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王室からの依頼

8.※

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 今は低い位置で緩く纏められただけのブルネットのカイルの髪が、ユーリの肩に降り注いだ。髪と同じ色の瞳に見つめられて、繊細な部分に触れられた余韻を残したユーリの体は、無意識に期待を抱いて強張った。

「おまえとユリウスに何があったっていうんだ? なぜ俺がそれを知らない」

 いつもは王族を呼び捨てするなと言うのに、カイルは今ユリウスへの敬称を忘れているようだ。多分、今のカイルの頭には王太子ではなく、少年期に共に過ごした旧友として、ユリウスの姿が浮かんでいる。

「僕が、ユリウスに頼まれた届け物……うまく届けられなかったから」
「届け物?」

 ユーリの言葉に、カイルは「なんだそんなことか」と表情を緩めた。

「その届け物が何か知らないが、そんなことくらいで、ユリウスはおまえに怒っているのか?」

 言いながら、カイルは片手でユーリのズボンと下着を足から抜いた。
 下半身だけ何も纏わずに、ユーリはカイルの体を間に挟んで脚を広げる姿になる。

「怒ってないよ、ユリウスは、僕に、怒ったりしない」
「そうだよな、ユリウスは鷹揚なやつだし、ことさらおまえには甘かった」
「んっ……あっん……!」

 ぐいと腰を引き寄せられ、押し当てられたカイルの性器が、ユーリの後孔のヒダを開いて内壁をゆっくりと滑るように掻き分けた。その感覚に、ユーリは思わず声をあげ、力んだせいでピンと伸びた自分のふわふわ尻尾を抱き寄せた。

「カイルっ……そこっ……んっ……ぁっ!」

 ユーリの中にあるすぐに気持ちよくなってしまうところ。カイルはそこをわざとらしくくすぐるように、でも確信は突かないまま、ユーリの中で性器を揺り動かしている。

「だから、罪滅ぼしだなんて、ユリウスは望んでないはずだ。おまえはそんなこと考えなくていい」
「んっ……で、でもっ……あっ……んんっ……」
「どうした、ちゃんと喋れ」

 カイルは揶揄うように笑いながら、汗の浮かんだユーリの額にちゅっと音を鳴らして口付けた。その優しい仕草とは裏腹に、内部の性器は容赦なく内壁を刺激し続けている。
 ユーリの中にじわじわと快感が積み重なり、更に求めて誘い込むように、孔が勝手にカイルの性器を締め付けて収縮を繰り返していた。

「ぁぁっ! カイル、カイルっんっ……気持ちいっ……あっ……んんっ」
「ここだろ? もっといっぱい突いてやるから、ほら掴まんな」
「あっ……! カイルッ……!」

 ユーリは昂る感覚の解放を求めて、カイルの首に腕を回してしがみついた。
 カイルはいっそう激しく体を揺らし、カイルの性器の先端がユーリの一番気持ちいいところを、的確に何度も引っ掻いた。

「カイル、あ、あのねっ……んっそれだけ……じゃなくてっ……」
「あっ?」

 身も心も快楽に委ねようとする流れを止めたからなのか、カイルは少々苛立たしげな荒い呼吸のままユーリの言葉の続きを促した。

「僕っ……んぁっ……王都に行きたい……星祭に行ってみたいし……ユリウスにもっ……んんっ……あ、会いたっ……あっ……ああぅ!」

 首に回していたユーリの腕をカイルが掴んだ。両手首をシーツに押さえつけられ、もう少し深く、カイルの性器がユーリの中を埋めていく。

「誰に教わったんだ?」
「んっ……ぁっあっ……!」
「ベッドでねだるなんて狡いやつだな、おまえは」
「とりあえず、んっ……来るだけでもいいって……言ってたし……ぁっ……」
「まあ、そうだが……」

 カイルは吐息を漏らすユーリの唇に口付けた。「俺はおまえが心配なんだ」とカイルは言う。
 ユーリのことをとても大切にしているみたいなその仕草と言葉に、ユーリの胸元はぎゅうと締め付けられていった。
 カイルはユーリの亜麻色の髪が好き、透き通るような青い瞳と、陶器のような白い肌が好き。
 ユリウスにそっくりなユーリのこの顔が好き。
 カイルはユリウスにそっくりだからユーリのことが好き。
 カイルはユリウス王子が好き。
 ユーリはずっとそれを知っている。
 だからユーリは自分がユリウスにそっくりで、本当に良かったと思っているのだ。
 ユリウスに似ているということはユーリにとってはとても大切なこと。そのことがカイルや、他の誰かの役に立つならユーリはとても嬉しい。
 だから、ユーリは王都に行きたいのだ。ユリウスの力になりたいし、カイルとユリウスを会わせてあげたいと思う。
 ユーリが昔、届けなかったもの。
 それはユリウスからカイルへの手紙だ。ユーリはその手紙の中身を見てしまった。そこに書かれていた言葉から、ユーリはユリウスの気持ちを知った。ユリウスもカイルのことが好きなのだ。

「あっ……カイル……きもちっ……イっちゃう!」

 カイルは笑って「いいよ、いこう」とユーリの耳元で囁いた。
 それが「王都へ」と言う意味なのか、「絶頂を迎えよう」と言う意味なのかハッキリと判断できないまま、ユーリは体の中で弾けた快楽の渦に身を委ね、白濁を溢れさせた。
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