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第二部(スピンオフ)【レオンくんのしっぽ】
14.天使のお迎え②
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マコはレオンが現れてから、ずっと鼻息を荒くしている。ハトちゃんもそうだけど、マコの方が本気度が伺えた。
「ね、レオンくん。慎さんち泊めてもらったってことは、やっぱりそういう関係なの?」
バーカウンターに伏せた俺の肩に手を乗せて寄りかかりながら、マコはレオンに尋ねている。
「そーだよ」
レオンはハトちゃんにもらったオレンジジュースを片手に、なんの躊躇いもなく頷いた。マコの質問の意味がわかっていないんじゃないかと思うほどに、恥ずかしがるそぶりもない。
「まじっ⁈ でも、慎さんタチでしょっ⁈ てことはレオンくんネコなの?」
「んーん、違うよ?」
「えええっ⁈ ってことは慎さんがっ⁈」
マコが驚いて体をのけぞらせたタイミングで俺はムクリと体を起こした。
「マコ、無粋なこと聞きすぎだよ」
俺はちょっと攻め様モードで、可愛らしいマコの顎を掴んで額を寄せた。マコはこういう俺様Sっぽいのが結構好きで、今もまんざらでもない顔で俺のことを見つめている。
マコの顎を解放すると、今度俺はレオンの襟を少々乱暴に掴んで引いた。予想外だったのか、レオンは危うくスツールから落ちそうになって、俺の肩に掴まった。
「レオンくんはね、今、俺が口説いてるネコちゃんだから、手出さないでね」
「「ひゃーっ❤︎」」
何故か向こうにいたはずのハトちゃんもマコと一緒に歓声を上げた。
「慎さん、俺、ネコじゃないよ?」
「だいじょーぶ、俺がネコにしてあげるから」
言いながら俺は背中でレオンに寄りかかり、肩越しに顎をくすぐった。
「慎さん酔ってキャラ変わってる! これはこれでアリだわっ!」
「ねぇ、ホテル行くなら俺も混ぜて? 三人でしよーよ!」
マコが俺の腕に絡みついて体を揺らした。
「ホテル、三人?」
レオンが初めて聞いた単語だとでも言いたげに、マコに向かって首を傾げた。
「そうそう、三人! 慎さん酔ってて勃たなかったら、俺とレオンくんでしちゃえばいいじゃんっ?」
「うん?」
「こらっ、マコッ、レオンくんは俺のネコちゃんだっていってるだろっ」
俺はまたマコの顎を掴んで、冗談混じりに怒って見せた。
「マコ、行ったことあるの? 慎さんと、ホテル」
「んっ?」
レオンの質問にマコはパチパチと瞬きをした。そしてその後で姿勢を正して座り直し、カウンターに肘をつき、なんだか得意げな笑みを浮かべている。
「まあ、慎さんのネコちゃんとしては、俺の方がレオンくんより先輩だね」
「あんた、店で何言ってんのよ。ちょっとは恥じらいなさいっ」
ハトちゃんがそう言っておしぼりをマコに投げつけた。
「ねぇ、慎さん、ハトちゃんも早くホテルいけって言ってるし、行こうよー?」
「いや、言ってないな」
久しぶりのハトちゃんの低い声が、カウンター越しに聞こえた。
ねだるようにマコに肩を揺らされて、俺は頭がぐるぐるしていた。もうめんどくさくなって、じゃあ行くかと、レオンの許可も取らずに口走りそうになる。だけどその前に、レオンが俺の腰を抱えるみたいに引き寄せた。
「ダメ」
そう言ったレオンは、マコに向かって首を振っている。
「慎さん、俺と帰ろ?」
マコだけじゃなくて、俺も、レオンのその端正な顔を見上げて瞬いた。
ーーこれ、もしかしてヤキモチかっ?
