75 / 77
大切な人
しおりを挟む
クリス様がなんとかしてくれる。
頼りになる言葉だ。
「あんたに俺の孤独が埋められるとでも?」
「別にあなたの孤独を埋めようとなんて思ってませんよ。そもそも、外交ってのはもとより孤独なものですから。」
「クリス様...私からも、お願いします。」
「ふふ。簡単なことですから安心してほしいです。」
「簡単、?」
「ベルトン家の不祥事は婚約者である僕にも深く関わってきますからね。口でひとつひとつまわっているあなたの家族と引き換えに僕が謝罪文と慰謝料を準備します。」
「それは、確かに一枚で済みそうだ。」
「でしょう?それなら、あなたの家族も帰ってきますよ。さて、この外交はいかがですか?セシル監査。」
「も、問題ありません。ですが、慰謝料の金額は?」
「あちらが望むだけ出せばいいでしょう。それでベルトン家が、なによりアリアがこの手にとどまると思えば安いものです。」
その言葉に私の顔に熱が集まる。
「わかりました。特に問題がないので進めてもよいかと?レイ様、いかがですか?」
「...ありがとうございます。これでやっと家族が元に戻りそうです。」
「ふふ、それはなによりです。では、アリーナは通常通りの授業に...」
「それでも、アリーナのような人にはもう出会えないと思います!」
ん?
レイ様の家族が帰ってくる。元に戻る。
ハッピーエンドだよね?
「家族がいるなら私はもう要らないのではないでしょうか?」
「いや、俺にはアリーナが必要だ。一言も話してない俺のことをそこまで理解してくれたアリーナなら俺をこれからも支えてくれそうです。」
「も、もちろん!支えますよ!」
アリアとして。
「なら、俺はあんたと一緒にいたい。俺はあんたが居なきゃ変われねぇ。」
「な、なるほど?」
「あなたはあなたのままでいいんですよ?」
「そ、そうですよ。僕もそう思います。あなたの家にも深く謝罪すると共にあなたとのタッグの日を楽しみにしてますから。」
「いえ。これは俺が決めたことなんです。アリーナ、俺は君を幸せにしたい!恋として、君が好きだ!」
...!?
顔がめちゃくちゃに熱くなるのがわかる。
恋、?
「...庶民は急に告白されたら困るんですわ。段階を踏んでくださいまし。あ、あれ。違いますわね。」
ステラまでもがよくわからないことを言い出してしまった。
「命が惜しければそいつから離れな。的なははっ。ははは。」
「告白だなんて困りますよね~。アリーナさん。セシールのお見舞いにでも~。」
「こ、告白嬉しいです!」
「ホント?この気持ち受け取ってくれるの?」
「で、でも、友達じゃダメかなって思います。」
恋仲はさすがにクリス様がいるのにヤバい。
「友達からってこと?」
「耳ついてます?」
「俺アリーナのおかげで変われそうだよ。言っとくけど想像の200倍好きだから。キスさせて?」
「は?あんた、なに言って...!」
チュ。
ん、私キスした!?
お、思わず目をつぶってしまった。え、クリス様の前で?誰と?
