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第2部
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頬っぺた痛い。
それ以上に足が焼けるように熱くて痛い。
みるみるうち腫れ上がった足首は紫に変色していた。
たぶん、今までで一番酷い捻り方をしてしまったんだろう。
この魔法の世界ならこんな捻挫も一瞬で治せる。
でも、今治してもらったらその魔法の反動でオレは大事な宴を欠席することになるだろう。
それだけはできない。
だから……。
淡雪くん、ごめん。
宴が終わるまで待って。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
コンコンコン
「歩夢先輩、準備できました?」
「アーユくーん、一緒に行こ」
イチゴくんに続いてキラピカくんとオオキミくんが部屋に入って来た。
昼間、パレードに参加した時とは違う違う衣装の3人は、照明を意識してか上から下までキラキラ王子様だ。
「うん。準備OKだ……わっ」
「歩夢先輩は歩いちゃダメです。会場までは僕が運びます」
「歩けるから」というオレの言葉は却下され、横抱きのまま一眼につかないルートで会場近くまで運ばれてしまった。
「みなの者、今日は我のため集まって感謝する。今宵は存分に楽しんでくれ」
王様のひと言で宴が開始した。
昼間は平民のために城下を一周するパレードだったが、夜は貴族のための宴だ。
オレはフロア奥に設置されたビュッフェ台の近くで食事を楽しみながら遠くから華やかな様子を眺めた。
ここは怪我をしたオレのために急遽設置してくれた場所で、近くにはいつでも休めるよう椅子も用意されている。
奥まった場所で目立たないおかげで誰も寄り付かないからすっげぇ楽でいい。
「何故、貴方がこんなところにいるのかしら?」
ローストビーフに舌鼓を打っているところにブリブリな声が聞こえて振り返る。
「ん?……んぐっ」
誰も見てないことをいいことに一気に詰め込んだオレは現れた相手に喉を詰まらせそうになった。
ドンドン胸を叩いて無理やり飲み込んでから振り返ると、教えてもらった作法でお辞儀した。
「ど、どうも……こ、こんばんわ……マリフェス様」
頭を上げると目の前で口元をセンスで隠しているお嬢様ーマリフェス様はグッと眉間に皺を寄せてオレを見た。
それ以上に足が焼けるように熱くて痛い。
みるみるうち腫れ上がった足首は紫に変色していた。
たぶん、今までで一番酷い捻り方をしてしまったんだろう。
この魔法の世界ならこんな捻挫も一瞬で治せる。
でも、今治してもらったらその魔法の反動でオレは大事な宴を欠席することになるだろう。
それだけはできない。
だから……。
淡雪くん、ごめん。
宴が終わるまで待って。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
コンコンコン
「歩夢先輩、準備できました?」
「アーユくーん、一緒に行こ」
イチゴくんに続いてキラピカくんとオオキミくんが部屋に入って来た。
昼間、パレードに参加した時とは違う違う衣装の3人は、照明を意識してか上から下までキラキラ王子様だ。
「うん。準備OKだ……わっ」
「歩夢先輩は歩いちゃダメです。会場までは僕が運びます」
「歩けるから」というオレの言葉は却下され、横抱きのまま一眼につかないルートで会場近くまで運ばれてしまった。
「みなの者、今日は我のため集まって感謝する。今宵は存分に楽しんでくれ」
王様のひと言で宴が開始した。
昼間は平民のために城下を一周するパレードだったが、夜は貴族のための宴だ。
オレはフロア奥に設置されたビュッフェ台の近くで食事を楽しみながら遠くから華やかな様子を眺めた。
ここは怪我をしたオレのために急遽設置してくれた場所で、近くにはいつでも休めるよう椅子も用意されている。
奥まった場所で目立たないおかげで誰も寄り付かないからすっげぇ楽でいい。
「何故、貴方がこんなところにいるのかしら?」
ローストビーフに舌鼓を打っているところにブリブリな声が聞こえて振り返る。
「ん?……んぐっ」
誰も見てないことをいいことに一気に詰め込んだオレは現れた相手に喉を詰まらせそうになった。
ドンドン胸を叩いて無理やり飲み込んでから振り返ると、教えてもらった作法でお辞儀した。
「ど、どうも……こ、こんばんわ……マリフェス様」
頭を上げると目の前で口元をセンスで隠しているお嬢様ーマリフェス様はグッと眉間に皺を寄せてオレを見た。
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