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【 最終章 愛する人へ贈りたいもの 】
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しおりを挟むヴィクトルが完治するまで2カ月ほどの時間を要した。殆どがベッドの上で仕事をし、指示を出していただけに体はすっかり鈍ってしまった気がする。それにしても、どれも頭の痛い案件ばかりだった。
イヴァンの件は、ヴィクトルの予想通り”イヴァンはリーリエに惚れていた”なんていうのが、トラブルの原因だったらしい。エリク神やレーニャ神を巻き込んだトラブルの後は、リーリエがイヴァンを叱りつけ、トラブルも解決した。
ちなみに、詳しく話を聞くと少し前にリーリエが1人でパーティに参加した際にイヴァンと酒を飲み比べし、その際に少しだけ会話をしたらしい。もちろん、多くの主賓が集まるパーティで酒を浴びるように飲んだこと、そしてイヴァンと接近していたことを報告しなかった件についてはリーリエに酷く説教した。
…はぁ、これを機にリーリエも公の前に出るときは、ヴィクトルがいなくても大人しくしていてほしいのだが…。しかし、そんな役目ももう少しで終わる。
リーリエとルスラン侯爵の結婚式が後に開かれることとなったのだ。
ヴィクトルの怪我で少し遅れることになったものの、リーリエの結婚は今やザハール国では話題の出来事でもある。なにより、少し前に隣国のイヴァンの元へ単身で乗り込んだことが大々的に報じられ、今までのお淑やかな王女といった仮面がはがれ、より一層国民たちの支持を増やしたリーリエ。
ヴィクトルは少し苦笑いを浮かべた後、リーリエのトラブルに関しては今後は夫となったルスラン侯爵に全て任せておこうと感じた。
今まさに尻に敷かれているルスラン侯爵だが、リーリエを一番に考えていることは理解している。
時々ルスラン侯爵も暴走しがちだが、そんなときこそリーリエが傍にいれば良いだろう。あの2人はある意味で必ずどちらかがストッパーになりえる関係なのだ。
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