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Day‘s Eye デイジーの花が開くとき
オオカミの味見
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「自分で治癒魔法使えるかい?」
「なんとか」
往診に来てくれたお医者さんに背中の傷の具合を見てもらった。
完全復活とはいかないが、貧血と高熱症状から回復してようやく起き上がれるようになったので自分で治癒魔法を掛ける。
「我に従う光の元素たちよ、我の怪我を治し給え」
呪文を唱えると、肩や背中に温かい日差しのようなぬくもりが染み渡る。背中は自分の目では見えないのでお医者さんに患部の状態を監督してもらっているが、ちゃんと治っているだろうか。
「…うん、大丈夫そうだね。もしかしたらまた発熱するかもしれないけど、安静にしていればその内熱も下がるだろう。あまりにも熱が上がるようだったら私を呼ぶように」
「わかりました」
大丈夫、と言われたがそれはお医者さん視点だろう。治療するのが遅れたので恐らく、傷跡は残っているはず。お医者さんが私の部屋から出ていった後に私は自室のドレッサーの鏡に自分の肩や背中を映して振り返ってみた。
肩にはちらほらと噛み跡らしき赤い痕が残っていた。それを見た私はため息を吐き出す。…気休めになるだけかもしれないけど、傷を治す成分を配合した傷薬を作ってそれで様子を見てみよう……
この傷跡を見たらテオは気にしてしまうんじゃないだろうか。テオはきっと、私が「大丈夫だ」と言っても、自分で自分を責めるんだろうな…。
「デイジー? テオが来ているけど通してもいい?」
「えっ、ちょっと待っててもらって!」
お母さんが部屋の外から呼びかけてきた。テオが様子を見に来たらしい。私ははっとして洋服をきちんと着直した。髪などをササッと手ぐしで直してから自分でドアを開けると、部屋の外にはお見舞いの花束を持ったテオの姿があった。
回復した私の姿を見れたのが嬉しいのか、テオの尻尾がせわしなくパタパタ動いていた。……再び熱で寝込んだのは半分以上テオのせいだから。テオがとんでもないことするから私の療養生活が長引いたんだからね。
「もう起き上がっても大丈夫なのか?」
「うん、熱は下がったし、自分で治癒魔法を使ったあとに、傷口をお医者さんに診てもらったから」
少しばかり倦怠感はあるが、それも休めばすぐに回復できる程度のもの。
だからもう心配ないと言ったのだが、“傷口”という単語を聞いたテオの表情は曇る。獣耳をペしょりと前に倒し、自分の不甲斐なさを嘆くように凹んでいた。
「この手で守りたいのに、いつもお前は俺の前で怪我をするな……力不足な自分が情けない…」
……テオはこういう状況になるとめっきり弱くなるところがある。多分習性みたいなもんだろう。番のメスは自分が守るって意志が強く組み込まれているんだと思う。
「テオは私を守ろうと戦ってくれたじゃない。運命の番に対するけじめをしっかりつけてみせた。それで私は満足なの」
運命の番を殺そうと行動を起こすなんてなかなかないと思う。通常なら盲目状態になって、運命の番を庇って見せてもおかしくないのに、テオは私を守るために牙を剥いた。
それほど、テオは私のことを心から大切に思ってくれているのだろう。
私の言葉を受けたテオは沈黙していた。その表情は未だ晴れない。
「……テオは運命に抗ってくれた。私を選んでくれた。それはものすごく勇気のいることで、なかなか出来ることじゃないと思うんだ」
運命の番を前にしたテオは苦しそうだった。自分の本能と戦い続けながら、私の手を絶対に離さなかった。
獣人じゃない私でもそれがどのくらい大変なことか察することが出来た。
「…俺が運命の番の元に走っても、お前は我慢して見送りそうだな」
「……は?」
ぼそり、とテオがつぶやく。
私は怪訝な顔をして彼の顔を見上げる。
…なんだって?