「あっ、うっ。えと、その?レイ様?」
「レイ様じゃないですよ。」
目を開けたとき目の前にいたのはクリス様だった。
「あ、アリーナですわよね!?あの、クリス様本当に何してるんですか?」 「限界の限界ではち切れたか。」
「あんたなにしてんの!?馬鹿なんですか?」
「なんですか、あのままキスさせるつもりだったんですか?セシルは。」
「はぁ!?そんなことある前に僕は二人の間に手を差し込もうとしてましたよね?なのにあんたが姉様の手を引っ張ったんでしょうが!!」
「奪われるのが我慢できなくて、でもまぁ。どっちにしろ。」
「く、クリス様ぁ。。」
「可愛いなぁ。僕のアリアは。もう、わかりますよね?」
「...えぇ。こんな展開とかありー?俺も好きだったのに。」
「僕はあなたなんかよりはるかに彼女を愛しています。んー、そうですね。思いは既に10年越えですから。」
「な、なんで?」
「なんでって。まだわかりませんか?」
シュルッ。カチャ。
クリス様は髪をほどき、眼鏡を取った。
「僕からアリアを奪おうとするなんていい度胸ですね。」
そういって私の手の甲にキスをした。
「まだ手を出そうって言うならそれ相応の態度で相手になりましょう。僕は、王族であなたは公爵。優秀な外交官なんてたくさん作れますから。ね?」
「ひっ。よ、よくあんたそんな独占欲を潜めてられましたね。。」
「何度はち切れそうになったことか。カルムの苦すぎるコーヒーでなければ無理でしたよ。まぁ、結果的に無理でしたけど。」
「は、はぁ。なるほど?」
「さて、僕のアリアに手を出した落とし前はどうやってつけてもらいましょうか。」
「ひ、ひぃ!や、やめてください。。」
「うーんそうですね。ステラにこのままでは視線で殺されそうですし。この事を一切誰にも話さない、で手を打ちましょう。」
「は、はい。」
「あなたの回りの女の子はいい感じに言いくるめてくださいね。期待しています。」
クリス様は満天の真っ黒い笑みを浮かべ、レイ様に笑いかけた。
「が、頑張りますぅ!」
ガチャンっ。
「はぁぁぁぁぁぁ。」
「く、クリス様?」
「もうどこにも行かないで。」
「す、すいません。」
「本当にもう戻ってこないんじゃないかって思ったんですから。」
「...空気重いなぁ。僕は先帰るね。門限は7時。」
「私も帰りますわ。」
「俺も。」
え、み、みんな!?
「ふふ、優しい人たちですよね。本当に。今日は帰しませんよ。アリア。」
クリス様はそう魅惑的に微笑んだ。
頼りになる言葉だ。
「あんたに俺の孤独が埋められるとでも?」
「別にあなたの孤独を埋めようとなんて思ってませんよ。そもそも、外交ってのはもとより孤独なものですから。」
「クリス様...私からも、お願いします。」
「ふふ。簡単なことですから安心してほしいです。」
「簡単、?」
「ベルトン家の不祥事は婚約者である僕にも深く関わってきますからね。口でひとつひとつまわっているあなたの家族と引き換えに僕が謝罪文と慰謝料を準備します。」
「それは、確かに一枚で済みそうだ。」
「でしょう?それなら、あなたの家族も帰ってきますよ。さて、この外交はいかがですか?セシル監査。」
「も、問題ありません。ですが、慰謝料の金額は?」
「あちらが望むだけ出せばいいでしょう。それでベルトン家が、なによりアリアがこの手にとどまると思えば安いものです。」
その言葉に私の顔に熱が集まる。
「わかりました。特に問題がないので進めてもよいかと?レイ様、いかがですか?」
「...ありがとうございます。これでやっと家族が元に戻りそうです。」
「ふふ、それはなによりです。では、アリーナは通常通りの授業に...」
「それでも、アリーナのような人にはもう出会えないと思います!」
ん?
レイ様の家族が帰ってくる。元に戻る。
ハッピーエンドだよね?
「家族がいるなら私はもう要らないのではないでしょうか?」
「いや、俺にはアリーナが必要だ。一言も話してない俺のことをそこまで理解してくれたアリーナなら俺をこれからも支えてくれそうです。」
「も、もちろん!支えますよ!」
アリアとして。
「なら、俺はあんたと一緒にいたい。俺はあんたが居なきゃ変われねぇ。」
「な、なるほど?」
「あなたはあなたのままでいいんですよ?」
「そ、そうですよ。僕もそう思います。あなたの家にも深く謝罪すると共にあなたとのタッグの日を楽しみにしてますから。」
「いえ。これは俺が決めたことなんです。アリーナ、俺は君を幸せにしたい!恋として、君が好きだ!」
...!?
顔がめちゃくちゃに熱くなるのがわかる。
恋、?
「...庶民は急に告白されたら困るんですわ。段階を踏んでくださいまし。あ、あれ。違いますわね。」
ステラまでもがよくわからないことを言い出してしまった。
「命が惜しければそいつから離れな。的なははっ。ははは。」
「告白だなんて困りますよね~。アリーナさん。セシールのお見舞いにでも~。」
「こ、告白嬉しいです!」
「ホント?この気持ち受け取ってくれるの?」
「で、でも、友達じゃダメかなって思います。」
恋仲はさすがにクリス様がいるのにヤバい。
「友達からってこと?」
「耳ついてます?」
「俺アリーナのおかげで変われそうだよ。言っとくけど想像の200倍好きだから。キスさせて?」
「は?あんた、なに言って...!」
チュ。
ん、私キスした!?
