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【 第2章 引き出しの奥に隠していたもの 】
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しおりを挟む「陛下、ジャスミンの後を付けましたが、彼女は元居た森の奥の小さな山小屋に戻ったようです。兵士たちの尾行に気付いてはいたようですが、最後に小さく頭を下げた後は小屋に籠もってしまい、なにやら家の片付けをしているようで不審な様子はないと報告を受けました。まだ監視を続けさせますか?」
いつも以上に青白い顔で、目の下には大きなクマを残している宰相のアレクセイ。普段は綺麗に整えられて後ろに束ねられている長髪も今日はぼさぼさであり、彼が昨日から慌ただしく働いていることが分かる。
ヴィクトルは、今日の朝に会った不審な女のジャスミンのことをアレクセイに調べさせていた。彼女に関する記憶がないために不審者だと彼女を拘束するつもりだったヴィクトルだったが、アレクセイから一連の出来事の報告を受け、エリク神の力によって自分の中から”ジャスミンと言う女の記憶”がなくなったことを理解する。
「…そうか。まぁこれからは数日ごとに報告を上げさせるだけでいい。それにしても…俺が執着するような女には思えなかったがな。あまりに平凡な女だった」
それはヴィクトルの素直な感想だった。今日の朝に見かけたジャスミンという女は輝くほどの美貌を持っているわけでも、一度見ると忘れられないような魅力を持っているような女ではなかった。色気のない汚れた作業着のようなものを身に着け、貧相な体をしていた女。今日の朝に見た限りではそれくらいしか印象がない。
ただ、ヴィクトルのそんな反応に、アレクセイは静かにため息を吐く。
「陛下が今、何も悔いていないならそれでいいのです。きっとエリク神はそういった姿を楽しんでいるのでしょうし…」
そんな中、執務室へと慌ただしい足音が近づいてくる。
「陛下!!リーリエ様が目覚められました!」
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