58 / 209
Day‘s Eye 魔術師になったデイジー
運命の番という名の呪縛【三人称視点】
しおりを挟む
エスメラルダ、シュバルツ、グラナーダ三国の辺境に当たる中央地点には、活火山を囲む還らずの森という、人が住むには厳しい土地がある。
常に火山から有毒ガスが発生し、時に煮えたぎる溶岩が流れ出す。道は険しく、大地の裂け目と呼ばれる危険地帯も数多く見られる。そこには様々な昆虫や野生動物、魔獣、そして今では貴重種と言われているドラゴンが生息していた。
その土地にはめったに人が入らない。たまに素材収集で入ってくる人間もいるが、そういう人はだいたい腕に自信があり、猛獣と遭遇しても対抗できる手段を持っている人に限られている。
ドラゴンと人類。昔はお互い血を見る争いをしていたが、今では別々に暮らし、共生していた。そうすれば無駄な争いごとは生まれない。
乱獲や無駄な殺戮はしない。それが厳しい環境で生きる生物たちへの敬意だった。そして旅人の共通の認識でもあった。
還らずの森の奥深くに彼らはいた。
番と呼ばれる伴侶を持ち、子を為したドラゴンや、伴侶には恵まれなかったがそこそこのんびり暮らすドラゴンもいた。
その中心になっていたのは齢1200歳にもなろう老ドラゴンであった。ドラゴンの平均寿命は1000歳と言われている中でもなかなかの長寿であった。
彼には生まれてこの方伴侶がいなかった。
その理由は彼が適齢期の時代に起きた乱獲が原因だ。ドラゴンの妙薬と呼ばれる万能薬を手にするために、金儲けのためにこぞってドラゴン狩りをする人間や獣人達によって同胞が次々と狩り尽くされていったのだ。
同年代の年頃の雌が狩られ、周りにいなくなり、生き延びたドラゴンたちは身を守るために各々別の土地へと逃げ去っていった。
そうして彼も身を隠して生きてきた時代が長くあったため、伴侶を得る機会に恵まれず……ようやく仲間と合流した頃にはそういうことに興味をなくしてしまった後であった。有り体に言えば、ひとりに慣れてしまったとも言える。
もちろん、番って子が生まれたと喜ぶ夫婦を見て羨ましいなと思うこともあった。しかし彼はひとりで生きてきた。
そのうちドラゴンの里の長と呼ばれるようになり、仲間たちに慕われ……意外と長生きしてしまって今があるのだ。
昔は襲ってくる人間や獣人と戦い、幾多もの命を屠ってきた老ドラゴンであるが、年を食ったせいか穏やかになった。彼ももう1200歳、己の身体の衰えには気づいているし、自分の寿命が尽きるのも時間の問題だと解っていた。いつ死んでも大往生だ。彼はドシッと構えているつもりであった。
だが彼は出会ってしまった。
それは、西の谷に住む夫婦の姿が見えないという相談が来たのがきっかけだった。その夫妻には小さな子どもがいるという。いつも仲睦まじく空中飛行に出ていたのに、ここ最近全く姿が見えないというのだ。
老ドラゴンは腰を上げて、その一家の様子を伺いに行った。繁殖適齢期の雄雌ならば、子作りに勤しんでいるのではないかと下世話な想像をしながら、巣穴を覗き込むと──……
そこには倒れた雌ドラゴンと、衰弱した子ドラゴンの姿があった。
『おい、しっかりしないか』
慌てて巣穴に潜り込んで声をかけるも、雌ドラゴンの方はもうすでに事切れていた。老ドラゴンは子ドラゴンを介抱しながらあたりを見渡した。
──この子の父親がいない。
獲物を取りに行っているにしては、匂いや気配が見当たらない。ここ最近目立った乱獲の話は聞かない。そもそも若い雄ドラゴンなら力が有り余っているから簡単に狩猟者をあしらえるはず。事故や災害が起きたという話も聞かない…どこかでなにか起きて戻ってこれないのか…?