「俺ばかりが好きみたいで辛い。もっと欲しがってほしい」
ムスッと膨れた顔はまるで子どものようだ。さっきまで凹んでいたくせに、ここに来て不満をぶちまけてきたぞ。
そもそもその不満に関しては仕方ないだろう。運命の番というのはそれほどの存在。テオがそっちを選ぶなら、私が泣き縋ってもきっとどうにもならないことだと思っていたんだ。
…それとも私にみっともなく泣き縋ってほしいのかあんたは。
「そ、そんな事言われても…」
「…キスするのはいつも俺ばっかりだし、俺はお前に好きと言われたことがない」
……そうだったっけ?
自分の発言に関してそこまで事細かに覚えているわけじゃないのでわからないな。
そもそも愛情表現が激しめな獣人と違って、私には難しいところがあるんだ。不満はその都度言ってくれなきゃわからない。
「大丈夫、私あんたのこと好きだから」
「…仕方無しに言ってるように聞こえる」
はぁー?
めんどくさいなぁ。女子か。
好きと言ってあげたのになんなのだこのわがまま男。
イラッと来た私は、つま先立ちをすると、テオの胸ぐらを引っ張って口づけを送った。ちょっと勢いに任せた雰囲気無視のキスだけど、キスはキスだ。文句は言わせない。
唇を離すとテオの灰銀色の瞳をじっと見つめた。そして何度も私からキスをしてあげる。
テオは私の背中に腕を回して私の口を貪るように求めてきた。足りない酸素を欲しがるように、私の口に吸い付いてきた。
──テオは馬鹿だな。私は好きでもない男とキスなんかしないのに。
主導権を握ろうとしたが、テオはそれを簡単に取り上げてしまう。…悔しいのでテオの獣耳に手を持っていって生え際をくすぐってやると、テオがビクッと震えていた。私からキスして欲しいんだろう。あんたが主導権を握ったら意味がないんだよ。
「…なぁ、傷跡みせて」
キスの余韻に浸っていると、テオにそんなお願いをされた。実際に怪我の痕がどうなったのかが気になるのだという。
残った傷跡を見てテオが気にするんじゃないかと心配になったが、テオがどうしてもというので、私は上だけ服を脱いで、シュミーズ姿になった。
「絶対に前は見ないでね! 肩と背中だけだから!」
私は背を向けて恥ずかしさに耐えた。
傷跡をまじまじ見られるだけでも恥ずかしい。じりじりとテオの視線が背中に集中して熱く感じるんだけど…
「もういいでしょ」
こんなこと親にバレたら怒られるかもしれない。落ち着かないし、もう服を着てしまいたい。
私が服を着ようと動いたその時、テオの熱い手のひらが私の肩を撫でさすった。直に触れられると、火傷しそうなくらい身体が熱くなる。
「て、テオッ!」
テオは無言で肩に顔を寄せると、痕に舌をなぞらせてきた。
ブワッと肌が粟立つ感覚に私は震えた。
「なにしてるの、駄目だって」
「いい匂いがする」
テオは興奮しているのか、私の首筋や肩に熱い息が吹きかけられる。テオの欲情に私まで感化されてしまいそうになる。
傷跡を見せるためにずらしていたシュミーズを下げられ、肩や背中を大きく露出すると、テオは噛まれてもいない場所に吸い付いてきた。
そして後ろから腕を回してきて、まろびでた乳房を揉みしだいてきたのだ。
「ひっ…!」
な、ななな何をしているんだこいつは…!
胸を両手で鷲掴みされた私は焦りとか恥ずかしさとかで頭がいっぱいだった。痕が見たいと言うからはだけさせたのだ。
私はここまでは許していないぞ!
