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ふたなり女王陛下の甘美なる受難
第三話 ◆
しおりを挟む「いいですか? 触れますよ」
「ま、待って……心の準備が……!」
前置きをした上で手を伸ばして来たウィルフレッドに慌てて首を振る。彼の申し出を素直に受け入れて身を委ねることにしたシャルロッテだが、いきなり触れられるのは怖いし不安もある。
ふるふると首を振ると、若干呆れたような顔をされた。だが実際に異性と性的に触れ合った経験がないのだから、そんな顔をされてもやっぱり心の準備は必要に決まっている。
「わかりました。それではシャルロッテ様が心の準備をしている間に身体の緊張をほぐしましょう。失礼、ベッドに上がりますよ」
シャルロッテの内心を悟ったウィルフレッドはすぐに代替案を提示してくれた。シャルロッテの気持ちが落ち着く間に別の準備をしようと、靴を脱いでベッドに乗り上げてくる。彼の体重に驚いてギシッとマットが軋む音は、シャルロッテの緊張感と同調している気がした。
背後に回ったウィルフレッドからリラックスするよう耳元に囁かれ、背中を彼の胸に預けるように指示される。
恐る恐る彼の胸板に上半身を委ねると、脇腹から回り込んできたウィルフレッドの大きな手が、シャルロッテのネグリジェの上から胸のふくらみを包み込んだ。
「柔らかいですね」
「え……これっ……必要、あるの……?」
「ありますよ。気持ちいいでしょう?」
「ん、ん……」
胸の凝りをほぐすように膨らみを揉みしだかれることは、精を吐くための行為とあまり関係ないように思ってしまう。しかしウィルフレッドはこれも大事だとシャルロッテを諭し、更に耳元に唇を寄せてくる。
ふ、と彼の吐息を感じるとそれだけで身体が敏感に反応する。その様子を見たウィルフレッドが、耳の輪郭に沿って舌を這わせてくる。ちゅ、と音を立てて耳朶を吸われ、耳の孔へぬるりと舌を忍ばせてくる。
「やだ……耳……だめっ……」
「耳で感じるんですね。可愛らしいですよ、シャルロッテ様」
「あっ……ん……んぅ、……っふ、ぁ」
ぞわぞわぞわ、と背中に奇妙な感覚が生じて身を震わせると、その様子を見たウィルフレッドがさらなる熱を与えてくる。ぴちゃ、くちゅ、ちゅ、とわざとらしい音を零して、ねっとりと耳を舐られ『心の準備は出来ましたか?』とくすくすと笑われる。
「ああ、ちゃんと勃ってますね」
「う、うそ……やだ……!」
散々胸と耳をいじめられて呼吸困難寸前になっていると、視線を下げたウィルフレッドが楽しそうに呟いた。その手がシャルロッテの股の間へ伸びるので咄嗟に
「あ……ま、って……!」
と制止しようとした。だが太腿にかかるネグリジェの裾を再度腹の傍まで引き上げられると、シルクの下からふるるっ……と反応した陰茎が姿を現してしまう。
本来女性には備わっていないはずの男性の象徴が、オレンジ色のライトに照らされている。勃ち上がった先端からは透明な蜜がとろとろと溢れてきている。空気を直接感じているはずなのに、ひどく熱を持っている。
普段シャルロッテはそこをあまり直視しないが、今日はウィルフレッドの胸に上半身を預けているためかやけにしっかりと見えてしまう。
「ちょ、……!」
シルクを取り払ったウィルフレッドの手が再度股の間へ伸びるので、今度こそ彼の手首を掴んで制止を試みる。だが一見細身だがよく鍛えられたウィルフレッドの剛腕には敵わず、彼の指はシャルロッテの熱棒に容易く触れてしまう。
「やだ、やだやだ……!」
「ここで止めるとかえって辛いですよ」
シャルロッテの抵抗などものともせず、ウィルフレッドの手がそそり立つ逸物を包み込む。
自分の手だと両手を使わなければすべてには触れられないし上手く刺激できないのに、手のひらが大きく指も長いウィルフレッドはいとも簡単にそれを包み込んでしまう。
普段から剣を握っているためか、彼の手は皮膚が厚くゴツゴツと骨張っている。その指に敏感な場所を握られてそのままゆるゆると擦られると、シャルロッテは思わず彼の胸に体重を掛けて強く喘いでしまった。
「んん、んっ……あ、ああっ」
