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異世界 シャーシード国
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しおりを挟む何とか夕食に間に合うように終え、シャワーを浴びると着替えてダイニングルームへ移動した。
室内には父母が先に到着していて、私達も椅子に掛ける。
本当は膝に乗せて手ずから食べさせたい気持ちもあるけれど、きっと食事どころではなくなってしまうので、またの機会に。
シノダには回復魔法を掛けてある。
先程の、父母とシノダとの初対面のように、父の向かいに私、母の向かいにシノダが座った。
和やかな雰囲気で、私がこちらの世界で眠っていた時の、日本での生活について話した。
「リンは美術の教師として、子どもたちに教えていました。」
シノダが言えば、
「リンジェルドは昔から絵を描くのが好きだったんだ。」
なんて父が答え、食後に私の幼い頃の作品集を見せると話す。
──恥ずかし過ぎるだろ、ソレ。
食後はサロンまでエスコートして、リンのご両親と共にお茶を飲みながら、リンの子どもの頃の話を聞かせてもらった。
それから、リンが長い眠りについてしまったこと。
リンのご両親はだいぶテンションが下がってしまった。
そうだよな。自分たちの子どもが、原因不明で目覚めないなんて……
想像しただけで気の毒だ。
僕は気分を変えようと、僕がこちらの世界に来るきっかけになった話をした。
すると、リンが少しだけ席を外して何かを包んだ白い布を持って戻ってきた。
僕達が談笑する、真ん中にあるローテーブルへソレを置き、布を広げる。
中から出てきたのは、あの日、僕がダリンスのお一人様プレイを見た時の、平べったい薄桃色の石だった。
「ソレ!」
僕が指差せば、
「これ、魔術に詳しい父様なら知ってるんじゃないかと思って……」
リンが、リンのお父様の前に差し出す。
「リン! そんなもの、そんな近くで……大丈夫?」
「大丈夫だ。すぐに転移はしないだろう?」
「そうじゃなくて! ダリンスが何か変な病気持ってたらどうするの? ばっちいよ!!」
すると、リンに笑われた。
何だよ、こっちは心配してるのに!
「もしかして、王族の血液で媒介して、何かが起こるのか?」
リンのお父様が言う。
「ほぼ正解。王太子ダリンスはコレに自分の精液を掛けて、シノダを召喚したんだ。」
「召喚術? それは禁術だろう?」
「ですが僕自身、何度も見ています。僕の居た世界には、何度か白濁だけが届いていました。」
「そうか……実は私は、城の宝物庫で似たようなものを見たことがあるのだ。
日本ではない異世界からやって来た者がこの世界に持ち込んだそうで、王族など魔力の多い者の魔力を吸って発動するそうだ。
ただ、その時には大きな塊だったのが、王族の愛妾になるのを嫌がって異世界に逃げた時に使ったせいで、欠片をいくつか残すのみになってしまったそうだ。」
「それなら私も見知っている。確かにその欠片石と類似している。
十中八九、ダリンスが持ち出したのだろう。」
リンの言葉をリンのお父様が引き継ぎ、その石については知ることができた。
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