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目覚め、それから

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目が覚めた。

暖かい陽の光。
僕の腹に巻き付く力強い腕。
中指の第二関節の人差し指側にある小さな黒子。
そよ風に揺れる、芝生色の髪……

目の下には既に隈はない。
神が話したように、ソーマは完全に解呪されたのだ。

僕はソーマの手を取り、指の小さな黒子へキスを落とした。

瞬間、僕を抱き締める腕に力が入って、息苦しくなった。

ソーマの腕を叩いてギブアップを伝えると、僕は裏返されて、ソーマから熱烈な《おはようのチュウ》を贈られた。

んっチュッ

大きなリップ音が室内に響き、恥ずかしい限りだ。

芝生色のまつ毛に包まれた金の瞳がキラリと光り、
「おはよう、奥さん。」
八割程度の女子が惚れてしまいそうなとろける笑顔で……

もちろん至近距離で受けた僕だって今にも孕みそうだ。

しかも《奥さん》呼び。

「あれ…? でも、昨夜は解呪だけだったんだよね?」
「覚えていてくれしましたか? そうです。今からが、私とケイとの初夜…いや昼だから初昼?の始まりです!」
「僕的には、まだ朝なんだけど?」
「でしたら初朝でしょうか。とにかく、甘っ甘に蕩かせてあげましょうね。」

ソーマの笑顔が強引に同意を求めてくる。
僕がなかなか頷けないでいると、ソーマが僕の頬をツィーッと撫で、
「ね?」
と。そうなりゃこちらも、
「はい。」
と、答えるしかなく、答えりゃ答えたで、瞼を下ろしているにも関わらず、正確に僕の唇に接岸して、暫くチュッチュと遊んだ後、さも準備運動は終わりだとでも言うように、ソーマの舌が侵入してくる。

「……ふ…う…むぅ…………」

合間に息継ぎが必要なのも、そのついでに声が出てしまうのも僕だけだ。

ソーマは精力的に、キスをしながら袖に腕を通していただけのシャツをあっという間に脱がせ、耳の後ろ、首筋、喉仏、鎖骨とキスをしながら下りて行く。

そこからはチロチロと舌が僕の胸を這って行き、コリコリと乳首を揺らしては僕に甘い声を出させた。

ゆっくり、じっくりと移動して行くソーマの芝生頭を見ながら、僕はソーマの右手を取って指の一本一本にキスを落とした。

ソーマは顔を上げ、僕が指を舐めるのをじっと見る。

「下も、味見しますか?」

臍へ擦り付けるようにしながら、ソーマが自分の切っ先を抓み上げる。

唇を押し当てながら手で握ると、中心部分は熱くて硬いのに、皮はまだ遊びがあるように皺を寄せながら動く。

ソーマはまだ余裕があるのかと顔を見上げればら顔を真っ赤にして荒い呼吸を繰り返していた。

「もしかして、これ、気持ちいい?」

するとソーマは僕を見下ろすと、目に涙を溜めながら、

「イジワルですね。」
と、答えた。


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