上 下
5 / 5
入学を目指せ!

5 暗殺計画

しおりを挟む
心臓はギュッと握られたように苦しい。
でも、横にいるこいつはすごく頼りになる。

だから、、大丈夫。。


コンコンコン。  

「ヴッ。」
『おい、耐えろ。大丈夫だからな。』

すぐそばの死への恐怖は吐き気となって襲いかかった。耐えろ。寝るんだ。俺は、寝てるんだ。

ガチャ。 

「寝ててよかった。」
『耐えろ。寝てろよ。声をあげるなよ。』
「はぁ。毒なら痛くないのに。なんで、死んでくれないんですか?」
それはまあ奇跡だっただけ。
「お兄様。私は、あなたのこと好きなんですわ。家族として本当に大切ですの。だから、、だから?」

リア?お前、様子が。。
くそっ、心配になっちまう。。

「だから、死んでくんねぇかなぁぁ!!」

前言撤回。恐怖しかなかったわ。

ナイフを抜く音がダイレクトに耳に響く。

『ヒビキ。これはすぐ終わるぜ。こんな殺し方アタシには到底及ばないからな。今は、まだ。』
「ハハ、、ありがとうございました。お兄様。私のために死んで!!」
 
そう叫んだミアは恐らくこっちに向けてナイフを突き刺しに来ているんだろう。

『...はぁ。アイスウォール。』

ガンっ。
俺の頭上でそんな鈍い音が聞こえた。

「は...?なんで、お兄様から氷が!?起きてるの!?」
『ウィンドブレード。』
「ね、てるのになんで?」  

そういってミアが倒れた音が聞こえた。

氷の壁で俺にナイフが届くのを防いだ上、威嚇してくれたのか。
魔法の声は大人っぽいじゃねぇか。アリサ!

『おい。守ってやったアタシにその言い方はどうなんだよ?』

やべっ、心読んできやがった。

『はぁ。まぁ、いいや。ミア、一旦縛るからな。起きていいぞ。』
「あ、あぁ。」 

なんだろう。本当にあっさり終わっちまったな。

『まだまだミアも未熟だからな。特技であるナイフもまだまだ半人前だ。アタシには到底敵わないね。』
「そ、そうなんだ。つか、アリサは何者なんだ?」
『んなの、知ってどうする。アタシはお前をハッピーエンドに導くただそれだけだっつーの。よし!縛れた。』
「こいつ、本当に俺のこと狙ってるんだよな。」

寝顔はこんなにも可愛いのに。

『まぁな。』

アリサはなにやら表情を曇らせた。こいつ、意外と顔に出るんだな。

「なにか嘘ついてるだろ。まぁ、そうだよな。こんな状況ハッピーエンドを叶えることが出来るわけないもんな。」
『そ、そんなのわからねぇだろ。アタシはとりあえずミアを廊下に...』
「このままじゃ、ハーレムエンドなんか迎えられないよな?」
『...そうだよな。悪かった。早いこと全部話しておくべきだな。』

アリサはミアを廊下に出した後こっちを真っ直ぐ見つめていった。

『お前は忌み子に転生した。が、世間的にはヒビキのことを忌み子だと思ってるやつは数少ない。が、その数少ないやつらが問題なんだ。』
「なるほど。」
『人を操ることができる占い師たちに狙われている。』
「なんでだ?」
『...いずれわかる。まだ、それは知るべきじゃない。』
「そうか。つまり。そいつらがミア達暗殺者を操っているってことか?」
『あぁ。素質のある人間を操っている。操られてるときはずっとミア達は夢を見ているんだ。つまり、この家の暗殺者はお前を恨んで殺そうとしてるわけではないんだ。』
「なるほど。つまり、その占い師とやらからミア達を解放させればハッピーエンドに近づくんだな?」 
『あぁ。基本的にはそうだ。』
「わかったよ。なら、ミアを解放してやろうぜ?目を覚まして縛られてるなんてかわいそうだろ?」
『...ヒビキは優しいな。アタシとは大違いだぜ!』
「いや、アリサも優しいよ。見ず知らずの俺をこんなに守ってくれるなんて。頼りがい半端ねーっての。」
『やっぱり?アタシって頼れるよなぁ!じゃ、改めまして、ヒビキ。ハッピーエンドのための計画をたてるぞ。』
「おう!」 

