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「実は俺、あー、こんなこと言って退かれたらどうしよう。
実はさ、俺、君に見覚えがあるんだ。
でも、どこで見たのか記憶が曖昧で…」
「夢でお会いしましたか?」
「そうかもしれない。」

ライド様は、テーブル越しに僕の手をその大きな手で包んだ。

手を引かれれば前のめりになる。
その瞬間、僕はライド様にキスをされた。

「ほら、君もそう感じないか? 俺達は以前、どこかで……」

その時だ。
ライド様が佩く剣が銀色に眩く光ると、

『フレイオは、私のだ。お前はただの私の記憶の容れ物。その記憶は本来私のもの。
私のフレイオに手を出すならば、お前の剣で有ることを辞める!』

先程までの夢の中の銀髪の男性が、ライド様に詰め寄った。
しかしライド様は腕を組み、銀髪の男性を睨みつける。

「は? お前の記憶だと? しかし今のお前はただの剣の精霊。その状態のお前は、こうしてフレイオに触れることもできないではないか!」

ライド様は僕を膝の上に抱くと、頬を寄せて瞼にキスを落とした。

「ひゃんっ」

「どうだ? 触れることができなければ、フレイオにこんな声を出させることもできない。
悔しかったらフレイオを抱いて見せろ!!」

『こんの小癪な! クソガキにはこうしてやろう!!』

すると、銀髪の男とライド様の体が雷を浴びたようにビカビカと光り、ライド様は気を飛ばされた……のだが、仰向けに倒れた体を臍から持ち上げるように起こすと、

『やった! ざまあみろ!! お前の体は私が借り受けてやったぞ!
これでフレイオに触れることができる。』

言うなり僕を抱き締めた。

『フレイオ! フレイオが私の手の中に居る。温かなフレイオの肌がこの腕に…
剣に封印された意思しかなかった私だが…腐らず耐えて良かった。おぉ、神よ!!!』

僕を抱き締め、僕の耳元で叫んでいる銀髪の男は、神への祈りを終えると僕にキスを始めた。

っちゆぅっチュッチュッ……

男相手にこんなこと、されるのもするのだって初めてだ。
けれど、そのキスは優しく柔らかく、僕の心の奥のごく小さな穴を塞ぐかのように充たしてくれた。

暫しキスに揺蕩っていると、キスの間に僕の背を撫でていた大きな手が、そのまま下へと降りてきた。

そのまま下穿きの腰紐を潜るように後ろから素肌を撫でられた。

途端に僕の体は力が抜けてしまい、くたりとライド様の胸に身を預けてしまった。

そのうちにライド様は膝の上の僕の体を軽々と上下させ、あっという間に僕はライド様と向き合うようにライド様の腰を跨いでいた。

キスはますます深くなり、口の外で舌先だけを合わせたり吸ったりもされる。
しだいに頭の中がボーッとしてくると…
気付いた時にはなぜか僕は下穿きを左足首に引っ掛け、上衣は頭を抜いて後ろ手に僕の両手を拘束していた。


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