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金を生む魔法の子
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昔、あるところにテラという女の子がおりました。
テラの家は、父親が早くに亡くなり、母一人子一人のとても貧しい家庭でした。
母親は、毎日朝早くから暗くなるまで、畑と家畜の世話の毎日。毎日、1日1食を食べていくのもやっとの、苦しい生活です。
テラは今日で10歳の誕生日を迎えました。
今日は誕生日なのでごちそうです。いつものスープと違い、野菜だけでなく、肉がわずかですが入っていたのです!
パンも、いつものカビが生えて無料で分けて貰ったものでなく、固く黒いけど、きれいなパンでした。
『あぁ!こんなご馳走を食べれるなんて、私幸せ♪ママ、ありがとう!大好き!!』
『今時、こんな食べ物で泣いて喜ぶのは、あんたくらいよ…
いつも苦労させて本当に申し訳ないわね…』
『食べ物もだけど、私の誕生日のためにママが頑張ってくれたのが分かるから余計に嬉しいの♪
私はママと一緒なら、贅沢なんていらない…私は、本当に幸せだから、謝ったりしないで。』
『うぅっう…あなた…テラはいい子に育ったわよ!あなたもあの世で喜んでくれてるわよね。きっと、パパも今日は、テラを祝ってくれてるわ♪
さっ!温かいうちに食べましょう。』
その日の食事は、テラにとって特別なものになりました。
食事が終わり、神にお礼の祈りを捧げてる時に、奇跡が起きました。
なんと2人の前に、本物の神様が現れたのです。
『テラよ…10歳の誕生日おめでとう。
お前の父親が死んだとき、お前のことを助けてあげてくれと頼まれていたんだ。
わたしは、お前が10歳の誕生日を迎えるとき、わたしがいい子に育ったと認めた場合のみ、チャンスをあげようと約束していた。
お前は、見事にとてもいい子に育ったようだ。』
『パパからですか?』
物心付いたときには、既に他界して記憶には残っていない父親からの突然の奇跡としかいえない、サプライズプレゼント。
2人は驚かない訳がありませんでした。
『あの人は死んでも、私たちを守ってくれるのね…』
母は泣き崩れる。
『話を進めるぞ?
わたしは、テラにお金を生み出す魔法を使えるようにしてやろうと思う。頭の中で、いくら生まれろ!と唱えると目の前にそのお金が現れる。
ただし、無から有は生み出せぬ。この力はお前の生命力を使ってお金を生み出すものだ。くれぐれも使い方には気をつけるんだよ!
まあ、多少は使用しても…時間が経過したら、回復はするものだ。運動をたくさんするようなものだな。試しに、使ってみなさい。』
テラは魔法を唱えてみました。
(100円生まれろ!)
すると目の前には、100円が突然現れます。
『成功したようだな。この魔法をうまく使って、幸せになってくれることを願ってるよ…では、さらばだ!』
神様はそのまま消えていきました。
母はこの魔法を大変に喜びました。
『テラ、パパからすごい誕生日のプレゼントだったわね!?生命力を使うって言ってたけど、魔法を使ってもなんともなかったの?』
『うん!ちょっと、歩いた後みたいな感じかな?もう少し使っても全然平気そうだったよ。』
(試してみよう…1000円生まれろ!)
目の前には、1000円が現れます。
『また、魔法を使ったの?そんなに連続で使っても大丈夫なの?』
『うん。まだまだ平気みたい。これで美味しいもの食べれるね?』
『そうね。パパにお礼しなくちゃね?』
この日から、テラと母親の生活は大きく変わりました。今までの母親の稼ぎは、月に10万少々と売るには形の悪い僅かな野菜だけでした。
それが、朝7時に起きて1回、夜7時に1回、1日に2回、それぞれ3000円づつ出しても、生活には支障ない程度の疲れで済んだのです。1日に6000円の収入です。月に30日なら、18万円にもなりました。
そのことが分かった母親は、あっさりと働くのをやめてしまいました。テラ自身も、母親と過ごす時間が増えることを喜んでいました。
仕事をやめてしまった母親は、今まで生活の全てを働くことと、家事に使っていた為、すぐに時間をもて余すようになっていきます。
母親は次第に、テラが学校へ行くと、時間を潰す為に、街に出るようになっていきました。街には、お洒落な服、お洒落なアクセサリー、お洒落なお店、美味しいもの、様々な魅力的なものに溢れかえっていました。
母親は、次々に欲しいものが増え、月に18万円の収入では物足りなくなってきたのです。そこで、母親はテラに、もう少し魔法で出す金額を増やせないか頼んでみました。
テラは、母親が自分を頼ってくれるのが嬉しくて、お願いを快く受け、3000円を4000円に増やし、月に24万円も出すようになりました。
少し疲れが残る気がするが、母親が喜ぶ顔が嬉しくて、テラは頑張りました。
