上 下
140 / 209
Day‘s Eye デイジーの花が開くとき

オオカミの味見

しおりを挟む
「自分で治癒魔法使えるかい?」
「なんとか」

 往診に来てくれたお医者さんに背中の傷の具合を見てもらった。
 完全復活とはいかないが、貧血と高熱症状から回復してようやく起き上がれるようになったので自分で治癒魔法を掛ける。

「我に従う光の元素たちよ、我の怪我を治し給え」

 呪文を唱えると、肩や背中に温かい日差しのようなぬくもりが染み渡る。背中は自分の目では見えないのでお医者さんに患部の状態を監督してもらっているが、ちゃんと治っているだろうか。
 
「…うん、大丈夫そうだね。もしかしたらまた発熱するかもしれないけど、安静にしていればその内熱も下がるだろう。あまりにも熱が上がるようだったら私を呼ぶように」
「わかりました」

 大丈夫、と言われたがそれはお医者さん視点だろう。治療するのが遅れたので恐らく、傷跡は残っているはず。お医者さんが私の部屋から出ていった後に私は自室のドレッサーの鏡に自分の肩や背中を映して振り返ってみた。
 肩にはちらほらと噛み跡らしき赤い痕が残っていた。それを見た私はため息を吐き出す。…気休めになるだけかもしれないけど、傷を治す成分を配合した傷薬を作ってそれで様子を見てみよう……

 この傷跡を見たらテオは気にしてしまうんじゃないだろうか。テオはきっと、私が「大丈夫だ」と言っても、自分で自分を責めるんだろうな…。

「デイジー? テオが来ているけど通してもいい?」
「えっ、ちょっと待っててもらって!」

 お母さんが部屋の外から呼びかけてきた。テオが様子を見に来たらしい。私ははっとして洋服をきちんと着直した。髪などをササッと手ぐしで直してから自分でドアを開けると、部屋の外にはお見舞いの花束を持ったテオの姿があった。
 回復した私の姿を見れたのが嬉しいのか、テオの尻尾がせわしなくパタパタ動いていた。……再び熱で寝込んだのは半分以上テオのせいだから。テオがとんでもないことするから私の療養生活が長引いたんだからね。

「もう起き上がっても大丈夫なのか?」
「うん、熱は下がったし、自分で治癒魔法を使ったあとに、傷口をお医者さんに診てもらったから」

 少しばかり倦怠感はあるが、それも休めばすぐに回復できる程度のもの。
 だからもう心配ないと言ったのだが、“傷口”という単語を聞いたテオの表情は曇る。獣耳をペしょりと前に倒し、自分の不甲斐なさを嘆くように凹んでいた。

「この手で守りたいのに、いつもお前は俺の前で怪我をするな……力不足な自分が情けない…」

 ……テオはこういう状況になるとめっきり弱くなるところがある。多分習性みたいなもんだろう。番のメスは自分が守るって意志が強く組み込まれているんだと思う。

「テオは私を守ろうと戦ってくれたじゃない。運命の番に対するけじめをしっかりつけてみせた。それで私は満足なの」

 運命の番を殺そうと行動を起こすなんてなかなかないと思う。通常なら盲目状態になって、運命の番を庇って見せてもおかしくないのに、テオは私を守るために牙を剥いた。
 それほど、テオは私のことを心から大切に思ってくれているのだろう。

 私の言葉を受けたテオは沈黙していた。その表情は未だ晴れない。

「……テオは運命に抗ってくれた。私を選んでくれた。それはものすごく勇気のいることで、なかなか出来ることじゃないと思うんだ」

 運命の番を前にしたテオは苦しそうだった。自分の本能と戦い続けながら、私の手を絶対に離さなかった。
 獣人じゃない私でもそれがどのくらい大変なことか察することが出来た。

「…俺が運命の番の元に走っても、お前は我慢して見送りそうだな」
「……は?」

 ぼそり、とテオがつぶやく。
 私は怪訝な顔をして彼の顔を見上げる。
 …なんだって?

