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エピローグ
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ここまで話をすると、美しい館の女性が音を立てて本を閉じた。
「この物語は、ここで終わりです。人は輪廻転生を繰り返します。この後、この2人がどうなったのか…は、又、別のお話です」
そう言うと、小さく微笑んで
「もし再び、此処でお会い出来たら…お聞かせ致しましょう」
彼女はそう言うと、ゆっくりと降りて来た螺旋階段を昇り始めたのだ。
二階まで昇り切るのを見ていると、2階のエントランスから顔を出し
「そうそう。この国はこの後、間も無く滅びてしまいます。少女を失った国王は、怒りに任せて少女を殺してしまった後、どれほど彼女を愛していたのかを知る事になるのです。愛する少女を失った王は、戦意を喪失して自分の息子に殺されて生涯を終えます。人というものは…、いつの時代も過ちを繰り返す」
と話し、その女性はゆっくりと2階の奥へと消えてしまった。
まるで夢を見ているような状況に呆然としていると、濃い霧に辺りが包まれて行く。
ゆっくりと霧が晴れると、そこは電車の車内だった。
「夢か…」
ぽつりと呟き、再び目を閉じる。
電車の走る音が響き、いつもの日常へと戻って行く。
ここは思い出の館。
もし、再びあなたがこのお話に出会う事が出来たとしたら、次にあなたが目にする物語は、忘れ去られたあなたの魂の記憶かもしれませんね……。 [完]
「この物語は、ここで終わりです。人は輪廻転生を繰り返します。この後、この2人がどうなったのか…は、又、別のお話です」
そう言うと、小さく微笑んで
「もし再び、此処でお会い出来たら…お聞かせ致しましょう」
彼女はそう言うと、ゆっくりと降りて来た螺旋階段を昇り始めたのだ。
二階まで昇り切るのを見ていると、2階のエントランスから顔を出し
「そうそう。この国はこの後、間も無く滅びてしまいます。少女を失った国王は、怒りに任せて少女を殺してしまった後、どれほど彼女を愛していたのかを知る事になるのです。愛する少女を失った王は、戦意を喪失して自分の息子に殺されて生涯を終えます。人というものは…、いつの時代も過ちを繰り返す」
と話し、その女性はゆっくりと2階の奥へと消えてしまった。
まるで夢を見ているような状況に呆然としていると、濃い霧に辺りが包まれて行く。
ゆっくりと霧が晴れると、そこは電車の車内だった。
「夢か…」
ぽつりと呟き、再び目を閉じる。
電車の走る音が響き、いつもの日常へと戻って行く。
ここは思い出の館。
もし、再びあなたがこのお話に出会う事が出来たとしたら、次にあなたが目にする物語は、忘れ去られたあなたの魂の記憶かもしれませんね……。 [完]
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