一度、お洒落や贅沢を覚えた母親は、あっという間に、テラが頑張って出した、お金だけでは物足りなくなっていきました…
テラにさらに増やして貰うように頼み、テラは快く引き受けます。どんなに苦しくても、母親の喜ぶ顔を見れるだけで幸せだからです。
そんなことが繰り返されていくと、テラはみるみるうちに衰弱していきました。しかし、物欲や、周りへの見栄に目が眩んだ母親が、そんなテラの変化に気付くことはありませんでした。
ある日、母親が街から帰ってくると、テラが家の中で倒れていました。その姿は、もはや別人といっていいほど、顔色が悪くやつれていました。
『これは…?』
ここまで来て、ようやく母親は自分の愚かさに気付きました…テラは既に限界まで、生命力を使い、動けなくなるほどの酷い衰弱に陥っていたのです。
母親は、慌てて医者に診せましたが、限界まで身体が衰弱しきっているので、予断は許さない状況だといいます…
その時、テラが目を覚ましました…
『ママ…』
母親は泣きながらテラに縋りつきます。
『ごめんなさい!こんな衰弱するまで、あなたが無理してることにすら気づけもしなかった、愚かなママを許して…』
『ママ…泣かないで…私もっとお金を生み出すから…笑って。』
『もうお金は出さなくていいの!身体を元気にすることだけ考えて!!』
母親は泣きながらテラを抱きしめます。
『ママが笑ってくれるなら、私は辛くても平気だよ…』
目の前には1万円が現れます…
『もう止めて!お願いだからもう止めて!!』
『今日は…また、ママの作った肉の入ったスープとパンが食べたかった……』
テラのちいさな身体から力が抜け…
病室には、ただただ静寂と…先ほど最後に生み出された1万円のみが残されました…
『あぁ…テラ…!?』
徐々に冷たくなっていく最愛の娘を前に、どんなに後悔しても、謝罪しても、母親には許されるすべがあろうはずもありません…
奇しくも、この日はテラの11歳の誕生日でありました…
テラにとって、10歳の誕生日で食べた、あの粗末な食事が、母親の愛を感じられる最後の特別な食事になってしまったのです。。
あとがき&作者からの願い
この物語は、自分を含む、子供を持つすべての親に向けて書きました。
子供は、親が喜ぶと頑張ります。期待をし過ぎると、それでも子供は頑張るけど心や身体へ負担となります。
あなたは、お子さんに夢を押し付けてませんか?親の見栄の為に、無理をさせ過ぎてませんか?
この話のように、身体や心がすり減って、大きな病気や自殺をしてからでは手遅れです。この話を読んでくれてる方が、子供への自身の愛の注ぎ方を一度考えるきっかけになればと思います。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました!
テラの家は、父親が早くに亡くなり、母一人子一人のとても貧しい家庭でした。
母親は、毎日朝早くから暗くなるまで、畑と家畜の世話の毎日。毎日、1日1食を食べていくのもやっとの、苦しい生活です。
テラは今日で10歳の誕生日を迎えました。
今日は誕生日なのでごちそうです。いつものスープと違い、野菜だけでなく、肉がわずかですが入っていたのです!
パンも、いつものカビが生えて無料で分けて貰ったものでなく、固く黒いけど、きれいなパンでした。
『あぁ!こんなご馳走を食べれるなんて、私幸せ♪ママ、ありがとう!大好き!!』
『今時、こんな食べ物で泣いて喜ぶのは、あんたくらいよ…
いつも苦労させて本当に申し訳ないわね…』
『食べ物もだけど、私の誕生日のためにママが頑張ってくれたのが分かるから余計に嬉しいの♪
私はママと一緒なら、贅沢なんていらない…私は、本当に幸せだから、謝ったりしないで。』
『うぅっう…あなた…テラはいい子に育ったわよ!あなたもあの世で喜んでくれてるわよね。きっと、パパも今日は、テラを祝ってくれてるわ♪
さっ!温かいうちに食べましょう。』
その日の食事は、テラにとって特別なものになりました。
食事が終わり、神にお礼の祈りを捧げてる時に、奇跡が起きました。
なんと2人の前に、本物の神様が現れたのです。
『テラよ…10歳の誕生日おめでとう。
お前の父親が死んだとき、お前のことを助けてあげてくれと頼まれていたんだ。
わたしは、お前が10歳の誕生日を迎えるとき、わたしがいい子に育ったと認めた場合のみ、チャンスをあげようと約束していた。
お前は、見事にとてもいい子に育ったようだ。』
『パパからですか?』
物心付いたときには、既に他界して記憶には残っていない父親からの突然の奇跡としかいえない、サプライズプレゼント。
2人は驚かない訳がありませんでした。
『あの人は死んでも、私たちを守ってくれるのね…』
母は泣き崩れる。
『話を進めるぞ?
わたしは、テラにお金を生み出す魔法を使えるようにしてやろうと思う。頭の中で、いくら生まれろ!と唱えると目の前にそのお金が現れる。
ただし、無から有は生み出せぬ。この力はお前の生命力を使ってお金を生み出すものだ。くれぐれも使い方には気をつけるんだよ!