「俺ばかりが好きみたいで辛い。もっと欲しがってほしい」

 ムスッと膨れた顔はまるで子どものようだ。さっきまで凹んでいたくせに、ここに来て不満をぶちまけてきたぞ。
 そもそもその不満に関しては仕方ないだろう。運命の番というのはそれほどの存在。テオがそっちを選ぶなら、私が泣き縋ってもきっとどうにもならないことだと思っていたんだ。
 …それとも私にみっともなく泣き縋ってほしいのかあんたは。

「そ、そんな事言われても…」
「…キスするのはいつも俺ばっかりだし、俺はお前に好きと言われたことがない」

 ……そうだったっけ?
 自分の発言に関してそこまで事細かに覚えているわけじゃないのでわからないな。
 そもそも愛情表現が激しめな獣人と違って、私には難しいところがあるんだ。不満はその都度言ってくれなきゃわからない。

「大丈夫、私あんたのこと好きだから」
「…仕方無しに言ってるように聞こえる」

 はぁー?
 めんどくさいなぁ。女子か。
 好きと言ってあげたのになんなのだこのわがまま男。
 イラッと来た私は、つま先立ちをすると、テオの胸ぐらを引っ張って口づけを送った。ちょっと勢いに任せた雰囲気無視のキスだけど、キスはキスだ。文句は言わせない。

 唇を離すとテオの灰銀色の瞳をじっと見つめた。そして何度も私からキスをしてあげる。
 テオは私の背中に腕を回して私の口を貪るように求めてきた。足りない酸素を欲しがるように、私の口に吸い付いてきた。
 ──テオは馬鹿だな。私は好きでもない男とキスなんかしないのに。

 主導権を握ろうとしたが、テオはそれを簡単に取り上げてしまう。…悔しいのでテオの獣耳に手を持っていって生え際をくすぐってやると、テオがビクッと震えていた。私からキスして欲しいんだろう。あんたが主導権を握ったら意味がないんだよ。


「…なぁ、傷跡みせて」

 キスの余韻に浸っていると、テオにそんなお願いをされた。実際に怪我の痕がどうなったのかが気になるのだという。
 残った傷跡を見てテオが気にするんじゃないかと心配になったが、テオがどうしてもというので、私は上だけ服を脱いで、シュミーズ姿になった。

「絶対に前は見ないでね! 肩と背中だけだから!」

 私は背を向けて恥ずかしさに耐えた。
 傷跡をまじまじ見られるだけでも恥ずかしい。じりじりとテオの視線が背中に集中して熱く感じるんだけど…

「もういいでしょ」

 こんなこと親にバレたら怒られるかもしれない。落ち着かないし、もう服を着てしまいたい。
 私が服を着ようと動いたその時、テオの熱い手のひらが私の肩を撫でさすった。直に触れられると、火傷しそうなくらい身体が熱くなる。

「て、テオッ!」

 テオは無言で肩に顔を寄せると、痕に舌をなぞらせてきた。
 ブワッと肌が粟立つ感覚に私は震えた。

「なにしてるの、駄目だって」
「いい匂いがする」

 テオは興奮しているのか、私の首筋や肩に熱い息が吹きかけられる。テオの欲情に私まで感化されてしまいそうになる。
 傷跡を見せるためにずらしていたシュミーズを下げられ、肩や背中を大きく露出すると、テオは噛まれてもいない場所に吸い付いてきた。
 そして後ろから腕を回してきて、まろびでた乳房を揉みしだいてきたのだ。

「ひっ…!」

 な、ななな何をしているんだこいつは…!
 胸を両手で鷲掴みされた私は焦りとか恥ずかしさとかで頭がいっぱいだった。痕が見たいと言うからはだけさせたのだ。
 私はここまでは許していないぞ!

「やーらかい…」

 幸せそうな声で感想を言われて、顔がカッと熱くなった。

「駄目だって言ってるでしょう!」

 私がその手を振りほどこうと暴れていると、テオがあっさり手を離した。反動で私はベッドの上にころりんと転がってしまう。
 目の前には尻尾をブンブンと振っているテオ。その目は獣そのものである。
 奴は私に覆いかぶさると、私の口を塞いで来た。露出したままの胸にはテオの大きな手が乗っかり、もにもにと好き勝手に形を変えて遊んでいる。

