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第67話

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「忘れたの?迷いの森を抜けたら異空間を抜けて地球と繋がっていたことを…

テレビでも言ってたじゃない、250年前にフィンランドで精霊を見たという男と調査に向かった兵たちが神隠しにあったって話!

あれってアイルさんが助けたマルコさんでしょ?

つまり、日本のテレビ局に聞けばフィンランドのどこに繋がってるか分かるんじゃないかな?」


「そうか!そういえばそんな情報あったな!すごいぞ!それなら島の中に行けるかもしれないな!」



 日本のテレビ局も各国の政府も俺たちに協力的で、すぐに情報が集まった。


俺たちはアメリカ政府の用意した政府専用機でフィンランドへ向かい、フィンランド政府の用意したホテルに案内された。


決戦に備えて、俺たち家族は1日だけだが、家族でゆっくりと過ごす時間を作ることにしたのだ。


 そこは湖畔のホテルで、部屋からは目の前にきれいな湖が広がり、その周りには大きな木が沢山立ち並ぶ森となっており、神秘的な雰囲気を作り出していた。


「きれいだな!ただな…」


「そうね、太古の森やエフロディーテの景色を知ってしまってるとここの神秘性すら霞んでしまうわね?」


そうなのだ!本物の精霊の住む森を体験したせいで、ここの森や湖では感動できなくなってしまっていた。


「でもこんな場所でゆっくりした時間を過ごせるのは嬉しいな!」


「そうね。島ではずっとバタバタだったし、日本に帰ったらゆっくりはできたけど、家に缶詰めだったものね?」


「パパー!森で久しぶりに狩りをしようー!」


「ひかり、ここの森では勝手に狩りなんてしちゃ駄目だと思うぞ!」


「ええー!何で?」


「こういう森は国が管理してたりするから、基本勝手に狩りはしちゃ駄目なことが多いんだ。」


「つまらなーい!ひかり、あの島での生活の方が楽しかったなー!またあの島に引っ越そうよ!!」


「あかりも引っ越したーい!日本にいたら魔法を使っちゃ駄目!動物を殺しちゃ駄目!お出掛けしても駄目!あれも駄目!これも駄目で息が詰まるもん!」


「ひかりやあかりはあの島での生活の方が好きだったんだ?」


「うん!それにどこに行くのにも家族一緒だったしね!日本に戻ってからのパパはいっつも1人で出掛けてたもん!!」


「あかりだってパパに負けないくらい戦えるのにー!」


「そうだな!うちの家族は全員揃って最強だよな!?パパが悪かった。」


「じゃー、阿武との戦いにひかりたちも参加していいよね?」


「待て!それはまた別の話だ!」


「ダメー!家族全員揃って最強って言ったもん!!」


「言ったもん!」


2人が力強い眼差しでこちらを見てくる。


「パパの負けね!みんなで行きましょう!!」


浩美までそんなことを言い出す。


「しかし、危険すぎる…」


「同じことよ!パパが1人で行って負けちゃえば私たちもみんな殺されるわ。私もみんなで行くべきだと思うわ!!私の補助や回復魔法があれば勝率は上がると思うけどな?」


「ひかりの魔法は強力だよー!!」


「あかりの魔法は…えっと…えっと…すごいもん!!」



 俺が困っていると…


「まだ決断できない?ならだめ押しよ!パパが一番力を発揮できるのは守るべき家族が傍にいるときよ!

私はもし死ぬとしても、パパや子供たちの傍で死にたいわ!パパだけ行かせて私たちだけ生き残っても、一緒に行かなかった後悔だけ残って生き、すぐに死ぬことになるわ!

パパが連れて行かないのなら、私たちだけで別に追いかけるわ!それで先に私たちが殺されたら後悔するのはパパだからね!」


「参ったな…俺の負けだ!分かった!!全員で行こう。カオス、レイラ、ノアも一緒に来てくれるか?」


「あー!手伝うぞ!代わりに今からうまいものを食わせるのと、帰ったらまたうまいものを食わせろ!!」


「私はノアを守りながら戦うことになるけど手伝うわ!」


「私も戦う!」


「ノアっ?お前いつの間にか喋れるようになったのか?すごいな!」


「パパだけ知らなかったんだよー!」


「みんなを置いてくからだよ!」


「こらこら…話を戻してパパを苛めるなよ!」


 俺は世界の命運を賭けた戦いの前だというのに、俺はこの上なく幸せで心穏やかになっていた。



「かわいいな!」


子供たちの寝顔を見ながら俺たち夫婦は穏やかな時間を過ごしていた。



「」トモヤ大変だ!!空の様子がおかしい!!!敵の攻撃じゃないのか?」


カオスたち親子が部屋に駆け込んできた。



「どうしたんだ?怪しい気配はないだろ?」


「とにかく外を見るんだ!」



外を見てみると一面にオーロラが光輝いていた!


「おおー!オーロラじゃないか!!一度見てみたかったんだ!!きれいだな!」


「ホントにきれいね!」


「あれは何なのだ?長く生きてきたがあんな夜空初めて見るぞ!」


「あれはオーロラっていって、地球上でも見ることのできる地域は限られている現象だ!こんなものを偶然見れるなんて運がいい!

子供たちも起こそうか?」


「そうね!こんな光景そうそう見れないものね!」


「ひかり、あかり、起きろ!」


「んん…もう朝?まだ眠ーい。」


「まだ夜中なんだが、珍しいものが見れるから起こしたんだ!」


「わあっ!なにこれ?」


「これはオーロラだよ!地球の神秘の1つだな!きれいだろ?」


「「うん!!」」


結局この後、興奮した子供たちが再び寝付くまで時間が掛かってしまい、俺や浩美もいつの間にか寝てしまっていた。



「さて、行くか!!」



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