上 下
2 / 91
第一部 第一章

2話

しおりを挟む
 ダンジョンの中へと入ったエルクは、冒険者になってから愛用しているアイアンソードを右手に握りしめながら一階層の探索を開始した。

「アダマンタイト級のダンジョンに入るのは今回が初めてだけど、他の洞窟型の低ランクダンジョンと内装は変わらないんだな。お、早速、魔物のお出ましか。ん、こいつは何だ。アイアン級のホーンラビットに似ているけど、ちょっと違うみたいだな」

 ダンジョンに入ってから最初にエルクの前に現れた魔物は角ではなくソードを頭から生やしたラビットだった。

 エルクは、そのソードを生やしたラビットをソードラビットと呼ぶことにして、警戒を最大限にしてソードラビットを観察することにした。

「こいつは初めて見る魔物だけど、どうやら攻撃パターンは、ホーンラビットと大差ない様だな。まあ、あのソードは角よりも殺傷能力がありそうだけどな。対処法もわかったしサックと倒して先に進もう」

 そして、暫くしてソードラビットの突進を横に避けて首を切り飛ばしたエルクは、ドロップ品である魔石を無限収納にしまうと、先に進んで行った。

 そんな感じで一階層、二階層、三階層、四階層を進んで行き、階段を下りて五階層に降りると、そこには今までは無かった巨大な扉が鎮座していた。

「ここは、中ボスの部屋か。ゴールド級ダンジョン以上になると十階層ごとのボス部屋の前に中ボスの部屋があるけど、やっぱりここのダンジョンにもあったか。さて、一体この部屋の中には何がいるのかな」

 エルクは、中ボス部屋に入る前に軽い食事を取り軽い小休憩を挟んでから中ボス部屋の中へと入って行った。

 エルクが中ボス部屋の中へ入ると中にはホーンラビットやソードラビットと同じくらいの大きさのドリルの生えたラビットが部屋の中央に寝そべっていた。

「お、今度は頭にドリルが生えたラビットだ」

 今まで部屋の中央に寝そべっていたドリルラビットはエルクの呟きを聞いて首だけ持ち上げるとエルクの方を見てからのっそりと起き上がり改めてエルクを見つめると甲高い雄たけびをあげた。

 エルクは、ドリルラビットの雄たけびを聞いて一気に警戒度を最大にしてアイアンソードを構えてドリルラビットを迎え撃った。

「体の大きさもホーンラビットやソードラビットと同じくらいだし、同じ要領で攻撃すれば大丈夫だよなあ。兎に角やってみるしかないか」

 エルクは、ドリルラビットと数回剣を交えたが、エルクは大丈夫だと判断したのか、ホーンラビットやソードラビットの時と同じようにドリルラビットの突進を避けて首を落とそうとして剣を右手に持って構えた。

 しかし、ドリルラビットの突進は前の二体の突進とは一味違った。

 突進のスピードが前の二体のスピードよりもはるかに速かったのだ。

 エルクは、とっさに避けるタイミングを今までよりも早くして避けたが、ドリルラビットの突進は、思っていた以上に早くちゃんと避けることが出来ず、左腕にドリルラビットのドリルがかすってしまったが、エルクはドリルラビットの動きが一瞬止まったのを見逃さずその隙を突いて首を切り落としてドリルラビットを倒すことに成功した。

 ドリルラビットを軽傷を負いながらも倒すことが出来たエルクは、無限収納から回復ポーションを取り出すと一気に飲み干して負った怪我を治してから中ボスであるドリルラビットの討伐報酬である魔石と宝箱を無限収納に回収すると宝箱と一緒に現れた扉を開けて階段を下りて六階層に向かった。

 六階層からは、今までの階層と異なり出現する魔物はラビット系からゴブリンに変わっていた。

「次の階層はゴブリンか。ゴブリンエリートまでならオレ一人でも対処できるけど、更に上位種のゴブリンナイトとかが複数体出てきたらオレじゃあ少し厳しいかも知れないなあ」

 しかし、エルクの心配は杞憂に終わり結局六階層と七階層にはただのゴブリンしか出現しなかった。

「六階層と七階層にはゴブリンしか出て来なかったからこの八階層からは、そろそろ上位種のゴブリンエリートとかが出て来るんだろうなあ」

 エルクは、八階層に降りてから暫く魔物には出くわさずに探索を続けていたが、遂に魔物と遭遇した。

「っ、遂に出て来たか。ゴブリンエリート二体。まあ、二体なら何とかなるか」

 エルクは、アイアンソードを構えると少しずつ二体のゴブリンエリートに近づいて行き道中で拾って来た石を片方のゴブリンエリートに向かって投げつけて、怯ませているうちにもう片方のゴブリンエリートに切りかかり腕と足に切り傷を負わせて手負いの状態にして動き難くして今度は、投石で怯んでいたもう片方のゴブリンエリートに切りかかって行った。

 そして、投石で怯んでいた方のゴブリンエリートを少し時間をかけて倒した後、手負いの状態で動けなくなっていたもう片方のゴブリンエリートに止めをさして八階層での最初の戦闘を無事に終えた。

「よし、何とか作戦は成功したな。この調子で探索して行こう」

 その後、エルクは、二体までの魔物とは戦い三体以上の魔物と遭遇した時は、無理せずに回避しながら先へと進み八階層を踏破して、九階層へと続く階段を降りて行った。

 そして、エルクは、九階層も八階層と同様に二体までの魔物とは戦い三体以上の魔物と遭遇した時は、無理せずに回避して先に進むと言う作戦で探索して行き、無事に踏破することが出来た。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる

グリゴリ
ファンタジー
『旧タイトル』万能者、Sランクパーティーを追放されて、職業が進化したので、新たな仲間と共に無双する。 『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる』【書籍化決定!!】書籍版とWEB版では設定が少し異なっていますがどちらも楽しめる作品となっています。どうぞ書籍版とWEB版どちらもよろしくお願いします。 2023年7月18日『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる2』発売しました。  主人公のクロードは、勇者パーティー候補のSランクパーティー『銀狼の牙』を器用貧乏な職業の万能者で弱く役に立たないという理由で、追放されてしまう。しかしその後、クロードの職業である万能者が進化して、強くなった。そして、新たな仲間や従魔と無双の旅を始める。クロードと仲間達は、様々な問題や苦難を乗り越えて、英雄へと成り上がって行く。※2021年12月25日HOTランキング1位、2021年12月26日ハイファンタジーランキング1位頂きました。お読み頂き有難う御座います。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

仲間を庇って半年間ダンジョン深層を彷徨った俺。仲間に裏切られて婚約破棄&パーティー追放&市民権剥奪されたけど婚約者の妹だけは優しかった。

蒼井星空
恋愛
俺はこの街のトップ冒険者パーティーのリーダーだ。 ダンジョン探索は文字通り生死をかけた戦いだ。今日も俺たちは準備万端で挑む。しかし仲間のシーフがやらかしやがった。罠解除はお前の役割だろ?なんで踏み抜くんだよ。当然俺はリーダーとしてそのシーフを庇った結果、深層へと落ちてしまった。 そこからは地獄の日々だった。襲い来る超強力なモンスター。飢餓と毒との戦い。どこに進めばいいのかも分からない中で死に物狂いで戦い続け、ようやく帰っていた。 そこで待っていたのは、恋人とシーフの裏切りだった。ふざけんなよ?なんで俺が罠にかかって仲間を危険に晒したことになってんだ!? 街から出て行けだと?言われなくてもこっちから願い下げだよ! と思ったんだが、元恋人の妹だけは慰めてくれた。 あのあと、元仲間たちはダンジョンを放置したせいでスタンピードが起こって街もパーティも大変らしい。ざまぁ!!!! と思ってたら、妹ちゃんがピンチ……。 当然助けるぜ? 深層を生き抜いた俺の力を見せてやるぜ!

大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います

騙道みりあ
ファンタジー
 魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。  その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。  仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。  なので、全員殺すことにした。  1話完結ですが、続編も考えています。

パーティーを追放された装備製作者、実は世界最強 〜ソロになったので、自分で作った最強装備で無双する〜

Tamaki Yoshigae
ファンタジー
ロイルはSランク冒険者パーティーの一員で、付与術師としてメンバーの武器の調整を担当していた。 だがある日、彼は「お前の付与などなくても俺たちは最強だ」と言われ、パーティーをクビになる。 仕方なく彼は、辺境で人生を再スタートすることにした。 素人が扱っても規格外の威力が出る武器を作れる彼は、今まで戦闘経験ゼロながらも瞬く間に成り上がる。 一方、自分たちの実力を過信するあまりチートな付与術師を失ったパーティーは、かつての猛威を振るえなくなっていた。

俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前。でも……。二人が自分たちの間違いを後で思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになる。

のんびりとゆっくり
恋愛
俺は島森海定(しまもりうみさだ)。高校一年生。 俺は先輩に恋人を寝取られた。 ラブラブな二人。 小学校六年生から続いた恋が終わり、俺は心が壊れていく。 そして、雪が激しさを増す中、公園のベンチに座り、このまま雪に埋もれてもいいという気持ちになっていると……。 前世の記憶が俺の中に流れ込んできた。 前世でも俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前になっていた。 その後、少しずつ立ち直っていき、高校二年生を迎える。 春の始業式の日、俺は素敵な女性に出会った。 俺は彼女のことが好きになる。 しかし、彼女とはつり合わないのでは、という意識が強く、想いを伝えることはできない。 つらくて苦しくて悲しい気持ちが俺の心の中であふれていく。 今世ではこのようなことは繰り返したくない。 今世に意識が戻ってくると、俺は強くそう思った。 既に前世と同じように、恋人を先輩に寝取られてしまっている。 しかし、その後は、前世とは違う人生にしていきたい。 俺はこれからの人生を幸せな人生にするべく、自分磨きを一生懸命行い始めた。 一方で、俺を寝取った先輩と、その相手で俺の恋人だった女性の仲は、少しずつ壊れていく。そして、今世での高校二年生の春の始業式の日、俺は今世でも素敵な女性に出会った。 その女性が好きになった俺は、想いを伝えて恋人どうしになり。結婚して幸せになりたい。 俺の新しい人生が始まろうとしている。 この作品は、「カクヨム」様でも投稿を行っております。 「カクヨム」様では。「俺は先輩に恋人を寝取られて心が壊れる寸前になる。でもその後、素敵な女性と同じクラスになった。間違っていたと、寝取った先輩とその相手が思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになっていく。」という題名で投稿を行っております。

「おっさんはいらない」とパーティーを追放された魔導師は若返り、最強の大賢者となる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~

平山和人
ファンタジー
かつては伝説の魔法使いと謳われたアークは中年となり、衰えた存在になった。 ある日、所属していたパーティーのリーダーから「老いさらばえたおっさんは必要ない」とパーティーを追い出される。 身も心も疲弊したアークは、辺境の地と拠点を移し、自給自足のスローライフを送っていた。 そんなある日、森の中で呪いをかけられた瀕死のフェニックスを発見し、これを助ける。 フェニックスはお礼に、アークを若返らせてくれるのだった。若返ったおかげで、全盛期以上の力を手に入れたアークは、史上最強の大賢者となる。 一方アークを追放したパーティーはアークを失ったことで、没落の道を辿ることになる。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...