『う…』
『目覚めたか。どうした、何があった…父親はどこだ』
大きな外傷や病気は見当たらない。この母子に何があったというのか。薄ぼんやりまなこを開いた子ドラゴンはかすれた声で鳴いた。
『…おとうさん、運命の番と会ったから出てく、って……おかあさん、おとうさんが帰ってこないから、ずっと泣いて、泣いて……動かなくなっちゃった』
幼子の口から聞かされたその話に老ドラゴンは目を見開いた。
運命の番。
ごく稀に低い確率で出会うとされる、唯一無二の伴侶。その相手と出会ったら理性を失い、恋い焦がれ狂うという存在だ。
すでに番がいようと、子がいようと、すべてをかなぐり捨てて番の元へ駆けていく。ある意味呪縛のような存在。
たまにこうして不幸な結末を迎える片割れが存在するのである。老ドラゴンがそれを見たのは1000年前のことだった。他所の家庭の話ではあるが、苦々しい気持ちになった。
おそらく母ドラゴンは伴侶に捨てられたことで狂って衰弱して死んでしまったのだろう。そして子ドラゴンはまだ親の手を借りなくては生きられない幼子。育児放棄され衰弱死しかけていたのだ。
老ドラゴンは寿命を大きく超えて長生きした。
生涯伴侶や子に恵まれなかった。
沢山の仲間たちを見送ってきた。
沢山の人間や獣人と戦い、この手で屠ってきた。
ひとりな分、自由に生きてこられた。
もう十分、十二分に竜生を送った。いつ逝ってもいいと考えていた。
だがしかし目の前で弱っている子ドラゴンを見て自分はまだまだ死ねないと思った。
可哀想に。
今はまだ両親に大切に慈しまれ育つ時期だと言うのに、こんな形で両親に見捨てられるとは……
老ドラゴンはもう暫く頑張って生きようと思った。せめてこの子が独り立ちできるくらいの年齢になるまでは……
育児放棄された子ドラゴンを哀れんで育て始めた老ドラゴン。
二体は身を寄せ合って爺孫のように暮らしていた。両親がいなくなったことで感情が乏しくなっていた幼子だったが、成長していくにつれて老ドラゴンが自分の養親であると認識するようになり、笑顔をみせてくれるようにまでなった。
この子が独り立ちするまでは、と願っていた。
だけど叶うならばこの子を絶対に裏切らない番が見つかるまでは生きていたい。
『爺様ー! 晩ごはん獲ってきたー!』
獲物の魔獣を足で掴んで飛んできた孫娘を見た老ドラゴンは目を細めた。
…大きくなったなぁ。
出会った頃の今にも死にそうな幼子はもういない。たくましく自然と共生している。
彼女が幸せになるのを見送るそれまではせめて共に暮らしていたい。
──そう、思っていた。
常に火山から有毒ガスが発生し、時に煮えたぎる溶岩が流れ出す。道は険しく、大地の裂け目と呼ばれる危険地帯も数多く見られる。そこには様々な昆虫や野生動物、魔獣、そして今では貴重種と言われているドラゴンが生息していた。
その土地にはめったに人が入らない。たまに素材収集で入ってくる人間もいるが、そういう人はだいたい腕に自信があり、猛獣と遭遇しても対抗できる手段を持っている人に限られている。
ドラゴンと人類。昔はお互い血を見る争いをしていたが、今では別々に暮らし、共生していた。そうすれば無駄な争いごとは生まれない。
乱獲や無駄な殺戮はしない。それが厳しい環境で生きる生物たちへの敬意だった。そして旅人の共通の認識でもあった。
還らずの森の奥深くに彼らはいた。
番と呼ばれる伴侶を持ち、子を為したドラゴンや、伴侶には恵まれなかったがそこそこのんびり暮らすドラゴンもいた。
その中心になっていたのは齢1200歳にもなろう老ドラゴンであった。ドラゴンの平均寿命は1000歳と言われている中でもなかなかの長寿であった。
彼には生まれてこの方伴侶がいなかった。
その理由は彼が適齢期の時代に起きた乱獲が原因だ。ドラゴンの妙薬と呼ばれる万能薬を手にするために、金儲けのためにこぞってドラゴン狩りをする人間や獣人達によって同胞が次々と狩り尽くされていったのだ。
同年代の年頃の雌が狩られ、周りにいなくなり、生き延びたドラゴンたちは身を守るために各々別の土地へと逃げ去っていった。
そうして彼も身を隠して生きてきた時代が長くあったため、伴侶を得る機会に恵まれず……ようやく仲間と合流した頃にはそういうことに興味をなくしてしまった後であった。有り体に言えば、ひとりに慣れてしまったとも言える。
もちろん、番って子が生まれたと喜ぶ夫婦を見て羨ましいなと思うこともあった。しかし彼はひとりで生きてきた。
そのうちドラゴンの里の長と呼ばれるようになり、仲間たちに慕われ……意外と長生きしてしまって今があるのだ。
昔は襲ってくる人間や獣人と戦い、幾多もの命を屠ってきた老ドラゴンであるが、年を食ったせいか穏やかになった。彼ももう1200歳、己の身体の衰えには気づいているし、自分の寿命が尽きるのも時間の問題だと解っていた。いつ死んでも大往生だ。彼はドシッと構えているつもりであった。
だが彼は出会ってしまった。
それは、西の谷に住む夫婦の姿が見えないという相談が来たのがきっかけだった。その夫妻には小さな子どもがいるという。いつも仲睦まじく空中飛行に出ていたのに、ここ最近全く姿が見えないというのだ。
老ドラゴンは腰を上げて、その一家の様子を伺いに行った。繁殖適齢期の雄雌ならば、子作りに勤しんでいるのではないかと下世話な想像をしながら、巣穴を覗き込むと──……
そこには倒れた雌ドラゴンと、衰弱した子ドラゴンの姿があった。
『おい、しっかりしないか』
慌てて巣穴に潜り込んで声をかけるも、雌ドラゴンの方はもうすでに事切れていた。老ドラゴンは子ドラゴンを介抱しながらあたりを見渡した。
──この子の父親がいない。
獲物を取りに行っているにしては、匂いや気配が見当たらない。ここ最近目立った乱獲の話は聞かない。そもそも若い雄ドラゴンなら力が有り余っているから簡単に狩猟者をあしらえるはず。事故や災害が起きたという話も聞かない…どこかでなにか起きて戻ってこれないのか…?
