魔法使いと眠れるオメガ

むー

文字の大きさ
上 下
66 / 79

同居終了:64日目 2/24(木)

しおりを挟む
「これ、飲んでください」
「薬?」
「ピルです。先に飲んだ方が効果が高いらしいので」
「ピっ、ピルって……何で持ってるの?」

あー、やっぱり驚きますよね…。
これからすることについては理解していても、そんな素振りを見せなかった奴から避妊薬コレ出されたら動揺するよな。

「月曜日に物資と共に差し入れられました。真琴さんのお父さんからです」
「えっ?ええっ?」

紙袋の中身をテーブルに並べて見せると、そのラインナップに真琴さんは激しく動揺する。

「使ったら挨拶に来るように言伝もいただきました」
「それって…」
「……たぶん、そう、なって良いということだと…」
「そう、なの?」

幾分冷静さを取り戻した真琴さんは薬を握りしめ俺を見上げた。

「正直、俺、真琴さんを相手に自分をセーブ出来る自信ないです。夢中になったらゴムもつけ忘れると思うし、許可取る前に項も噛んでしまうかもしれません……。本当にいいんですか?」

途中で怖がられたり嫌がられたらと思ったら、つい意地悪なことを言ってしまった。
数秒目を合わせた後逸らされショックで項垂れてしまうが、その後すぐ聞こえてきたパキパキと薬を押し出す音に顔を上げる。
息を止め目の前で錠剤を口に含み水で流し込む姿をじっと見つめる。
ゴクリと喉が上下に動き、コップが離れた口の端から水が溢れる。
無意識に身体が動いて、拭おうとする手を掴んで流れた水を舐め取り、そのまま口を塞いだ。
目を見張り固まるその手からコップを回収して押し倒しながらテーブルに置く。

「んっ、ふぁぁ」
「息止めないで、鼻でして」
「んっ……で、でもっ、んっ…」

態と立てるリップ音に顔を赤くして受け入れるが緊張しているのか口が開かない。
上唇の内側、歯茎に舌を差し込みベロリと舐めるとビクッと身体が跳ね、閉じていた上下の歯に隙間ができた。
すかさず舌をねじ込むと身体はまた跳ねたけど俺の舌を噛まないよう口を開いて俺の舌を受け入れてくれた。

「んっ…んんっ…んふっ…ん…」
「真琴さん……舌…出して…」

慣れていないながらも必死にキスに応えようとしてくれる。
俺の言葉に素直に差し出してきた舌に吸い付き舌を絡める。
飲み切れない唾液が真琴さんの口から溢れる。
それを追いかけるように唇を動かし、耳の下までいくと濃厚なフェロモンが鼻腔をくすぐった。

「匂い、強くなってきた……すげぇ好きな匂い…」
「んっ…ふっ、くすぐったい…」

吸い付きながら首筋をなぞる。

「ふぇ…あっ…うそ…いつの間に…」

ボタンを全て外したパジャマを開くと驚いた顔で見上げられた。
キスに夢中でボタンを外されたことに気づかなかったようだ。

「秘密です」

俺はフッと笑って鎖骨にキツく吸い付くと、白い肌に赤い花が咲いた。
肌をなぞりながら白いキャンバスに花を咲かせていく。
発情期の熱で敏感になった肌は、触れるだけでビクビクと反応しピンクに染まっていく。

「ああんっ」

なぞる手が胸の尖に触れると、背中がのけぞった。
その身体を抱き上げベッドに下ろしてキスをするとザラリと歯列を舐められた。
差し込んできた舌を押し返し深く深く絡める。

「ぷはっ…ふっ…ふっ…はぁ…」

唇を離すと苦しそうに呼吸をする真琴さんの耳朶を舐め甘噛みする。

「ふあぁぁ」
「先に進んでいいですか?」

甘噛みの合間に囁き、頭が上下に小さく動くのを確認すると、さっきと同じように唇を這わせて首筋をなぞりながら下を目指し、撫でていた胸の尖を口に含んだ。

「はああっっ…んあっ…」

飴のようにグミのように小さな尖を口の中で転がし刺激を与えると、ビクビクと身体が跳ねた。
反対の尖りを交互にしばらくしていると、身体がどんどん熱くなっていく。
それに煽られるように俺の身体も熱くなり、スウェットの上を脱ぎ捨てる。
キスをしながら身体を密着すると、その身体は溶けそうなくらい熱かった。
素早くパジャマを脱がせると、恥ずかしそうに身体を丸め隠した。

「真琴さん…」
「ちょっ、ちょっと待って……は、恥ずかしい……」

顔を隠すけど、もっと隠した方がいいものがチラチラ見えてて可愛い。
項も真っ赤だ…。

「あれ…なんだ?」
「ふぇっ?」

襟足の髪をかき分けると、ビクッと肩が揺れたけど構わず続ける。

「痣……?というか、噛み跡?」
「えっ、何?」

食い入るように項に浮き出た痣を見る。
さっきまではなかったそれは、赤く縁を描いていて、まるで噛み跡のようだ。

「真琴さん、ここ、誰かに噛まれました?」
「噛まっ…れたことないよ。紫陽くん以外には…」
「じゃあ…」
「でも……真田先生に襲われた時もこの痣が浮き出てきたみたいで殴られた…」

痣をなぞるが凹凸はなかった。
項に顔を寄せて傷をつけないように歯を立てる。
ついた窪みは痣とぴったり重なった。

「やっぱり……これ、俺の歯型だ…」
「んんっ…」

真琴さんのフェロモンが一層濃くなり、痣が浮き出た項をなぞる度にビクビク身体が跳ねる。
その反応に俺の身体もどんどん熱くなる。

「真琴さん……やっぱり、今日、あなたを俺の番にしたい」
「しよ、うくん?……あっ」

真琴さんの身体を背後から抱きしめて、硬くなったそれをお尻に押し当てる。
項に吸い付き跡をたくさんつける。

「あっ…ぁんっ…し、しようくん…」

伸ばされた手を掴んで顔を覗き込むと、今にも溢れそうなくらい涙が溜まった目と合う。
クルッと身体の向きを変えるとそっとキスをしてきた。

「項、噛んでいい?」
「……ん…噛んで……僕を紫陽くんの番にして…」

その顔から恥ずかしさはなくなり、ただ俺にだけ欲情している顔があった。

番の儀式はアルファは精子を発情期中のオメガの胎内に注ぎ込んでその項を噛む。
発情期中でも真琴さんの入り口は狭く、歯を食いしばるも苦しそうに喘いだ。
少しでも楽になるよう快感を与えながら傷つけないようにゆっくり侵入した。
胎内ナカはぬかるんでいたにも関わらず途中までは俺の侵入を拒んだ。
それでも俺のサイズに馴染んでくると奥へ導くように絡みついた。
その頃には苦しそうな声も甘いものへと変わっていき、それと共に匂いフェロモンも強くなった。
そこからはただ無我夢中でその身体を貪った。

噛んだ項から流れる血は蕩けるほど甘く、その瞬間、俺の頬に涙が伝った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版)

キンモクセイは夏の記憶とともに

広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。 小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。 田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。 そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。 純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。 しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。 「俺になんてもったいない!」 素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。 性描写のある話は【※】をつけていきます。

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!

みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。 そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。 初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが…… 架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

処理中です...