「やーらかい…」
幸せそうな声で感想を言われて、顔がカッと熱くなった。
「駄目だって言ってるでしょう!」
私がその手を振りほどこうと暴れていると、テオがあっさり手を離した。反動で私はベッドの上にころりんと転がってしまう。
目の前には尻尾をブンブンと振っているテオ。その目は獣そのものである。
奴は私に覆いかぶさると、私の口を塞いで来た。露出したままの胸にはテオの大きな手が乗っかり、もにもにと好き勝手に形を変えて遊んでいる。
「やぁ…! テオ、それやだ…!」
私は身体の奥底からせせり上がってくる変な感覚にビクビク震えていた。テオに触れられる場所が甘くしびれて頭の中が白いモヤで霞んでいくのだ。
恥ずかしいのに、もっとして欲しいと私の中の女の部分が欲しがっているのだ。そんな浅ましい自分が恥ずかしくて耐えきれなかった。
テオは私の声が聞こえないとばかりに、とうとう主張している尖りに吸い付き、舌をなぞらせた。
「ひぁ…! あ、テオッ」
「可愛い声、もっと聞かせろ」
口から漏れ出た声は本当に私の声か? 男に媚びているような別の女の声なんじゃなかろうか。……これが可愛いだと? テオの耳はどうかしてるんじゃないか?
私は一瞬で冷静になった。
「ちょ、やめろ!」
ごちん! とテオの頭にゲンコツを落とす。テオは痛みに呻きながら頭を抑えて、ごろりと横に転がっていった。
「私は怪我人!」
全くもうこのアホは…!
私が顔を真っ赤にして睨んでいるのが面白いのかどうかは知らないが、テオは寝転がって頭を抑えたまま、小さく笑っていた。
「治ったらいいのか?」
「駄目に決まってんでしょ! 家の中に家族がいるのに何考えてんのあんた!?」
私はすぐにテオから離れて服を元に戻した。自分の体がじんじんしびれて物足りないと訴えているような気がするのはきっと気のせいだ。
「家族が家にいなければいいのか?」
「駄目だよ!? 結婚するまでは駄目!」
危なかった。雰囲気に流されるところであった…困った顔をして首を傾げた奴は犬のように見えたが、その実オオカミである。
「もう少しだけ、ちょっと舐めるだけ」
オオカミが懇願してきたが絶対に嘘だ。
「絶対にそれだけで終わんないでしょ!」
これ以上の味見はさせません!
私は赤面しながらも断固拒否してやった。
「なんとか」
往診に来てくれたお医者さんに背中の傷の具合を見てもらった。
完全復活とはいかないが、貧血と高熱症状から回復してようやく起き上がれるようになったので自分で治癒魔法を掛ける。
「我に従う光の元素たちよ、我の怪我を治し給え」
呪文を唱えると、肩や背中に温かい日差しのようなぬくもりが染み渡る。背中は自分の目では見えないのでお医者さんに患部の状態を監督してもらっているが、ちゃんと治っているだろうか。
「…うん、大丈夫そうだね。もしかしたらまた発熱するかもしれないけど、安静にしていればその内熱も下がるだろう。あまりにも熱が上がるようだったら私を呼ぶように」
「わかりました」
大丈夫、と言われたがそれはお医者さん視点だろう。治療するのが遅れたので恐らく、傷跡は残っているはず。お医者さんが私の部屋から出ていった後に私は自室のドレッサーの鏡に自分の肩や背中を映して振り返ってみた。
肩にはちらほらと噛み跡らしき赤い痕が残っていた。それを見た私はため息を吐き出す。…気休めになるだけかもしれないけど、傷を治す成分を配合した傷薬を作ってそれで様子を見てみよう……
