ボッチ英雄譚

3匹の子猫

文字の大きさ
上 下
60 / 73

第60話

しおりを挟む
「カッシュ、せっかくロンが用意してくれたいい話なのに反対するだけの理由があるんでしょうね?どういうことか分かるように話してよ!」


 ニナがカッシュに問い詰めました。


「俺たちは冒険者だ!本来は自分等の力でゼロから成り上がっていかねばならない!!それなのに俺たちは既にロンの恩恵でとんでもない装備を手にしている。それは、実際にこの装備を使ってるキースとニナならばよく分かるだろう?

その上、冒険者の夢の1つであるホームまでロンの力で手に入れてしまえば、俺たちはもはや冒険者とは呼べないんじゃないかと思うんだ!俺たちはロンのヒモになりたいわけじゃないだろ!?

ロンが俺たちなんかよりもずっとスゴいことも解ってるし、それに対し悔しい気持ちはあるがそれも事実だと認めている!!だが少なくとも俺は、これからもロンの幼なじみとして対等な人間でいたい!!

だからこそ俺はロンの幼なじみとして、そしてロンの友として誇れるように自分等で結果を出していきたいんだ!!!

ホームは俺だって欲しい!だからこそ、自分等の力で俺たちは俺たちのホームを手に入れてみせようぜ!!」


「それもそうね!ちょっと残念な気持ちもあるけど、カッシュの言いたいことは分かったわ!私だってロンと対等の友達のままでいたいに決まってるわ!分かった、私もまだ宿生活で我慢する!

でも絶対に私たちもホームを手に入れてみせましょう!!」


「そうだな!ロンに頼りっぱなしの生活なんて俺だって真っ平だ!俺はロンの頼れる兄貴分キャラなんだ!ロンとの友情の為にも俺も頑張るぜ!!」


「そうか、2人がこの気持ちを分かってくれて嬉しいぞ!やっぱり俺たち4人は親友だ!!

ロン!俺たちはロンの気持ちもよく分かってる!!だが、今話した通りだ!俺たちはロンの親友として、そして四魂の誓いの名に恥じぬ為にも今回の話に乗るわけにはいかない!」


「そんな…そんなこと関係なくみんなは一生僕の大切な親友だよ!!

それに逆だよ…僕にとってみんなの方が自慢の幼なじみで、いつも傍で僕を救ってくれる大切な存在なんだよ!」


 それ以上言葉が出てきませんでした。僕なんかのことをこんなに大切に思ってくれてるみんなの気持ちがとても温かくて、胸を熱くするんです。

僕は涙が止まりませんでした。


「相変わらずロンは泣き虫ね?」


「ほんとだな!やっぱりロンはロンだな?」


「ロンがそう簡単に変わるわけないだろ?ロンは昔から変わらずのロンだ!多分Sランクに上がったとしても、このまんまだと思うぜ!」


「それもそうだな!」


「ところで気になってるんだけど、ロンの後ろにずっと立ってる人は誰なの?」


「がのじょは、ひっく、レダで、ジュジュ、す。」


「ん?レダさん?」


「違うわよ!私はレナ!!一応こいつの奴隷よ。屋敷の家事を任されてるわ!

勝手にあんたたちの話を聞いて悪かったわね…でもあんた、いい男ね!そして、あんたたちはきっといい冒険者になるわ!元Sランク冒険者である私が保証してあげるわ!!」


「元Sランク!?」


「見ての通りよ!犯罪を犯して今じゃただの犯罪奴隷よ。まあ、そんな奴の保証なんて安っぽいだろうけどね!」


「いやいやいや、十分スゴいですって!」


「ところで、さっきから全然喋ってないその子が、噂のポーターちゃんかしら?」


「わ、私のことですか?」


「うんうん。さすがこいつが惚れるだけあって綺麗な顔してるじゃない!」


「ぶっ!」
「惚れるですか?」


「あれ?あんたたち付き合ってるんじゃなかったの?」


「えっ?実はもう付き合ってたの?」


何故かニナが最初に反応します。僕もニコルさんも真っ赤になってオロオロするのみです。さっきまでの感動の気持ちなんてどこかへ吹っ飛ばされてしまいました。


「これはどうやらこれからだったみたいね?何だかゴメンね。」


レナはぺろっと舌を出してやっちゃいましたアピールをしてきますが、それどころではありません。もうこうなったら前に進むしかありません。


「ニコルさん!いや、ニコル!本当は、近々デートに誘ってちゃんと伝えるつもりだったけど、僕はニコルのことが好きです。僕とお付き合いしてもらえませんか!?」


「「おお!」」
「とうとう言った!」


「ロンさん…本当ですか?私なんかでいいのてすか?」


「ニコルがいいんだ!いや、ニコルじゃないとダメなんだ!!」


「嬉しいです!」


ニコルさんは…いやニコルは僕の胸に飛び込んで、泣いて喜んでくれました。

結果、レナのお陰で僕はニコルと付き合うことになりました。


「やったねニコル!なかなか2人が進展しないから私たちも心配してたんだよー!レナさんナイスキラーパスでした!!あれくらい追い込まないと、ロンは簡単には気持ちを伝えられなかった筈です!」


「これでロンも彼女持ちか!まさかロンに遅れをとることになるとはな…ニナ!こうなったら俺と付き合おうぜ!」


「いやよ!ロンに対抗意識で彼女が欲しいだけでしょ?私は私だけを真剣に愛してくれる人がいいのよ!」


「俺はニナのことだけを真剣に愛してるぞ!」


「キースの口だけの愛になんて私は騙されないわ!本気なら今後の態度で示しなさいよ!そうしたら私も本気で考えてあげるわ!!」


「分かった!俺の愛をニナに必ず分からせてやるよ!!」


 どさくさに紛れてキースがニナに告白をしてました。あんな冗談めいた言い方するところがキースらしいけど、ニナも途中からはどこか満更じゃない雰囲気を出してた気がするぞ?

もしかすると2人がカップルになる日も近いのかもしれません。


「ポーターちゃんと付き合えるようになってよかったじゃない!なら、今日からポーターちゃんも屋敷で一緒に暮らすんでしょ?誘うつもりだって言ってたじゃない!!」


「おお!いきなり同棲じゃないか!!やったなロン!」


「ニコルは僕の屋敷で一緒に暮らしてくれるかな?」


「皆さんは住まないのに私だけいいのですか?」


「私たちとニコルじゃ、ロンとの関係そのものが違うから気にしなくていいのよ!ニコルはもっと自分の幸せに貪欲になった方がいいよ!」


「分かりました。今日からお世話になります。レナさんもよろしくお願いします。」


「あー、私のことは気にせず2人は幸せしてよ。こんな状況になってもいいように、私の寝室はこいつとは一番遠い部屋にしたんだから!私に気を使って声を我慢する必要もないからね!!」


「それって…」


ニコルは想像をしたらしく再び真っ赤になってしまいました。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

食うために軍人になりました。

KBT
ファンタジー
 ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。  しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。  このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。  そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。  父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。    それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。  両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。  軍と言っても、のどかな田舎の軍。  リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。  おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。  その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。  生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。    剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。

処理中です...