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第2部

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ロシアンタルトーー基、ラズベリータルトは甘酸っぱくて美味しかった。

「……のに……何だよコレは⁉︎」

怒りを露わにするオレを明らかに笑いを堪えた目でみんなが見る。
イチゴくん1人を除いて。

「歩夢先輩、とても可愛いですよ!」

そう言いイチゴくんはズレたカチューシャを直してくれたが……。

「こんなの……可愛くなーい!」

フリフリのドレスに着飾られたオレは絶叫した。


「まさか全部当たりだったなんてねぇ……ふふっ」

王妃様は侍女と楽しそうに裏返ったフリルを直す。
そうだ。
キラピカくんのお土産の【ロシアンタルト】。
本来、当たりはひとつだけのはずが全部当たりだったのだ。
王妃様はちょっと若返って、イチゴくん、キラピカくん、オレは女の子に変わった。
最初、イチゴくんとキラピカくんの変化にオレは笑っていた。
ーーが、王妃様がオレの変化を指摘したことで気がついた。
それから数分後、イチゴくん、オオキミくん、キラピカくんの3人は元に戻ったのにオレだけが男に戻らなかった。


「歩夢先輩は魔法に耐性がないので、体内から消えるのに時間がかかっているのかもしれません。でもちゃんと元に戻りますから大丈夫ですよ」
「それっていつなんだよー!」

それから3時間経つがまだオレの身体は女の子のままだった。
王室の主治医に診てもらい、身体から完全に消えるのに半日かかると言われたオレは絶望した。
更に、王妃様のひと声でオレは着飾られてしまって、今ここにいる。

肩までの長さのウィッグをヘアピンで留めた頭はチクチクするし、着なれないドレスは落ち着かない。
下にカボチャパンツ履いてるけど。
低いとはいえ踵のあるヒールのせいで足はガクガクして歩きにくい。
フラつくオレの手を取ったイチゴくんに支えられてやっと立てている状態だ。
そのうえ少しだけ化粧もされたから、顔も落ち着かない。

「これなら大丈夫そうね。アユムさん、これから私主催のお茶会に参加しましょうね」
「えっ、ええーっ!」

王妃様はイチゴくんの手からオレを奪うと、侍女にバトンタッチしてオレを男子禁制のお茶会に連行した。

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