まあ、多少は使用しても…時間が経過したら、回復はするものだ。運動をたくさんするようなものだな。試しに、使ってみなさい。』
テラは魔法を唱えてみました。
(100円生まれろ!)
すると目の前には、100円が突然現れます。
『成功したようだな。この魔法をうまく使って、幸せになってくれることを願ってるよ…では、さらばだ!』
神様はそのまま消えていきました。
母はこの魔法を大変に喜びました。
『テラ、パパからすごい誕生日のプレゼントだったわね!?生命力を使うって言ってたけど、魔法を使ってもなんともなかったの?』
『うん!ちょっと、歩いた後みたいな感じかな?もう少し使っても全然平気そうだったよ。』
(試してみよう…1000円生まれろ!)
目の前には、1000円が現れます。
『また、魔法を使ったの?そんなに連続で使っても大丈夫なの?』
『うん。まだまだ平気みたい。これで美味しいもの食べれるね?』
『そうね。パパにお礼しなくちゃね?』
この日から、テラと母親の生活は大きく変わりました。今までの母親の稼ぎは、月に10万少々と売るには形の悪い僅かな野菜だけでした。
それが、朝7時に起きて1回、夜7時に1回、1日に2回、それぞれ3000円づつ出しても、生活には支障ない程度の疲れで済んだのです。1日に6000円の収入です。月に30日なら、18万円にもなりました。
そのことが分かった母親は、あっさりと働くのをやめてしまいました。テラ自身も、母親と過ごす時間が増えることを喜んでいました。
仕事をやめてしまった母親は、今まで生活の全てを働くことと、家事に使っていた為、すぐに時間をもて余すようになっていきます。
母親は次第に、テラが学校へ行くと、時間を潰す為に、街に出るようになっていきました。街には、お洒落な服、お洒落なアクセサリー、お洒落なお店、美味しいもの、様々な魅力的なものに溢れかえっていました。
母親は、次々に欲しいものが増え、月に18万円の収入では物足りなくなってきたのです。そこで、母親はテラに、もう少し魔法で出す金額を増やせないか頼んでみました。
テラは、母親が自分を頼ってくれるのが嬉しくて、お願いを快く受け、3000円を4000円に増やし、月に24万円も出すようになりました。
少し疲れが残る気がするが、母親が喜ぶ顔が嬉しくて、テラは頑張りました。
一度、お洒落や贅沢を覚えた母親は、あっという間に、テラが頑張って出した、お金だけでは物足りなくなっていきました…
テラにさらに増やして貰うように頼み、テラは快く引き受けます。どんなに苦しくても、母親の喜ぶ顔を見れるだけで幸せだからです。
そんなことが繰り返されていくと、テラはみるみるうちに衰弱していきました。しかし、物欲や、周りへの見栄に目が眩んだ母親が、そんなテラの変化に気付くことはありませんでした。
ある日、母親が街から帰ってくると、テラが家の中で倒れていました。その姿は、もはや別人といっていいほど、顔色が悪くやつれていました。
『これは…?』
ここまで来て、ようやく母親は自分の愚かさに気付きました…テラは既に限界まで、生命力を使い、動けなくなるほどの酷い衰弱に陥っていたのです。
母親は、慌てて医者に診せましたが、限界まで身体が衰弱しきっているので、予断は許さない状況だといいます…
その時、テラが目を覚ましました…
『ママ…』
母親は泣きながらテラに縋りつきます。
『ごめんなさい!こんな衰弱するまで、あなたが無理してることにすら気づけもしなかった、愚かなママを許して…』
『ママ…泣かないで…私もっとお金を生み出すから…笑って。』
『もうお金は出さなくていいの!身体を元気にすることだけ考えて!!』
母親は泣きながらテラを抱きしめます。
『ママが笑ってくれるなら、私は辛くても平気だよ…』
目の前には1万円が現れます…
『もう止めて!お願いだからもう止めて!!』
『今日は…また、ママの作った肉の入ったスープとパンが食べたかった……』
テラのちいさな身体から力が抜け…
病室には、ただただ静寂と…先ほど最後に生み出された1万円のみが残されました…
『あぁ…テラ…!?』
徐々に冷たくなっていく最愛の娘を前に、どんなに後悔しても、謝罪しても、母親には許されるすべがあろうはずもありません…
奇しくも、この日はテラの11歳の誕生日でありました…
テラにとって、10歳の誕生日で食べた、あの粗末な食事が、母親の愛を感じられる最後の特別な食事になってしまったのです。。
あとがき&作者からの願い
この物語は、自分を含む、子供を持つすべての親に向けて書きました。
子供は、親が喜ぶと頑張ります。期待をし過ぎると、それでも子供は頑張るけど心や身体へ負担となります。
あなたは、お子さんに夢を押し付けてませんか?親の見栄の為に、無理をさせ過ぎてませんか?
この話のように、身体や心がすり減って、大きな病気や自殺をしてからでは手遅れです。この話を読んでくれてる方が、子供への自身の愛の注ぎ方を一度考えるきっかけになればと思います。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました!
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