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異世界 シャーシード国
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しおりを挟む目が覚めた。
…て言うか、暑っ。
僕は、モコモコしたものから這い出した。
「っぷはぁ…」
出て来て驚いた。
部屋の中が、見渡す限り服服服だったからだ。
その時、ギィィィーッと部屋の扉が開いた。
「うわぁ~これならお姫様ごっこし放題だね♪」
「でもまたすぐバザーに出しちゃうから……」
女の子…ではない。男の子が2人だ。
小学校低学年くらいの子が、かの服の山にウキウキと……
──懐かしいな。僕にもそんな時代があったなぁ。
ちょっとボーッとしていると、
「キャーーーッ シスター、誰かいる。」
「アァァーーッ シスター、大人のオスがいる!!」
見つかってしまったようで、2人は入ってきた扉から出て行ってしまった。
ハァ……
僕は仕方なしに2人が出て行った扉の方へ向かって、服だらけの中を泳いだ。
──シスター…ここは教会併設の孤児院とかなのか?
僕は優しそうなお婆さんを想像しながら、大人がやって来るのを待っ…
バァンッ
「不審者はどこだ!!」
僕が言い終える前に、乱暴に扉が開いた。
入ってきたのは、確かに外国の映画に出てくる見慣れたシスターの被り物に、下は裾の開いたズボンを穿いた、ゴリマッチョだった。
「シスター、居たでしょ?」
「オス、いたでしょ?」
彼の後ろから、先程の子ども達の声が聞こえているから、やっぱり彼がシスターのようだ。
「お前か!!
いくら素養がある子どもに魔術を受けさせればカネになるからって、こんなところにまで入り込んで!
今すぐ出て行きやがれ!!」
僕は両手を上げたものの胸ぐらを乱暴に掴まれた。
「ちチち違います。僕は城の衣装部屋に隠れていて……」
「はぁ? 城?」
「はい。隠れながら眠ってしまって、さっき気付いて……」
「……………………」
コワモテから胡乱な目で見つめられる…
「僕、城のお針子なんです。証明します。針と糸を貸してくだされば、何か縫いますよ。」
「わかった。それじゃ、こちらへ。」
僕は、ゴリマッチョなシスターの前を歩かされながら、廊下を歩くことになった。
「そこを右だ。その扉を入れ。」
到着した部屋は食堂のようで、体育館の舞台くらいの大きさのテーブルが3つと、ギュウギュウに椅子が並べられていた。
その、通路へ出にくい椅子へ、僕はシスターに襟首を掴まれると放り投げられるように着席した。
「ヨォシ、それじゃあお前の手仕事を見てやろう。この穴の開いた布巾を、使えるようにしろ。」
言われて渡されたのは、綿100の布で、引っ掛けてつれていたり、穴が開いたりが目立つ布きれだった。
針と糸を渡される。
渡されたのは、赤い糸だ。
僕はちくちくと、とりあえず小花の刺繍を始めた。
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