怖さもあるが、それ以上に不思議な感覚が背中へ抜けていく。自分で触るのとは違い、人に触られると刺激は不規則で予測不能だ。力のある男性に弱い部分を触れれば痛みがあるのかと想像していたが、さすがに『知っている』人は違う。
「あっ、は――っ、ん、ん……!」
表情や反応を確認しながら竿を扱くウィルフレッドの手や指の動きは、シャルロッテの知らない未知の快感を呼び起こすようだ。それに加えて反対の手で胸を刺激し続ける動きや、耳を犯すように舐める動きまでもが計算されたように巧みである。
やがていつもと同じように下腹部の奥から熱の波動が押し寄せて来る。先ほど達し損ねていたもどかしさも相まって、快感の放出はどんなに恥ずかしくても止められそうになかった。
「やぁ、やあああぁっ……!」
絶叫するように喉から声を漏らし、背中と仰け反らせて果ててしまう。それと同時にそそり立つ性器もドクドクと脈動し、ウィルフレッドの指の隙間からは白濁液がぴゅ、ぴゅる、と溢れ飛んだ。
「いっぱい出ましたね」
手のひらに精液を吐かれるなんてさぞや不快だろうとシャルロッテは予想したが、実際の彼の声はいつになく楽しそうだった。
胸を揉む手を離したウィルフレッドが、傍に置いてあった手巾で自分の手にかかった精液を拭きとる。ウィルフレッドの胸に身体を預けたまま、シャルロッテも汚れた手を拭う様子を見つめる。
だが整わない呼吸を繰り返しているうちに、ひどく恥ずかしい行為に耽ってしまったことを自覚していく。だからシャルロッテは現実から逃げるようにきゅっ、と目を瞑って、卑猥な光景から顔を背けた。
「こんなの……ちが、う……」
「痛かったですか?」
小さな問いかけにふるふると首を振る。
違う。痛かったわけではない。
むしろ自分で熱を処理して精を吐くよりも数倍気持ち良かった。胸や耳を触られたせいか、ただ精を吐くというよりも全身を撫でられている気分になって、なんだかとても心地よかった。そう思ってしまう自分が恥ずかしかった。
「そうですか。では続けましょうか」
「え……ええ!?」
護衛騎士に身体を慰めさせてしまった背徳感に困惑していると、ウィルフレッドが当然のように再開を宣言した。
思わず驚いて首だけで後ろを振り返るが、目が合っても彼は小さく笑うだけだ。
「何度か出した方が効率が良いですよ。身体が辛いのなら止めますが、シャルロッテ様はお若いのでこれぐらい大丈夫でしょう」
「だめよ、そんなの……は、っ……ん」
そんなのはしたない。
そう言おうとしたのに、アルフレッドは綺麗に精液を拭きとったばかりの手をまた同じ場所へ滑り込ませてくる。
「あっ、ん……っ……っふ」
今度は陰茎の竿部を擦るだけではない。さきほどは胸を揉んでいた手も今度は下腹部へ伸び、そちらは陰嚢の裏側を刺激するように皮膚の上を擦り撫でる。陰茎も今度は竿部ではなく、亀頭部から溢れた蜜を塗り込むように、敏感な雁部ばかりをくるくると撫でられる。
気持ちいい。怖い――気持ちいい。
たった今精を吐いて一時的に萎んだはずなのに、また熱を持ってあっという間に膨らみきっている。擦られたり撫でられたり掴まれたりと色んな刺激を与えられ、そのどちらとも関係ない蜜孔の奥がきゅうん、と疼く。
「ウィル……っ、うぃ、る……ぅ、ん……っ」
男性のものではない、女性の秘所まで反応している。全身で彼に与えられる刺激を欲している。
「名前を呼ぶのは卑怯ですね。俺の理性を試してるんですか?」
「っは――あ、っ……ん――!」
切ない声を零しながらウィルフレッドの名前を呼ぶと、彼は少し困ったような声を零した。だが手は全く休めてくれず、むしろ与える刺激はどんどん強く激しくなっていく。
「ああ、ああっ……ああぁ!」
シャルロッテはほどなくしてやってきた強い快感に簡単に飲み込まれた。再びウィルフレッドの手の中に射精し、身体の全てから魂が抜けるほどの虚無感を覚える。
それと同時にやってきた強い疲労感に抗おうとしたが、ウィルフレッドが『眠ってもいいですよ』と囁く声を聞くと、まるで魔法にかかったように眠りの世界へ意識が沈んでいった。
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