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同居終了:47日目 2/6(日)
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お互いの気持ちを伝え合った翌日。
俺は真琴さんの家族に挨拶するため、真琴さんの実家に行くことにした。
駅で待ち合わせをして、2人で真琴さんの実家に向かう。
「もう少し後でも良かったんじゃない?」
「いえ、時間は十分経ってます」
昨日、1ヶ月くらい後で良いと言う真琴さんを説得して、渋々しつつも了承してもらった。
その場で真琴さんがお父さんに電話をすると望月さんと一緒にいたらしく、あっという間に来訪時間を決められてしまった。
望月さんの抜け目のないスケジュール管理と年末のことを思い出してブルリと震えた。
駅にから徒歩15分ほどの距離にその豪邸はあった。
立花家、2.5個分か?
そんなことを考えながら門をくぐり10秒ほど歩くと玄関にたどり着いた。
「ただいまー……あ」
「お邪魔しまーす……え?」
ドアを開けた先には、仁王立ちする巨人2人と小人が2人いた。
「「おかえり」」
「まこちゃん!」
「まこちゃ!」
巨人は不気味な笑みを浮かべ、小人は真琴さんに飛びついた。
「立花くんだよね?」
「は……い」
「「ようこそ、弥生家へ」」
めっっちゃ、圧がすごいんですけど…。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「いやぁ、うちの双子がごめんね。真琴が君を連れてくるってチラッと話したら朝から押しかけてきてねぇ……」
「いぇ…」
真琴さんのお父さんは本当に申し訳なく思ってるのか、低姿勢で謝罪してきた。
L字のソファーの長い方に座りそれぞれの子供を抱っこしている2人は、真琴さんの双子のお兄さんで和真さんと朔真さん。
二卵性の双子らしいが、俺には一卵性の双子に見える。
たぶん中身は完璧な一卵性だ。
双子の子供は、和真の息子さんが大夢くん(4歳)、朔真さんの息子が芽夢くん(2歳)。
2人は真琴さんのことが大好きだ。
ちなみに俺はL字の短い方に座り、向かいの1人掛けのソファーに真琴さんのお父さんが座っている。
それから5分ほど待つと、5人分のお茶と2人分のジュースをトレイに乗せて真琴さんが戻ってくる。
飲み物を並べた真琴さんはソファーには座らず、俺が座るソファーの横にあったクッションに座った。
すると双子に抱っこされていた子供たちが、双子の腕から抜け出して真琴さんの隣に座った。
俺は大人気なく小さい2人にちょっと嫉妬した。
「立花くん」
「はいっ」
「今日は急にどうしたんだい?」
薄々分かっている顔でお父さんは聞いてきた。
横の双子の俺を見る目も少し鋭くなって、その圧に負けそうな気持ちが湧いて目が泳ぐと、子供たちにジュースを飲ませながら心配そうに俺を見る真琴さんの揺れる目と合った。
俺は深呼吸をした。
「あのっ、俺、昨日、真琴さんに告白して結婚を前提のお付き合いを申し込みました。今日は、お、お父さまにそのお許しをいただきたくまいりました」
「そう」
その一言で、空気が一気に氷点下まで下がったように感じてブルリと震えた。
「真琴は…」
「はい」
「真琴はどう答えたの?」
「僕も、紫陽くんが好きで……承諾しました」
真琴さんは迷いなくハッキリと言い切った。
お父さんは俺と真琴さんを交互に見て小さく息を吐いた。
「そう、か……うん、分かった。報告してくれてありがとう」
そう言うと、嬉しそうに微笑んだ。
「紫陽だっけ?カッコいいじゃん」
たぶん手前にいるのが朔真さんで、俺の背中をバシッと叩いた。
和真さんも「ははっ」と笑っていた。
「ダメー!まこちゃんはボクのお嫁さんになるのー!」
「メー!まこちゃはめぐのー!」
2人のライバルが現れた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「今日はごめんね」
「いえ……」
あの後、真琴さんのお父さんはお寿司の出前を取ってくれてみんなで食べた。
食後、小判鮫のように真琴さんにずっと張り付いていた大夢くんと芽夢くんは、双子に剥がされ泣きながら帰っていった。
結局、敵視され続けた俺は2人のライバルと仲良くなることが出来なかった。
「なんか、意外にアッサリ認めてもらって正直ビックリしました」
「僕もビックリした」
駅までの道のりを手を繋いで歩く。
門まで出て見送ってくれた真琴さんのお父さんは、帰り際に本当に嬉しそうに俺に握手を求めてきた。
そんなことを思い出しながら握る手を少しだけ力を込めると、同じくらいの力で握り返してくれる。
なんだろう、この気持ち。
こんな些細なことなのに、それだけで幸せだ。
「でも、真琴さんの手料理食べたかったな」
「また作るよ」
「俺だけのために作ってくださいね」
「うん」
握る手をぎゅっとすると、ぎゅっと握り返してくれた。
「あ……その前に、またうちの家族にお願いします…」
「ふふふっ、はい」
俺は真琴さんの家族に挨拶するため、真琴さんの実家に行くことにした。
駅で待ち合わせをして、2人で真琴さんの実家に向かう。
「もう少し後でも良かったんじゃない?」
「いえ、時間は十分経ってます」
昨日、1ヶ月くらい後で良いと言う真琴さんを説得して、渋々しつつも了承してもらった。
その場で真琴さんがお父さんに電話をすると望月さんと一緒にいたらしく、あっという間に来訪時間を決められてしまった。
望月さんの抜け目のないスケジュール管理と年末のことを思い出してブルリと震えた。
駅にから徒歩15分ほどの距離にその豪邸はあった。
立花家、2.5個分か?