この傷跡を見たらテオは気にしてしまうんじゃないだろうか。テオはきっと、私が「大丈夫だ」と言っても、自分で自分を責めるんだろうな…。
「デイジー? テオが来ているけど通してもいい?」
「えっ、ちょっと待っててもらって!」
お母さんが部屋の外から呼びかけてきた。テオが様子を見に来たらしい。私ははっとして洋服をきちんと着直した。髪などをササッと手ぐしで直してから自分でドアを開けると、部屋の外にはお見舞いの花束を持ったテオの姿があった。
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「もう起き上がっても大丈夫なのか?」
「うん、熱は下がったし、自分で治癒魔法を使ったあとに、傷口をお医者さんに診てもらったから」
少しばかり倦怠感はあるが、それも休めばすぐに回復できる程度のもの。
だからもう心配ないと言ったのだが、“傷口”という単語を聞いたテオの表情は曇る。獣耳をペしょりと前に倒し、自分の不甲斐なさを嘆くように凹んでいた。
「この手で守りたいのに、いつもお前は俺の前で怪我をするな……力不足な自分が情けない…」
……テオはこういう状況になるとめっきり弱くなるところがある。多分習性みたいなもんだろう。番のメスは自分が守るって意志が強く組み込まれているんだと思う。
「テオは私を守ろうと戦ってくれたじゃない。運命の番に対するけじめをしっかりつけてみせた。それで私は満足なの」
運命の番を殺そうと行動を起こすなんてなかなかないと思う。通常なら盲目状態になって、運命の番を庇って見せてもおかしくないのに、テオは私を守るために牙を剥いた。
それほど、テオは私のことを心から大切に思ってくれているのだろう。
私の言葉を受けたテオは沈黙していた。その表情は未だ晴れない。
「……テオは運命に抗ってくれた。私を選んでくれた。それはものすごく勇気のいることで、なかなか出来ることじゃないと思うんだ」
運命の番を前にしたテオは苦しそうだった。自分の本能と戦い続けながら、私の手を絶対に離さなかった。
獣人じゃない私でもそれがどのくらい大変なことか察することが出来た。
「…俺が運命の番の元に走っても、お前は我慢して見送りそうだな」
「……は?」
ぼそり、とテオがつぶやく。
私は怪訝な顔をして彼の顔を見上げる。
…なんだって?
「俺ばかりが好きみたいで辛い。もっと欲しがってほしい」
ムスッと膨れた顔はまるで子どものようだ。さっきまで凹んでいたくせに、ここに来て不満をぶちまけてきたぞ。
そもそもその不満に関しては仕方ないだろう。運命の番というのはそれほどの存在。テオがそっちを選ぶなら、私が泣き縋ってもきっとどうにもならないことだと思っていたんだ。
…それとも私にみっともなく泣き縋ってほしいのかあんたは。
「そ、そんな事言われても…」
「…キスするのはいつも俺ばっかりだし、俺はお前に好きと言われたことがない」
……そうだったっけ?
自分の発言に関してそこまで事細かに覚えているわけじゃないのでわからないな。
そもそも愛情表現が激しめな獣人と違って、私には難しいところがあるんだ。不満はその都度言ってくれなきゃわからない。
「大丈夫、私あんたのこと好きだから」
「…仕方無しに言ってるように聞こえる」
はぁー?
