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Day's Eye 森に捨てられたデイジー

国家転覆を狙う悪女

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 ある日の放課後、私はカバンを抱えて小走りで渡り廊下を走っていた。今日の授業はすべて終り、さっさといつものように図書室にお籠りしようと気が急いていたのだ。
 そんな時中庭の向こうの渡り廊下に人影を発見。向こうは特別塔。その人も特別塔の関係者だが、私は大声を出してその人を呼び止めた。

「フレッカー卿!」

 私の声は相手に届いたようだ。私の声に反応して足を止めた彼はキョロキョロとあたりを見渡し、反対側の一般塔側にいる私の姿を認めると、首を傾げていた。私はそのまま中庭を突き抜けて彼の元へ走って近寄っていく。

「どうしたんだね、声を荒げるなんて君らしくもない」

 少々荒い呼び止め方になったが、私は庶民なのでその辺は大目に見てほしい。

「至急相談したいことがありまして」
「相談…?」
「…人の命に関わる話です」

 この場でみなまで言わない。他の人に知られたら、ファーナム嬢の立場が追いやられる恐れがあるから。いくら彼女が未来の王太子妃であろうと、それをよく思わない政敵もいることであろう。なにかあっても私は責任取れないし、慎重に行かなくてはね。
 私の顔が真剣だったからか、相手も真顔になっていた。ただならぬ雰囲気を読み取ったフレッカー卿は「談話室で聞こう」と私をどこかへ誘導した。
 こちらには個別の談話室なんてあるらしい。お貴族様たちがお茶会を開いたりおしゃべりをする時に使う部屋だそうだ。秘密話にはもってこいだ。
 ──なのだが、利用表では【空室】となっていたはずの部屋に誰かが入ってた。

「おや、先客かな」

 ドアノブを握ろうとしたフレッカー卿は手を引っ込めた。「ちゃんと利用表に名前を書きなさいと指導しているんだけどね」とフレッカー卿は呆れたように小言を呟くと踵を返した。

『…うまくいっています。王太子は完全に術中にハマっています』

 ──…いま、なんと言った?
 中から漏れ聞こえた声に私はフレッカー卿が着用している上着の裾を握って止めた。彼が不思議そうに振り返ったので、静かにするように身振り手振りで指示した。

『婚約者のエリーゼは……掛けていた呪いが何者かによって解呪されていたのでもう一度掛けています。…わかっています』

 それだけでフレッカー卿にもなんとなくただ事じゃないとわかったのだろう。彼の身体が固まった気配がした。
 私達は物音立てずにその場に立って中の独り言のような声を盗み聞きしていた。

『このまま行けば王太子に反発する貴族共が暴れはじめて簒奪を企てることでしょう。エスメラルダ国内の弱体化は目と鼻の先です』

 部屋の中からふふふ、と笑う声が聞こえてきた。結構ドア薄いんだな。やばい話してるのに筒抜けじゃない……声がもれない呪文とか掛けないのだろうか。国家転覆を狙っているにしては抜けている。
 この人は誰だろう。……誰と、話しているのだろう。

【リリス、全てはお前の手にかかっているのだぞ、あらゆる手を使ってお前をエスメラルダ王国末端貴族の養女にしたのだ。必ずや、あの御方のご期待に添えるのだぞ】
『もちろんですわ』

 話し相手がリリスと呼んでいた。リリスという名には聞き覚えがある。あの交流会の時王太子殿下の腕にしがみついていた女子生徒だ。庶子の娘だと聞いていたが、今の会話からして…
 クイッとフレッカー卿に腕を引かれたので、私はつんのめりながら彼についていく。音を立てないよう隣の部屋に入室すると鍵をかけて一息。

「……とんでもない話を聞いてしまったな」

 その言葉には私もうなずく他なかった。
 ファーナム嬢に降りかかる黒呪術について相談しようとしたらその術者がここで判明するとは。……それ以前に誰がそんな指示をしているんだ? 国家転覆を企む反対派か? 私は貴族とかの事情を全く知らないので想像しかできないが。

「…元素たちよ、音を遮断せよ」

 フレッカー卿が音消しの呪文を静かに唱えると、私はゆっくり息を吐き出した。

「リリス嬢については色々とよくない噂が流れていたが……まさか国家転覆など壮大な計画を持って潜入していたとは。私も少々平和ボケしていたみたいだよ」

 こっそり観察はしていたけど分からなかった、とぼやくフレッカー卿。私もまさかそんな恐ろしい話を盗み聞きする羽目になるとは思ってませんでした。

「…ですけど、私が相談しようと思っていたことに関わりがあることなのでちょうど良かったです」
「リリス嬢が関わっているのかね?」

 私はうなずく。今さっき一緒に聞いたから話は早いな。

「先程、本人も言っていたと思いますが、エリーゼ・ファーナム様に黒呪術がかけられています。はじめに見つけたのは交流会のときです。あまり状態がよろしくなかったので、白呪術で取り除きました」
「もう解呪を…マック君は本当に優秀だなぁ」

 感心されるのは悪い気しないが、今はそれどころじゃないのだ。

「ですが、解いたはずの黒呪術がまた彼女の身体にかかっているのを私も確認しました。ファーナム様の身体に黒いモヤがまとわりついていて、彼女の精神にも多少なりとも影響を与えているようです」
「ふむ…」

 フレッカー卿は顎に手をやって考え込んでいた。
 私も一緒に考え込む。リリスという女、殿下にも何かしらの黒呪術をかけているとも言っていた。…人格を歪める、人の心を操る黒呪術といえば…魅了、もしくは服従術か…

「あまり時間の猶予はなさそうだね。しかし、黒呪術か…」
 
 黒呪術は危険ということで使用禁止されている。使えば死刑及び流刑は免れない…。そしてそれに対抗できるのは白呪術だけだ。

「マック君、授業で習ったかもしれないが、黒呪術は禁術だ。危険なものだというのはわかるね?」

 フレッカー卿の問いかけに私は頷いた。私だって好きで関わっただけじゃないぞ、だけどここで見捨てて知らないふりするのは嫌だ。国の一大事となれば、国民である私達にも影響を及ぼすんだから。

「彼らにかけられた呪術がどのようなものか正確なところはわからないが、白呪術を行使するには大きな負担を強いられる……エリーゼ嬢にかけられた呪いの解呪をしたから体感はしているだろうが」

 深刻に言われたが、私は首を傾げそうになった。確かに通常魔法を使うよりはごっそり魔力を奪われた気がするけど、立っていられないくらいってわけじゃなかった。私とフレッカー卿で分担してやれば出来ると思うのだが……

「君は学生だ。親御さんから預かった大事なお子さんを危険な目に合わせるわけにはいかないんだよ、わかるね?」

 そう言われて納得した。
 私が危険なことに首を突っ込まないよう先生として止めようとしてくれているのだと。だけど今は四の五の言っている暇はないと思うのだ。

「通常、黒呪術に対して白呪術で対抗するには、もしもの事態に備えて複数の魔術師が必要となる。…下手したら失敗する可能性だってあるんだ。そのときは、反対呪文を唱えた術者にも危険が及ぶ恐れが出てくる」

 大事じゃないですか。とばっちりで被害を被るとか。
 フレッカー卿には、この話を預かるみたいな形で話を締めくくられたのだが、私は不完全燃焼であった。わかるんだよ、彼の言い分も、私がすべき模範行動も。
 だけどなんだかモヤモヤして仕方ないんだ。
 私はグルグル考えていた。授業で習った白呪術のことを。
 魅了術も服従術も隷属術も、相手の意志などお構いなしに従えるものだ。身も心もずたずたに引き裂いてしまう恐ろしい能力。放置していたらどんどん術が心身に侵食して厄介なことになる。
 ファーナム嬢と王太子殿下が廃人になる恐れだってあるのだ。

 キィ、とゆっくり扉を開けたフレッカー卿が「もう大丈夫だ」と言ったので、私達は談話室から出た。話し込んでいたら空が薄暗くなってしまった。今日の図書館での自習は諦めたほうが良さげである。フレッカー卿にも早く寮に帰りなさいと促されてしまった。
 あぁ…なんかスッキリしない。




「お待ち下さい、殿下!」
「離さないか。リリスが待っているんだ」

 その言い争いを聞きつけたのは、フレッカー卿と別れた後のことである。中庭を渡って一般塔に戻ろうとした私の耳に入ってきた。…私はそれに引き寄せられるように特別塔の中へとこっそり歩を進めた。
 渡り廊下とつながったそこはロビーみたいな作りをしており、壁には大きな絵画、奥には繊細な石膏像が飾られている。床は真っ赤な絨毯が敷き詰められていた。

 その場所では2人の男女が言い争っていた。ふたりとも私の知っている人たちで、片方はここ最近よく話すようになった令嬢である。
 彼女は泣いて我慢しているだけの弱々しい女性ではない。ちゃんと自分で考えて行動できる人だ。婚約者を正しい道に戻そうと奮闘していた。
 まだ口論の段階なら私も割って入ることはなかったのだ。痴話喧嘩に第三者が割って入ってもいいことはなにもない。ただ静かに立ち去るべきだと思っていた。

 ──バシッ
「うぬぼれるな。親同士が決めた婚約者なだけであって、私はお前のことなどなんとも思っていない」

 しかし、あろうことか相手の男は女性を平手打ちしたのだ。
 赤く腫れた頬を抑えたファーナム嬢は呆然としていた。彼女は唇を震えさせて固まっていた。自分が今何をされたのか理解し始めたのだろう。
 頬を抑えて泣きそうに顔を歪めていた。するとブワッと彼女の背後を包む黒いモヤが増幅したように見えた。

「お前みたいな可愛げのない女、そもそも好みじゃないんだ。私はリリスのような純情可憐な女性が好きだ。……王妃候補だというならそれらしくおとなしく従順にしていたらいいんだ」

 これは本音なのか、黒呪術の影響なのかは知らんが、どっちにしてもひどい発言である。
 操られているからとはいえ、なにも叩く必要なくないか?

「で、殿下、そんな…」

 堂々と令嬢の中心に立っていた彼女とは思えない、弱々しい声だった。
 キラリ、と彼女の目に光る涙を見てしまった私はぷつん、と自分の中で何かが切れた気がしたのである。
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