そんなことを考えながら門をくぐり10秒ほど歩くと玄関にたどり着いた。
「ただいまー……あ」
「お邪魔しまーす……え?」
ドアを開けた先には、仁王立ちする巨人2人と小人が2人いた。
「「おかえり」」
「まこちゃん!」
「まこちゃ!」
巨人は不気味な笑みを浮かべ、小人は真琴さんに飛びついた。
「立花くんだよね?」
「は……い」
「「ようこそ、弥生家へ」」
めっっちゃ、圧がすごいんですけど…。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「いやぁ、うちの双子がごめんね。真琴が君を連れてくるってチラッと話したら朝から押しかけてきてねぇ……」
「いぇ…」
真琴さんのお父さんは本当に申し訳なく思ってるのか、低姿勢で謝罪してきた。
L字のソファーの長い方に座りそれぞれの子供を抱っこしている2人は、真琴さんの双子のお兄さんで和真さんと朔真さん。
二卵性の双子らしいが、俺には一卵性の双子に見える。
たぶん中身は完璧な一卵性だ。
双子の子供は、和真の息子さんが大夢くん(4歳)、朔真さんの息子が芽夢くん(2歳)。
2人は真琴さんのことが大好きだ。
ちなみに俺はL字の短い方に座り、向かいの1人掛けのソファーに真琴さんのお父さんが座っている。
それから5分ほど待つと、5人分のお茶と2人分のジュースをトレイに乗せて真琴さんが戻ってくる。
飲み物を並べた真琴さんはソファーには座らず、俺が座るソファーの横にあったクッションに座った。
すると双子に抱っこされていた子供たちが、双子の腕から抜け出して真琴さんの隣に座った。
俺は大人気なく小さい2人にちょっと嫉妬した。
「立花くん」
「はいっ」
「今日は急にどうしたんだい?」
薄々分かっている顔でお父さんは聞いてきた。
横の双子の俺を見る目も少し鋭くなって、その圧に負けそうな気持ちが湧いて目が泳ぐと、子供たちにジュースを飲ませながら心配そうに俺を見る真琴さんの揺れる目と合った。
俺は深呼吸をした。
「あのっ、俺、昨日、真琴さんに告白して結婚を前提のお付き合いを申し込みました。今日は、お、お父さまにそのお許しをいただきたくまいりました」
「そう」
その一言で、空気が一気に氷点下まで下がったように感じてブルリと震えた。
「真琴は…」
「はい」
「真琴はどう答えたの?」
「僕も、紫陽くんが好きで……承諾しました」
真琴さんは迷いなくハッキリと言い切った。
お父さんは俺と真琴さんを交互に見て小さく息を吐いた。
「そう、か……うん、分かった。報告してくれてありがとう」
そう言うと、嬉しそうに微笑んだ。
「紫陽だっけ?カッコいいじゃん」
たぶん手前にいるのが朔真さんで、俺の背中をバシッと叩いた。
和真さんも「ははっ」と笑っていた。
「ダメー!まこちゃんはボクのお嫁さんになるのー!」
「メー!まこちゃはめぐのー!」
2人のライバルが現れた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「今日はごめんね」
「いえ……」
あの後、真琴さんのお父さんはお寿司の出前を取ってくれてみんなで食べた。
食後、小判鮫のように真琴さんにずっと張り付いていた大夢くんと芽夢くんは、双子に剥がされ泣きながら帰っていった。
結局、敵視され続けた俺は2人のライバルと仲良くなることが出来なかった。
「なんか、意外にアッサリ認めてもらって正直ビックリしました」
「僕もビックリした」
駅までの道のりを手を繋いで歩く。
門まで出て見送ってくれた真琴さんのお父さんは、帰り際に本当に嬉しそうに俺に握手を求めてきた。
そんなことを思い出しながら握る手を少しだけ力を込めると、同じくらいの力で握り返してくれる。
なんだろう、この気持ち。
こんな些細なことなのに、それだけで幸せだ。
「でも、真琴さんの手料理食べたかったな」
「また作るよ」
「俺だけのために作ってくださいね」
「うん」
握る手をぎゅっとすると、ぎゅっと握り返してくれた。
「あ……その前に、またうちの家族にお願いします…」
「ふふふっ、はい」
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