『う…』
『目覚めたか。どうした、何があった…父親はどこだ』
大きな外傷や病気は見当たらない。この母子に何があったというのか。薄ぼんやりまなこを開いた子ドラゴンはかすれた声で鳴いた。
『…おとうさん、運命の番と会ったから出てく、って……おかあさん、おとうさんが帰ってこないから、ずっと泣いて、泣いて……動かなくなっちゃった』
幼子の口から聞かされたその話に老ドラゴンは目を見開いた。
運命の番。
ごく稀に低い確率で出会うとされる、唯一無二の伴侶。その相手と出会ったら理性を失い、恋い焦がれ狂うという存在だ。
すでに番がいようと、子がいようと、すべてをかなぐり捨てて番の元へ駆けていく。ある意味呪縛のような存在。
たまにこうして不幸な結末を迎える片割れが存在するのである。老ドラゴンがそれを見たのは1000年前のことだった。他所の家庭の話ではあるが、苦々しい気持ちになった。
おそらく母ドラゴンは伴侶に捨てられたことで狂って衰弱して死んでしまったのだろう。そして子ドラゴンはまだ親の手を借りなくては生きられない幼子。育児放棄され衰弱死しかけていたのだ。
老ドラゴンは寿命を大きく超えて長生きした。
生涯伴侶や子に恵まれなかった。
沢山の仲間たちを見送ってきた。
沢山の人間や獣人と戦い、この手で屠ってきた。
ひとりな分、自由に生きてこられた。
もう十分、十二分に竜生を送った。いつ逝ってもいいと考えていた。
だがしかし目の前で弱っている子ドラゴンを見て自分はまだまだ死ねないと思った。
可哀想に。
今はまだ両親に大切に慈しまれ育つ時期だと言うのに、こんな形で両親に見捨てられるとは……
老ドラゴンはもう暫く頑張って生きようと思った。せめてこの子が独り立ちできるくらいの年齢になるまでは……
育児放棄された子ドラゴンを哀れんで育て始めた老ドラゴン。
二体は身を寄せ合って爺孫のように暮らしていた。両親がいなくなったことで感情が乏しくなっていた幼子だったが、成長していくにつれて老ドラゴンが自分の養親であると認識するようになり、笑顔をみせてくれるようにまでなった。
この子が独り立ちするまでは、と願っていた。
だけど叶うならばこの子を絶対に裏切らない番が見つかるまでは生きていたい。
『爺様ー! 晩ごはん獲ってきたー!』
獲物の魔獣を足で掴んで飛んできた孫娘を見た老ドラゴンは目を細めた。
…大きくなったなぁ。
出会った頃の今にも死にそうな幼子はもういない。たくましく自然と共生している。
彼女が幸せになるのを見送るそれまではせめて共に暮らしていたい。
──そう、思っていた。
10
お気に入りに追加
149
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
逃げるための後宮行きでしたが、なぜか奴が皇帝になっていました
吉高 花
恋愛
◆転生&ループの中華風ファンタジー◆
第15回恋愛小説大賞「中華・後宮ラブ賞」受賞しました!ありがとうございます!
かつて散々腐れ縁だったあいつが「俺たち、もし三十になってもお互いに独身だったら、結婚するか」
なんてことを言ったから、私は密かに三十になるのを待っていた。でもそんな私たちは、仲良く一緒にトラックに轢かれてしまった。
そして転生しても奴を忘れられなかった私は、ある日奴が綺麗なお嫁さんと仲良く微笑み合っている場面を見てしまう。
なにあれ! 許せん! 私も別の男と幸せになってやる!
しかしそんな決意もむなしく私はまた、今度は馬車に轢かれて逝ってしまう。
そして二度目。なんと今度は最後の人生をループした。ならば今度は前の記憶をフルに使って今度こそ幸せになってやる!
しかし私は気づいてしまった。このままでは、また奴の幸せな姿を見ることになるのでは?
それは嫌だ絶対に嫌だ。そうだ! 後宮に行ってしまえば、奴とは会わずにすむじゃない!
そうして私は意気揚々と、女官として後宮に潜り込んだのだった。
奴が、今世では皇帝になっているとも知らずに。
※タイトル試行錯誤中なのでたまに変わります。最初のタイトルは「ループの二度目は後宮で ~逃げるための後宮でしたが、なぜか奴が皇帝になっていました~」
※設定は架空なので史実には基づいて「おりません」
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
聖女を巡る乙女ゲームに、いないキャラクターの神子(私)がいる。
木村 巴
恋愛
ヒロイン、ライバル令嬢、政略対象の王子様達、騎士、魔術師、神官といった面々が、震えている私を見つめている。その人達をみて、その絵が完成している事に衝撃を受けた。
私のポジションのキャラクターなんて居なかったよね?
聖女を決める試験を通して攻略するのよね?…聖女候補でもないし、居ないキャラクターの神子が私ってどういう事―?
大好きだったキャラクターも、三次元イケメンとなった彼らを、そのキャラクターだと認識出来なかった残念な私だけど…やっぱり推しに恋して推しと結ばれたい!そんなお話し。
※本編10話で完結済みです。
※番外編の聖女7話完結
☆ヘンリー、侍女、神子とリオンの番外編を落ち着いたら更新予定です。
【完結】なんちゃって幼妻は夫の溺愛に気付かない?
佐倉えび
恋愛
夫が同情で結婚してくれたと勘違いしている十六歳のマイナ(中身は前世二十五歳)と、妻を溺愛しているレイ。二人は仲のよい夫婦ではあるが、まだ白い結婚である。
レイはマイナの気持ちが育つのをのんびりと待つつもりでいるが、果たしてレイの溺愛にマイナが気付くときはくるのか?
ほのぼの夫婦と、二人を取り巻く人々の日常。
すれ違ったり巻き込まれたりしながら本物の夫婦になっていくお話。ハッピーエンドです。
※最小限に留めていますが残酷な描写があります。ご注意ください。
※子作りにまつわる話題が多いためR15です。
*ムーンライトノベルズにも別タイトルでR18版を掲載
溺愛の始まりは魔眼でした。騎士団事務員の貧乏令嬢、片想いの騎士団長と婚約?!
参
恋愛
男爵令嬢ミナは実家が貧乏で騎士団の事務員と騎士団寮の炊事洗濯を掛け持ちして働いていた。ミナは騎士団長オレンに片想いしている。バレないようにしつつ長年真面目に働きオレンの信頼も得、休憩のお茶まで一緒にするようになった。
ある日、謎の香料を口にしてミナは魔法が宿る眼、魔眼に目覚める。魔眼のスキルは、筋肉のステータスが見え、良い筋肉が目の前にあると相手の服が破けてしまうものだった。ミナは無類の筋肉好きで、筋肉が近くで見られる騎士団は彼女にとっては天職だ。魔眼のせいでクビにされるわけにはいかない。なのにオレンの服をびりびりに破いてしまい魔眼のスキルを話さなければいけない状況になった。
全てを話すと、オレンはミナと協力して魔眼を治そうと提案する。対処法で筋肉を見たり触ったりすることから始まった。ミナが長い間封印していた絵描きの趣味も魔眼対策で復活し、よりオレンとの時間が増えていく。片想いがバレないようにするも何故か魔眼がバレてからオレンが好意的で距離も近くなり甘やかされてばかりでミナは戸惑う。別の日には我慢しすぎて自分の服を魔眼で破り真っ裸になった所をオレンに見られ彼は責任を取るとまで言いだして?!
※結構ふざけたラブコメです。
恋愛が苦手な女性シリーズ、前作と同じ世界線で描かれた2作品目です(続きものではなく単品で読めます)。今回は無自覚系恋愛苦手女性。
ヒロインによる一人称視点。全56話、一話あたり概ね1000~2000字程度で公開。
前々作「訳あり女装夫は契約結婚した副業男装妻の推し」前作「身体強化魔法で拳交える外交令嬢の拗らせ恋愛~隣国の悪役令嬢を妻にと連れてきた王子に本来の婚約者がいないとでも?~」と同じ時代・世界です。
※小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しています。※R15は保険です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる