストは万冬しま先生が担当してくださっています。  7巻は6月17日に発送です。地域によって異なりますが、早ければ当日夕方、遅くても2~3日後に書店にお届けになるかと思います。  今回は夏休み帰郷編、ちょっとバトル入りです。  コミカライズの連載は毎月第二水曜に更新となります。  漫画は村松麻由先生が担当してくださいます。  ※基本予約投稿が多いです。  たまに失敗してトチ狂ったことになっています。  原稿作業中は、不規則になったり更新が遅れる可能性があります。  現在原稿作業と、私生活のいろいろで感想にはお返事しておりません。  

お前を必ず落として見せる~俺様御曹司の執着愛

ラヴ KAZU
恋愛
まどかは同棲中の彼の浮気現場を目撃し、雨の中社長である龍斗にマンションへ誘われる。女の魅力を「試してみるか」そう言われて一夜を共にする。龍斗に頼らない妊娠したまどかに対して、契約結婚を申し出る。ある日龍斗に思いを寄せる義妹真凜は、まどかの存在を疎ましく思い、階段から突き落とす。流産と怪我で入院を余儀なくされたまどかは龍斗の側にはいられないと姿を消す。そこへ元彼の新が見違えた姿で現れる。果たして……

彼女の母は蜜の味

緋山悠希
恋愛
ある日、彼女の深雪からお母さんを買い物に連れて行ってあげて欲しいと頼まれる。密かに綺麗なお母さんとの2人の時間に期待を抱きながら「別にいいよ」と優しい彼氏を演じる健二。そんな健二に待っていたのは大人の女性の洗礼だった…

愛理の場合 〜レズビアンサークルの掟〜

本庄こだま
恋愛
 美貌と妖艶。倒錯した性欲の覚醒。汚れた世界で信じられるものは、自分自身の“肉体”のみ……。  ウリ専レズビアンの「愛理」は、今宵も女を求めてホテル街に立ち、女に買われ、そして女に抱かれる。  ある夜、一人のレズナンパ師「恭子」に出会い「レズサークル」の乱交パーティーへと誘われた事から、愛理の運命の歯車が歪な音を立てて動き出すーー。  ※この作品は過度な性描写があります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。  ※この作品には同性愛描写、ふたなりの登場人物等、アブノーマルな設定が登場します。苦手な方はご注意ください。

処理中です...