彼らの恋

325号室の住人

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モトカレ 2  視点あっちもこっちも R18っぽい雰囲気のみ

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セイ視点



──リョウ君、やっぱり驚いてる…

土曜の遅い午前、体調の悪くなった大好きな同期入社の同僚を連れ込むことに成功したボクは、夜中にちょっとだけちょっかいを掛けたものの、相手が夢オチだと思っているみたいなことにイラッとして衝撃発言をしてやった。

昨日の晩、とある居酒屋にて大学の後輩であるモトカレを見掛けたボク。
どうやらあちらもボクを認識していたらしい。
…にしても、あちらは当時ボクを抱いていたのにまさか抱かれる側になっていたなんて。
同じ大学の寮に住んでいたボクら。
卒業後の退寮前日にボクが《抱きたい》って言ったら別れたクセにと少し釈然としないけれど、お陰で何の未練もなく目の前のリョウ君に迫れるので良かった。

少しショックだったのか呆けていた、ボクの貸したTシャツに自身のトランクス姿のリョウ君は、やっと頭が動き出したのか徐ろにベッドに正座をした。

「あの、さ…もしかして、セイって、………………なのか?」

モニョモニョとしていて後半聞こえなかったので、首を傾げて聞き返すと…
「…っくうぅぅぅ!!!」
リョウ君は耳まで真っ赤にして両手で顔を覆った。

ボクは知っているのだ。
ボクのこのごく自然な反応が、見る人から見たら《あざとかわいい》と映ることを。

ほら、リョウ君の足の間でも何かが目覚めたみたいだ。
でもね、使わせてやれない。
だって、ボクがリョウ君のことをかわいがりたいんだもの。

「セイって、《こっち側》なのかって言ったんだ。」
「こっち側?」
首を傾げれば、リョウ君は目を泳がせながら言葉を紡ぐ。
「…その……男が好きなのか?っていう…」

ボクの答えはもちろん、
「うん! だぁいスキ♪」

リョウ君はさっきよりもっと真っ赤になって、フリーズしちゃった…
これってさ、襲うなら今、だよね?






リョウ視点



ちゅっ


性的対象を含めて好意を持っていた人間が、自分と同じ性的嗜好だったとわかり、俺の妄想の諸々が実現できると思ったら頭がパンクした。

俺が正気に戻ったのは、下唇に柔らかなものが吸い付いていることに気付いたからだ。

正座した俺の膝へ跨ったスウェット姿の同期のセイは、俺の頭を抱くようにして俺の下唇、上唇と吸い付き、そして口内に舌を入れて俺の舌の下や付け根を舌先で攻め立てている。

俺の人生に於いて、同性が好きだと気付いた瞬間からカレやカノジョという存在を諦めていた俺は、ハッキリと言ってしまえば年齢=お付き合いナシ歴でお相手は自分の右手のみという童貞である。
もちろん、初めてのキス…

「んっ…ん?」

その俺は、自分より体の小さな男の攻めに下半身を固くしながらでもキスされていることに戸惑いながら、初めてのキスの気持ち良さに溺れ、応じることしかできなかった。






セイ視点



ちゅっ…
「ハァッ…くハッ…はぁっはぁっはぁっ……」

リョウ君、もしかしてキスが初めてだったりするのかな。
ボクが唇を離せば、真っ赤な顔で荒い呼吸をしている。

かわいい…でも、待ってあげないんだ。
ボクは、再びキスをしながらTシャツ越しにリョウ君の背中を撫で、そのまま背中側からトランクスの内側へ、リョウ君の生尻を撫でた。

肌はモチモチとしていて触り心地が好い。
反対側の手はTシャツを捲り上げながら素肌の背中を撫でる。
こちらもまた触り心地が好い。
そりゃそうか。背中も尻も区切りなんてないんだし。

「ん…ンんっ!」

ボクと繋がった口内で、リョウ君が声を出し始める。
その声に反応するように、ボクの足の間でもペニスが存在を主張し始める。
立ち上がったリョウ君のペニスとボクのとが、トランクスや服の布越しに熱を伝え合う。

尻を撫でていた手の指先が、割れ目の奥の窄まりに僅かに触れてしまった時だった。

「んむむむぅ!!!」

リョウ君のその唸り声と共に、ボクの体は柔道の巴投げみたいにふわりとリョウ君を飛び越えた。
着地点はベッドだったので、怪我はない。
ボクは、何が起こったのだろうかとリョウ君を振り返ると、

「セイ…セィ……あああっああっ…」

ベッドに倒れて体を強張らせたリョウ君が、妙に力んだ声でボクを呼ぶ。

「セイ…あ…ふくらはぎが、つって…」

ボクは慌ててリョウ君の足首を掴んだ…………



数分後…
色っぽい空気がすっかり消えてしまったのは、言うまでもない。




      おしまい
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