めんどくさいなぁ。女子か。
好きと言ってあげたのになんなのだこのわがまま男。
イラッと来た私は、つま先立ちをすると、テオの胸ぐらを引っ張って口づけを送った。ちょっと勢いに任せた雰囲気無視のキスだけど、キスはキスだ。文句は言わせない。
唇を離すとテオの灰銀色の瞳をじっと見つめた。そして何度も私からキスをしてあげる。
テオは私の背中に腕を回して私の口を貪るように求めてきた。足りない酸素を欲しがるように、私の口に吸い付いてきた。
──テオは馬鹿だな。私は好きでもない男とキスなんかしないのに。
主導権を握ろうとしたが、テオはそれを簡単に取り上げてしまう。…悔しいのでテオの獣耳に手を持っていって生え際をくすぐってやると、テオがビクッと震えていた。私からキスして欲しいんだろう。あんたが主導権を握ったら意味がないんだよ。
「…なぁ、傷跡みせて」
キスの余韻に浸っていると、テオにそんなお願いをされた。実際に怪我の痕がどうなったのかが気になるのだという。
残った傷跡を見てテオが気にするんじゃないかと心配になったが、テオがどうしてもというので、私は上だけ服を脱いで、シュミーズ姿になった。
「絶対に前は見ないでね! 肩と背中だけだから!」
私は背を向けて恥ずかしさに耐えた。
傷跡をまじまじ見られるだけでも恥ずかしい。じりじりとテオの視線が背中に集中して熱く感じるんだけど…
「もういいでしょ」
こんなこと親にバレたら怒られるかもしれない。落ち着かないし、もう服を着てしまいたい。
私が服を着ようと動いたその時、テオの熱い手のひらが私の肩を撫でさすった。直に触れられると、火傷しそうなくらい身体が熱くなる。
「て、テオッ!」
テオは無言で肩に顔を寄せると、痕に舌をなぞらせてきた。
ブワッと肌が粟立つ感覚に私は震えた。
「なにしてるの、駄目だって」
「いい匂いがする」
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傷跡を見せるためにずらしていたシュミーズを下げられ、肩や背中を大きく露出すると、テオは噛まれてもいない場所に吸い付いてきた。
そして後ろから腕を回してきて、まろびでた乳房を揉みしだいてきたのだ。
「ひっ…!」
な、ななな何をしているんだこいつは…!
胸を両手で鷲掴みされた私は焦りとか恥ずかしさとかで頭がいっぱいだった。痕が見たいと言うからはだけさせたのだ。
私はここまでは許していないぞ!
「やーらかい…」
幸せそうな声で感想を言われて、顔がカッと熱くなった。
「駄目だって言ってるでしょう!」
私がその手を振りほどこうと暴れていると、テオがあっさり手を離した。反動で私はベッドの上にころりんと転がってしまう。
目の前には尻尾をブンブンと振っているテオ。その目は獣そのものである。
奴は私に覆いかぶさると、私の口を塞いで来た。露出したままの胸にはテオの大きな手が乗っかり、もにもにと好き勝手に形を変えて遊んでいる。
「やぁ…! テオ、それやだ…!」
私は身体の奥底からせせり上がってくる変な感覚にビクビク震えていた。テオに触れられる場所が甘くしびれて頭の中が白いモヤで霞んでいくのだ。
恥ずかしいのに、もっとして欲しいと私の中の女の部分が欲しがっているのだ。そんな浅ましい自分が恥ずかしくて耐えきれなかった。
テオは私の声が聞こえないとばかりに、とうとう主張している尖りに吸い付き、舌をなぞらせた。
「ひぁ…! あ、テオッ」
「可愛い声、もっと聞かせろ」
口から漏れ出た声は本当に私の声か? 男に媚びているような別の女の声なんじゃなかろうか。……これが可愛いだと? テオの耳はどうかしてるんじゃないか?
私は一瞬で冷静になった。
「ちょ、やめろ!」
ごちん! とテオの頭にゲンコツを落とす。テオは痛みに呻きながら頭を抑えて、ごろりと横に転がっていった。
「私は怪我人!」
全くもうこのアホは…!
私が顔を真っ赤にして睨んでいるのが面白いのかどうかは知らないが、テオは寝転がって頭を抑えたまま、小さく笑っていた。
「治ったらいいのか?」
「駄目に決まってんでしょ! 家の中に家族がいるのに何考えてんのあんた!?」
私はすぐにテオから離れて服を元に戻した。自分の体がじんじんしびれて物足りないと訴えているような気がするのはきっと気のせいだ。
「家族が家にいなければいいのか?」
「駄目だよ!? 結婚するまでは駄目!」
危なかった。雰囲気に流されるところであった…困った顔をして首を傾げた奴は犬のように見えたが、その実オオカミである。
「もう少しだけ、ちょっと舐めるだけ」
オオカミが懇願してきたが絶対に嘘だ。
「絶対にそれだけで終わんないでしょ!」
これ以上の味見はさせません!
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