不安要素しかねぇがやるしかなさそうだな。

 
『まず、前提条件としてヒビキは暗殺者たちの心の闇を晴らさなければならない。あと、占い師を倒さなきゃな。』
「もう無理な気がしてきてるんだが?」
『まぁ。その話だけじゃ大変だよな。まずはこの1年間はアタシが全力で守る。だから、暗殺を避け続けろ。』
「お、おう。」
『そして、1年後。ミライ学園に入学だ。』
「そこで暗殺者集結か。ちなみに、入学できないとどうなんの?」
『最初の詰みポイントと化してバッドエンドへ一直線だ。ちなみに実際のゲームでもあるぜ?入学できなくて終わりのやつ。』
「はぁ!?酷くねぇか!?」
『ちなみにヒビキは実技テストはこれっぽっちも出来ないだろうから勉強頑張れよ。今の調子でいいからな。』
「あ、あぁ。まずは、入学できなきゃダメなんだな。」
『おう!ちなみに、そのときはちゃんと先輩を確認しとけよな。お前の暗殺者第四号だ。で、入学と先輩との対面によりアタシが実体化。』
「なるほど。」
『実体化したらアタシらの逆襲の始まりだぜ。』
「あぁ。アリサを信じる!」
『そうしてくれ。何があってもその言葉忘れるんじゃねぇぞ。』
「勉強頑張るからな。」
『うん。アタシも少しは勉強しなきゃな。んで、明日はスフレに会うんだっけ?』
「あぁ。少し不安だな。」
『ま、アタシが居るんだ!安心しろって。』
「そうだな!夢見なきゃ普通なわけだし。」 
『そうそう。あと、占い師に頼るようになった理由をそこはかとなく探った方がいい。何かの理由で頼ったからあいつらは呪われたんだ。』
「それが心の闇ってわけか。」
『あぁ。ミライ学園に入るまでにリアかスフレを解放させてやれ。』 

心の闇を払って解放させてやる。
俺にそんなことできるのか...?

『そう不安がるな。ミライ学園の時点でだ。あと、6ヶ月あるんだから。ちなみに、それをミスって入学すると力業でねじ伏せない限りバットエンドな。まぁ、つまりは殺すってことだからお前が生き延びたところでってなるな。』

最後に恐ろしい話を俺に吹っ掛けてきやがった。。
やるしかないんだよな。

ミアかスフレかどちらかを6ヶ月以内に占い師の呪縛から解放させる。

ひとまず、2人の観察を第1に生活した方が良さそうだ。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

女の子なのに能力【怪力】を与えられて異世界に転生しました~開き直って騎士を目指していたらイケメンハーレムができていた件~

沙寺絃
ファンタジー
平凡な女子高生だった主人公は、神様から特殊能力【怪力】を与えられて、異世界の農村に転生する。 持前の怪力を活かしてドラゴン退治していたら、壊滅寸前だった騎士団の騎士に見出された。 「君ほどの力の持ち主を、一介の村娘や冒険者として終わらせるのは惜しい! ぜひイース王国に仕える騎士となるべきだ!」 騎士の推薦のおかげで、軍事都市アルスターの騎士学校に通うことになった。 入学試験当日には素性を隠した金髪王子と出会って気に入られ、騎士団長の息子からはプロポーズされてしまう。さらに王子の付き人は、やっぱりイケメンの銀髪&毒舌家執事。 ひたすら周りを魅了しながら、賑やかな学園生活を送るサクセス&青春ストーリー。 ※この小説はカクヨムでも掲載しています。

アンチエイジャー「この世界、人材不足にて!元勇者様、禁忌を破って若返るご様子」

荒雲ニンザ
ファンタジー
ガチなハイファンタジーだよ! トロピカルでのんびりとした時間が過ぎてゆく南の最果て、余生を過ごすのにピッタリなド田舎島。 丘の上の教会にある孤児院に、アメリアという女の子がおりました。 彼女は、100年前にこの世界を救った勇者4人のおとぎ話が大好き! 彼女には、育ててくれた優しい老神父様と、同じく身寄りのないきょうだいたちがおりました。 それと、教会に手伝いにくる、オシャレでキュートなおばあちゃん。 あと、やたらと自分に護身術を教えたがる、町に住む偏屈なおじいちゃん。 ある日、そののんびりとした島に、勇者4人に倒されたはずの魔王が復活してしまったかもしれない……なんて話が舞い込んで、お年寄り連中が大騒ぎ。 アメリア「どうしてみんなで大騒ぎしているの?」 100年前に魔物討伐が終わってしまった世界は平和な世界。 100年後の今、この平和な世界には、魔王と戦えるだけの人材がいなかったのです。 そんな話を長編でやってます。 陽気で楽しい話にしてあるので、明るいケルト音楽でも聞きながら読んでね!

男女比崩壊世界で逆ハーレムを

クロウ
ファンタジー
いつからか女性が中々生まれなくなり、人口は徐々に減少する。 国は女児が生まれたら報告するようにと各地に知らせを出しているが、自身の配偶者にするためにと出生を報告しない事例も少なくない。 女性の誘拐、売買、監禁は厳しく取り締まられている。 地下に監禁されていた主人公を救ったのはフロムナード王国の最精鋭部隊と呼ばれる黒龍騎士団。 線の細い男、つまり細マッチョが好まれる世界で彼らのような日々身体を鍛えてムキムキな人はモテない。 しかし転生者たる主人公にはその好みには当てはまらないようで・・・・ 更新再開。頑張って更新します。

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

処理中です...