お、思わず目をつぶってしまった。え、クリス様の前で?誰と?
「あっ、うっ。えと、その?レイ様?」
「レイ様じゃないですよ。」
目を開けたとき目の前にいたのはクリス様だった。
「あ、アリーナですわよね!?あの、クリス様本当に何してるんですか?」 「限界の限界ではち切れたか。」
「あんたなにしてんの!?馬鹿なんですか?」
「なんですか、あのままキスさせるつもりだったんですか?セシルは。」
「はぁ!?そんなことある前に僕は二人の間に手を差し込もうとしてましたよね?なのにあんたが姉様の手を引っ張ったんでしょうが!!」
「奪われるのが我慢できなくて、でもまぁ。どっちにしろ。」
「く、クリス様ぁ。。」
「可愛いなぁ。僕のアリアは。もう、わかりますよね?」
「...えぇ。こんな展開とかありー?俺も好きだったのに。」
「僕はあなたなんかよりはるかに彼女を愛しています。んー、そうですね。思いは既に10年越えですから。」
「な、なんで?」
「なんでって。まだわかりませんか?」
シュルッ。カチャ。
クリス様は髪をほどき、眼鏡を取った。
「僕からアリアを奪おうとするなんていい度胸ですね。」
そういって私の手の甲にキスをした。
「まだ手を出そうって言うならそれ相応の態度で相手になりましょう。僕は、王族であなたは公爵。優秀な外交官なんてたくさん作れますから。ね?」
「ひっ。よ、よくあんたそんな独占欲を潜めてられましたね。。」
「何度はち切れそうになったことか。カルムの苦すぎるコーヒーでなければ無理でしたよ。まぁ、結果的に無理でしたけど。」
「は、はぁ。なるほど?」
「さて、僕のアリアに手を出した落とし前はどうやってつけてもらいましょうか。」
「ひ、ひぃ!や、やめてください。。」
「うーんそうですね。ステラにこのままでは視線で殺されそうですし。この事を一切誰にも話さない、で手を打ちましょう。」
「は、はい。」
「あなたの回りの女の子はいい感じに言いくるめてくださいね。期待しています。」
クリス様は満天の真っ黒い笑みを浮かべ、レイ様に笑いかけた。
「が、頑張りますぅ!」
ガチャンっ。
「はぁぁぁぁぁぁ。」
「く、クリス様?」
「もうどこにも行かないで。」
「す、すいません。」
「本当にもう戻ってこないんじゃないかって思ったんですから。」
「...空気重いなぁ。僕は先帰るね。門限は7時。」
「私も帰りますわ。」
「俺も。」
え、み、みんな!?
「ふふ、優しい人たちですよね。本当に。今日は帰しませんよ。アリア。」
クリス様はそう魅惑的に微笑んだ。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。
たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。
わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。
ううん、もう見るのも嫌だった。
結婚して1年を過ぎた。
政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。
なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。
見ようとしない。
わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。
義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。
わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。
そして彼は側室を迎えた。
拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。
ただそれがオリエに伝わることは……
とても設定はゆるいお話です。
短編から長編へ変更しました。
すみません
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
【完結】「政略結婚ですのでお構いなく!」
仙桜可律
恋愛
文官の妹が王子に見初められたことで、派閥間の勢力図が変わった。
「で、政略結婚って言われましてもお父様……」
優秀な兄と妹に挟まれて、何事もほどほどにこなしてきたミランダ。代々優秀な文官を輩出してきたシューゼル伯爵家は良縁に恵まれるそうだ。
適齢期になったら適当に釣り合う方と適当にお付き合いをして適当な時期に結婚したいと思っていた。
それなのに代々武官の家柄で有名なリッキー家と結婚だなんて。
のんびりに見えて豪胆な令嬢と
体力系にしか自信がないワンコ令息
24.4.87 本編完結
以降不定期で番外編予定
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる