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同居終了:66日目 2/26(土)
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「真琴さん、身体大丈夫ですか?」
「うん…腰がまだ痛いけど、大丈夫」
真琴さんの身体を支え門の前に立つ。
まさか、こんなにも早くここに再び来るとは思わなかった。
一昨日は朝方まで抱き合って、数時間の睡眠の後、また盛ってしまった。
主に俺が……。
おかげで、体力のない真琴さんは、昨日丸一日、ベッドから起き上がることができなくなった。
ちなみに、真琴さんの発情期は5日で終わった。
ふらふらする身体を支えてきた場所は、真琴さんの実家。
所謂、ご挨拶だ。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「よく来たね。……だいぶ真琴に無茶させたようだねぇ…」
「えっと……すみませんっ」
玄関で真琴さんのお父さんに迎え入れられた俺は、深々と頭を下げた。
だって、こめかみと口の端がめっちゃ引き攣ってるんだもん。
「お、お父さん!」
「ああ、真琴、寒かっただろう」
真琴さんの手を取りリビングへエスコートするお父さんの後ろを静かについて行く。
ソファーに並んで座ると程なくティーセットを持ってきた。
「もう少ししたら、父さんと和真と朔真も来るから待ってもらえるかな」
「えっ、お祖父様来るの⁈」
「今日はお祝いだからね」
カァーと赤くなる真琴さんの隣で、俺はサーと青くなった。
俺生きて帰れるかな…。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「立花くん、久しぶりだね。元気そうで何より」
「あ、お久しぶりです」
俺は反射的にソファーから降りて正座した。
正面にお祖父様、横のソファーにはお父さん、双子の兄が並んで座っている。
俺の隣に真琴さんはソファーに双子の子供に挟まれて座っている。
今日は望月さんもいる。
き、気まずい……。
「まこちゃん、おしっこー」
「ちっこー」
双子の子供たちの声がその流れを破り一気に空気が和んだ。
「真琴、頼めるか?」
「あ、うん。ひろくん、めぐちゃん、行こう」
「「うん!」」
だが、真琴さんと子供たちが居なくなるとまた空気が重くなった。
「さて、立花くん」
「はいっ」
「そんな畏まらなくていいよ。真琴と番になったそうだね」
「……はい」
5人の視線が刺さる……と思ったら、爺さんが笑い出した。
それに釣られて、他の3人も笑い出した。
もちろん、笑ってないのは望月さんだ。
と思ったら、口の端が僅かに上がっていた。
「真琴の項は見たかい?」
不意にお父さんがそう尋ねた。
「項ですか?……あ、痣がありました」
「話は望月から聞いたが、あの痣、あの時君がつけた跡だろう?」
「あの時……」
爺さんが言うあの時とは、初めて会った真琴さんと致した時だ。
一昨日、目を覚ました俺は、断片的だったあの日の記憶を全て思い出した。
どうやって真琴さんを襲ったのかハッキリと。
そして、改めて真琴さんに土下座した。
笑い流してくれたけど、真琴さんの過去を知った後だと申し訳なさでいっぱいになった。
「立花様はあの日、真琴様を番にとマーキングしたのでしょう。発情期でないオメガと番になるのは赤のレア・アフルァ以外不可能ですから」
「しかし、紫のレア・アフルァにそんな能力があるとは驚いたな」
「紫陽、お前、レア・アルファなんだ」
「なんだよ、早く言えよな」
お父さんと双子の兄たちは、望月さんの説明をあっさり受け入れた。
しかも、好印象だ。
「で、『あの時』っていつ時だ?」
「えーー……っと、それはですねぇ……」
真琴さんのお父さんと双子の視線が痛い。
「まあ、だいたい判ってるよ」
「そうそう。真琴が嫌がっていたなら半殺しだったけどな」
「あー、命までは取らねぇよ。でも社会的に抹殺はしたけどな」
ため息をついてるお父さんの隣で笑いながら物騒なことを喋る双子。
望月さんも怖いけど、この双子も怖え……。
「ただいまー」
「たーいまー」
「あれ、みんなどうしたの?」
嗚呼、真琴さん、おかえりなさい……。
「ああそうだ。今日は寒いし鍋にしようか」
「そろそろ食材が届く予定です」
真琴さんのお父さんの提案に望月さんが間髪入れず返事をする。
相変わらず、望月さんは抜かりなかった。