「やぁ…! テオ、それやだ…!」

 私は身体の奥底からせせり上がってくる変な感覚にビクビク震えていた。テオに触れられる場所が甘くしびれて頭の中が白いモヤで霞んでいくのだ。
 恥ずかしいのに、もっとして欲しいと私の中の女の部分が欲しがっているのだ。そんな浅ましい自分が恥ずかしくて耐えきれなかった。

 テオは私の声が聞こえないとばかりに、とうとう主張している尖りに吸い付き、舌をなぞらせた。

「ひぁ…! あ、テオッ」
「可愛い声、もっと聞かせろ」

 口から漏れ出た声は本当に私の声か? 男に媚びているような別の女の声なんじゃなかろうか。……これが可愛いだと? テオの耳はどうかしてるんじゃないか?
 私は一瞬で冷静になった。

「ちょ、やめろ!」

 ごちん! とテオの頭にゲンコツを落とす。テオは痛みに呻きながら頭を抑えて、ごろりと横に転がっていった。

「私は怪我人!」

 全くもうこのアホは…!
 私が顔を真っ赤にして睨んでいるのが面白いのかどうかは知らないが、テオは寝転がって頭を抑えたまま、小さく笑っていた。

「治ったらいいのか?」
「駄目に決まってんでしょ! 家の中に家族がいるのに何考えてんのあんた!?」

 私はすぐにテオから離れて服を元に戻した。自分の体がじんじんしびれて物足りないと訴えているような気がするのはきっと気のせいだ。

「家族が家にいなければいいのか?」
「駄目だよ!? 結婚するまでは駄目!」

 危なかった。雰囲気に流されるところであった…困った顔をして首を傾げた奴は犬のように見えたが、その実オオカミである。

「もう少しだけ、ちょっと舐めるだけ」

 オオカミが懇願してきたが絶対に嘘だ。

「絶対にそれだけで終わんないでしょ!」

 これ以上の味見はさせません!
 私は赤面しながらも断固拒否してやった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

記憶喪失になったら、義兄に溺愛されました。

せいめ
恋愛
 婚約者の不貞現場を見た私は、ショックを受けて前世の記憶を思い出す。  そうだ!私は日本のアラサー社畜だった。  前世の記憶が戻って思うのは、こんな婚約者要らないよね!浮気症は治らないだろうし、家族ともそこまで仲良くないから、こんな家にいる必要もないよね。  そうだ!家を出よう。  しかし、二階から逃げようとした私は失敗し、バルコニーから落ちてしまう。  目覚めた私は、今世の記憶がない!あれ?何を悩んでいたんだっけ?何かしようとしていた?  豪華な部屋に沢山のメイド達。そして、カッコいいお兄様。    金持ちの家に生まれて、美少女だなんてラッキー!ふふっ!今世では楽しい人生を送るぞー!  しかし。…婚約者がいたの?しかも、全く愛されてなくて、相手にもされてなかったの?  えっ?私が記憶喪失になった理由?お兄様教えてー!  ご都合主義です。内容も緩いです。  誤字脱字お許しください。  義兄の話が多いです。  閑話も多いです。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

【本編・改稿版】来世でも一緒に

霜月
恋愛
「お父様にはお母様がいて、後継には弟がいる。後は私が素敵な殿方をゲットすれば万事おっけー! 親孝行にもなる!!」 そう豪語し、その為に血の滲むような努力をしてきたとあるご令嬢が、無愛想で女嫌いと噂される王弟・大公に溺愛される話。 ◆8月20日〜、改稿版の再掲を開始します。ストーリーに大きな変化はありませんが、全体的に加筆・修正をしています。 ◆あくまで中世ヨーロッパ『風』であり、フィクションであることを踏まえた上でお読みください。 ◆R15設定は保険です。 本編に本番シーンは出て来ませんが、ちょいエロぐらいは書けている…はず。 ※R18なお話は、本編終了後に番外編として上げていきますので、よろしくお願いします。 【お礼と謝罪】 色々とありまして、どうしても一からやり直したくなりました。相変わらずダメダメ作家で申し訳ありません。 見捨てないでいてくださる皆様の存在が本当に励みです。 本当にすみません。そして、本当にありがとうございます。 これからまた頑張っていきますので、どうかよろしくお願い致します。 m(_ _)m 霜月

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃

紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。 【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

処理中です...