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新日本計画編
№25Twelves~日本を守った十二人の男たち~
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「浩彦、お前が残れ」
それを聞いた浩彦は驚いた。皆は納得しているが自身は納得できなかった。浩彦はアサミにどうして?と問いただした。アサミの答えはこうだった。
「浩彦、お前が残らなきゃこれをどうやって伝えるんだ?お前は一番優しい心を持った男だ。そんな素晴らしい才能を持ったお前をここに置かないといけないじゃないか」
「意義はないな?」
「はい…」
「ではこれで審議を…」
「その審議、ちょっと待った!」
息を切らしながら部屋の中へ入ってきたのは…児嶋であった。
「お願いします!これを進めたのは全部私の責任です!だから…」
「課長、顔を上げて下さい」アサミが言った。「ありがとうございます。こんな部下のために頭を下げてくれて…けど、これはオレたちの問題です。ですから課長は悪くありません。この運命を潔く受け入れます」
アサミがそういうと、審議は終わった。児嶋は一人で泣いていた。「また、優秀な部下を失ってしまった…」
警察庁に戻ると、多田は即座に重役に呼ばれた。昇進の知らせだった。四月から新しいところに行ってもらうらしい。多田はニヤリと笑った。なるほどな、これで口止めということか…。いいだろういずれその悪事を全て晒してやる!
廊下に出るとアサミに出くわした。相変わらずタバコ臭い。通り過ぎようとしたときアサミが質問してきた。
「なぁ、オレたちがやっていたことは正しいのか?」
「さあな…」多田は言った。「でも自分の行動に自信を持たずにいてどうするんだ。今はこんな評価だけどいずれそれは正しいことだと気が付くだろう」
「多田…」
「答えは以上だ。じゃあなアサミン。また逢う日まで」
そう言って多田はアサミに背を向けて行ってしまった。アサミは口元だけで笑った。
「あばよ。涼介…」
かつて日本には全力で自国を守った男たちがいた。彼らの行動は誰にも知らされず、日常の一つとして過ぎていった。だが、これだけは言えるであろう。彼らのお陰で今日の平和があるということを…
それを聞いた浩彦は驚いた。皆は納得しているが自身は納得できなかった。浩彦はアサミにどうして?と問いただした。アサミの答えはこうだった。
「浩彦、お前が残らなきゃこれをどうやって伝えるんだ?お前は一番優しい心を持った男だ。そんな素晴らしい才能を持ったお前をここに置かないといけないじゃないか」
「意義はないな?」
「はい…」
「ではこれで審議を…」
「その審議、ちょっと待った!」
息を切らしながら部屋の中へ入ってきたのは…児嶋であった。
「お願いします!これを進めたのは全部私の責任です!だから…」
「課長、顔を上げて下さい」アサミが言った。「ありがとうございます。こんな部下のために頭を下げてくれて…けど、これはオレたちの問題です。ですから課長は悪くありません。この運命を潔く受け入れます」
アサミがそういうと、審議は終わった。児嶋は一人で泣いていた。「また、優秀な部下を失ってしまった…」
警察庁に戻ると、多田は即座に重役に呼ばれた。昇進の知らせだった。四月から新しいところに行ってもらうらしい。多田はニヤリと笑った。なるほどな、これで口止めということか…。いいだろういずれその悪事を全て晒してやる!
廊下に出るとアサミに出くわした。相変わらずタバコ臭い。通り過ぎようとしたときアサミが質問してきた。
「なぁ、オレたちがやっていたことは正しいのか?」
「さあな…」多田は言った。「でも自分の行動に自信を持たずにいてどうするんだ。今はこんな評価だけどいずれそれは正しいことだと気が付くだろう」
「多田…」
「答えは以上だ。じゃあなアサミン。また逢う日まで」
そう言って多田はアサミに背を向けて行ってしまった。アサミは口元だけで笑った。
「あばよ。涼介…」
かつて日本には全力で自国を守った男たちがいた。彼らの行動は誰にも知らされず、日常の一つとして過ぎていった。だが、これだけは言えるであろう。彼らのお陰で今日の平和があるということを…
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