そう思ったら、たまらなくレオンが可愛くなって、俺の口元がだらしなく綻び、気がついたらふらつく体でレオンの首に腕を回して抱きついていた。
「レオンくん! 俺の天使! 今日絶対抱いてやるからなっ!(わかった、一緒にかえろう!)」
「慎さん、心の声の方がでちゃってるわっ!」
ハトちゃんの声がした。
「ね、レオンくん。慎さんち泊めてもらったってことは、やっぱりそういう関係なの?」
バーカウンターに伏せた俺の肩に手を乗せて寄りかかりながら、マコはレオンに尋ねている。
「そーだよ」
レオンはハトちゃんにもらったオレンジジュースを片手に、なんの躊躇いもなく頷いた。マコの質問の意味がわかっていないんじゃないかと思うほどに、恥ずかしがるそぶりもない。
「まじっ⁈ でも、慎さんタチでしょっ⁈ てことはレオンくんネコなの?」
「んーん、違うよ?」
「えええっ⁈ ってことは慎さんがっ⁈」
マコが驚いて体をのけぞらせたタイミングで俺はムクリと体を起こした。
「マコ、無粋なこと聞きすぎだよ」
俺はちょっと攻め様モードで、可愛らしいマコの顎を掴んで額を寄せた。マコはこういう俺様Sっぽいのが結構好きで、今もまんざらでもない顔で俺のことを見つめている。
マコの顎を解放すると、今度俺はレオンの襟を少々乱暴に掴んで引いた。予想外だったのか、レオンは危うくスツールから落ちそうになって、俺の肩に掴まった。
「レオンくんはね、今、俺が口説いてるネコちゃんだから、手出さないでね」
「「ひゃーっ❤︎」」
何故か向こうにいたはずのハトちゃんもマコと一緒に歓声を上げた。
「慎さん、俺、ネコじゃないよ?」
「だいじょーぶ、俺がネコにしてあげるから」
言いながら俺は背中でレオンに寄りかかり、肩越しに顎をくすぐった。
「慎さん酔ってキャラ変わってる! これはこれでアリだわっ!」
「ねぇ、ホテル行くなら俺も混ぜて? 三人でしよーよ!」
マコが俺の腕に絡みついて体を揺らした。
「ホテル、三人?」
レオンが初めて聞いた単語だとでも言いたげに、マコに向かって首を傾げた。
「そうそう、三人! 慎さん酔ってて勃たなかったら、俺とレオンくんでしちゃえばいいじゃんっ?」
「うん?」
「こらっ、マコッ、レオンくんは俺のネコちゃんだっていってるだろっ」
俺はまたマコの顎を掴んで、冗談混じりに怒って見せた。
「マコ、行ったことあるの? 慎さんと、ホテル」
「んっ?」
レオンの質問にマコはパチパチと瞬きをした。そしてその後で姿勢を正して座り直し、カウンターに肘をつき、なんだか得意げな笑みを浮かべている。
「まあ、慎さんのネコちゃんとしては、俺の方がレオンくんより先輩だね」
「あんた、店で何言ってんのよ。ちょっとは恥じらいなさいっ」
ハトちゃんがそう言っておしぼりをマコに投げつけた。
「ねぇ、慎さん、ハトちゃんも早くホテルいけって言ってるし、行こうよー?」
「いや、言ってないな」
久しぶりのハトちゃんの低い声が、カウンター越しに聞こえた。
ねだるようにマコに肩を揺らされて、俺は頭がぐるぐるしていた。もうめんどくさくなって、じゃあ行くかと、レオンの許可も取らずに口走りそうになる。だけどその前に、レオンが俺の腰を抱えるみたいに引き寄せた。
「ダメ」
そう言ったレオンは、マコに向かって首を振っている。
「慎さん、俺と帰ろ?」
マコだけじゃなくて、俺も、レオンのその端正な顔を見上げて瞬いた。
ーーこれ、もしかしてヤキモチかっ?
そう思ったら、たまらなくレオンが可愛くなって、俺の口元がだらしなく綻び、気がついたらふらつく体でレオンの首に腕を回して抱きついていた。
「レオンくん! 俺の天使! 今日絶対抱いてやるからなっ!(わかった、一緒にかえろう!)」
「慎さん、心の声の方がでちゃってるわっ!」
ハトちゃんの声がした。
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