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第2部
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「今日で試験終わりだけど、オオキミくんは向こうに帰るの?」
「ああ、明日の朝に帰る予定だ。両親にはゆっくりするといいと言われたが、キラピカが気になるから。春にはあにうーーゴホンっ、兄貴だけでなく俺もこっちにきてアイツが独りになるから……それまでは出来るだけ一緒にいたいと思ってる」
オオキミくんはこっちの世界に来るに当たって、イチゴくんの呼び方を『兄上』から『兄貴』に変えた。
最初は『兄さん』にしようとしていたのだが『兄上』呼びが直らなくて、多少誤魔化せる『兄貴』呼びに変えたらしい。
まだまだ呼べてないけど。
「じゃあ、晩飯は一緒に食おうよ。鍋……は昨日食べたから、うーん」
「おでん……はお店の食べましたし……オオキミ、何か希望はある?」
オオキミくんはアイスを齧りながら少し考えるとボソッと呟いた。
「ラーメン」
「「ええっ⁉︎」」
想定外な回答にオレとイチゴくんは声をハモらせてオオキミくんを見た。
注目を浴びたオオキミくんは発言が恥ずかしかったのか目を逸らし話を続ける。
「ひ、昼に大学の周辺を歩いていたら行列ができてる店を見かけて……看板にラーメンって書いてあって……並ぶほど美味いのなら食べてみたいな……と」
大学近くで行列ができているラーメン屋は、たまに雑誌で紹介される有名な店だ。
背脂たっぷり豚骨のガッツリ系で、オレの胃をもたれさせるラーメンだ。
でも、オオキミくんが食べたいのなら……。
「オオキミ。そこの近くに、並ばないけどオススメの町中華のお店があるんだけど、今日はそこにしないか?」
「俺は何処でもかまわない。あにうっ、ゴホッ、兄貴やアユムが美味しいという店なら、寧ろそこがいい」
オオキミくんの了承を得て晩飯はイチゴくんオススメの中華料理屋に決定した。
「じゃあ、アイス食ったら一旦淡雪くんたちのマンションに行って、シフシさんたちと行こうぜ」
オレは一番乗りでアイスを食べ終えると、みんなのゴミを回収してゴミ箱に捨てた。
「じゃあ、行こうーー」
「待ってくれ」
その声にオレの肩はビクッと跳ねた。
「一后大皇くん、待ってくれっ」
オオキミくんを引き止める声にオオキミくんだけでなくイチゴくんも振り返ったが、オレはすぐに振り向けなかった。
こちらに駆け寄ってくる足音の主を2人の背後からそっと覗き込む。
その姿にオレの心臓はドクンっと大きく跳ねた。
「ああ、明日の朝に帰る予定だ。両親にはゆっくりするといいと言われたが、キラピカが気になるから。春にはあにうーーゴホンっ、兄貴だけでなく俺もこっちにきてアイツが独りになるから……それまでは出来るだけ一緒にいたいと思ってる」
オオキミくんはこっちの世界に来るに当たって、イチゴくんの呼び方を『兄上』から『兄貴』に変えた。
最初は『兄さん』にしようとしていたのだが『兄上』呼びが直らなくて、多少誤魔化せる『兄貴』呼びに変えたらしい。
まだまだ呼べてないけど。
「じゃあ、晩飯は一緒に食おうよ。鍋……は昨日食べたから、うーん」
「おでん……はお店の食べましたし……オオキミ、何か希望はある?」
オオキミくんはアイスを齧りながら少し考えるとボソッと呟いた。
「ラーメン」
「「ええっ⁉︎」」
想定外な回答にオレとイチゴくんは声をハモらせてオオキミくんを見た。
注目を浴びたオオキミくんは発言が恥ずかしかったのか目を逸らし話を続ける。
「ひ、昼に大学の周辺を歩いていたら行列ができてる店を見かけて……看板にラーメンって書いてあって……並ぶほど美味いのなら食べてみたいな……と」
大学近くで行列ができているラーメン屋は、たまに雑誌で紹介される有名な店だ。
背脂たっぷり豚骨のガッツリ系で、オレの胃をもたれさせるラーメンだ。
でも、オオキミくんが食べたいのなら……。
「オオキミ。そこの近くに、並ばないけどオススメの町中華のお店があるんだけど、今日はそこにしないか?」
「俺は何処でもかまわない。あにうっ、ゴホッ、兄貴やアユムが美味しいという店なら、寧ろそこがいい」
オオキミくんの了承を得て晩飯はイチゴくんオススメの中華料理屋に決定した。
「じゃあ、アイス食ったら一旦淡雪くんたちのマンションに行って、シフシさんたちと行こうぜ」
オレは一番乗りでアイスを食べ終えると、みんなのゴミを回収してゴミ箱に捨てた。
「じゃあ、行こうーー」
「待ってくれ」
その声にオレの肩はビクッと跳ねた。
「一后大皇くん、待ってくれっ」
オオキミくんを引き止める声にオオキミくんだけでなくイチゴくんも振り返ったが、オレはすぐに振り向けなかった。
こちらに駆け寄ってくる足音の主を2人の背後からそっと覗き込む。
その姿にオレの心臓はドクンっと大きく跳ねた。
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