この日初めて、出汁から作った真琴さん特製の鍋をいただいた。
美味かった……。
「うん…腰がまだ痛いけど、大丈夫」
真琴さんの身体を支え門の前に立つ。
まさか、こんなにも早くここに再び来るとは思わなかった。
一昨日は朝方まで抱き合って、数時間の睡眠の後、また盛ってしまった。
主に俺が……。
おかげで、体力のない真琴さんは、昨日丸一日、ベッドから起き上がることができなくなった。
ちなみに、真琴さんの発情期は5日で終わった。
ふらふらする身体を支えてきた場所は、真琴さんの実家。
所謂、ご挨拶だ。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「よく来たね。……だいぶ真琴に無茶させたようだねぇ…」
「えっと……すみませんっ」
玄関で真琴さんのお父さんに迎え入れられた俺は、深々と頭を下げた。
だって、こめかみと口の端がめっちゃ引き攣ってるんだもん。
「お、お父さん!」
「ああ、真琴、寒かっただろう」
真琴さんの手を取りリビングへエスコートするお父さんの後ろを静かについて行く。
ソファーに並んで座ると程なくティーセットを持ってきた。
「もう少ししたら、父さんと和真と朔真も来るから待ってもらえるかな」
「えっ、お祖父様来るの⁈」
「今日はお祝いだからね」
カァーと赤くなる真琴さんの隣で、俺はサーと青くなった。
俺生きて帰れるかな…。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「立花くん、久しぶりだね。元気そうで何より」
「あ、お久しぶりです」
俺は反射的にソファーから降りて正座した。
正面にお祖父様、横のソファーにはお父さん、双子の兄が並んで座っている。
俺の隣に真琴さんはソファーに双子の子供に挟まれて座っている。
今日は望月さんもいる。
き、気まずい……。
「まこちゃん、おしっこー」
「ちっこー」
双子の子供たちの声がその流れを破り一気に空気が和んだ。
「真琴、頼めるか?」
「あ、うん。ひろくん、めぐちゃん、行こう」
「「うん!」」
だが、真琴さんと子供たちが居なくなるとまた空気が重くなった。
「さて、立花くん」
「はいっ」
「そんな畏まらなくていいよ。真琴と番になったそうだね」
「……はい」
5人の視線が刺さる……と思ったら、爺さんが笑い出した。
それに釣られて、他の3人も笑い出した。
もちろん、笑ってないのは望月さんだ。
と思ったら、口の端が僅かに上がっていた。
「真琴の項は見たかい?」
不意にお父さんがそう尋ねた。
「項ですか?……あ、痣がありました」
「話は望月から聞いたが、あの痣、あの時君がつけた跡だろう?」
「あの時……」
爺さんが言うあの時とは、初めて会った真琴さんと致した時だ。
一昨日、目を覚ました俺は、断片的だったあの日の記憶を全て思い出した。
どうやって真琴さんを襲ったのかハッキリと。
そして、改めて真琴さんに土下座した。
笑い流してくれたけど、真琴さんの過去を知った後だと申し訳なさでいっぱいになった。
「立花様はあの日、真琴様を番にとマーキングしたのでしょう。発情期でないオメガと番になるのは赤のレア・アフルァ以外不可能ですから」
「しかし、紫のレア・アフルァにそんな能力があるとは驚いたな」
「紫陽、お前、レア・アルファなんだ」
「なんだよ、早く言えよな」
お父さんと双子の兄たちは、望月さんの説明をあっさり受け入れた。
しかも、好印象だ。
「で、『あの時』っていつ時だ?」
「えーー……っと、それはですねぇ……」
真琴さんのお父さんと双子の視線が痛い。
「まあ、だいたい判ってるよ」
「そうそう。真琴が嫌がっていたなら半殺しだったけどな」
「あー、命までは取らねぇよ。でも社会的に抹殺はしたけどな」
ため息をついてるお父さんの隣で笑いながら物騒なことを喋る双子。
望月さんも怖いけど、この双子も怖え……。
「ただいまー」
「たーいまー」
「あれ、みんなどうしたの?」
嗚呼、真琴さん、おかえりなさい……。
「ああそうだ。今日は寒いし鍋にしようか」
「そろそろ食材が届く予定です」
真琴さんのお父さんの提案に望月さんが間髪入れず返事をする。
相変わらず、望月さんは抜かりなかった。
この日初めて、出汁から作った真琴さん特製の鍋をいただいた。
美味かった……。
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