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離・婚前旅行 6日目は宿にカンヅメ R18

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私がバルトルの言葉に衝撃を受けたのは、今朝のことでした。

「エリサ。君がたっぷりと薬を塗ってくれたから全く痛くない。ねぇ今からシよう?」


それから始まったのは、唇と舌による愛撫でした。
…それ以前に、私は何故全裸なのでしょうか?

「それは、エリサがかわいいからだよ。髪を梳いていたら、下の髪も梳きたくなってしまってね。邪魔なものは取り払ったんだ。」

胸の先を舌でチロチロと触るのを中断して顔を上げたバルトル様は、少しだけ肉の落ちた頬を緩めて微笑まれました。
唇は唾液でテラテラと、瞳の中にはまだ朝だと言うのに閨事のピークの真夜中のようにあやしく光りました。

以降は舌先だけで私の下腹より先を攻め立てられました。
剛直を挿されるのとは違うもどかしさに、私の腰はバルトルの顔に擦り付けるように自然に揺れてしまいます。
それでもバルトルは、ペースを変えずに舌先で甚振るだけ。
けれど私には、数日剃刀を当てていないバルトルの髭のジョリジョリでさえ甘い刺激となって、体をビクビクと震わせました。

「イけたのか? ならばもう、ナカを味わっても良い頃合いだな。」

私のナカへ、バルトルがするりと剛直を挿したのは、その時でした。



「あっ…いやぁ! 手加減、してくださいましぃ…」
「ダメ。何日抱けなかったと思ってるの? 溜まってるんだよ。」
「でもっ、でもぉ!! 激し…過ぎ……ますからぁ…ひゃんっ!」
「今日はどっちにしろ、父上からの返事を待つのにここでカンヅメだ。ただ《待ってる》なんて、暇だろう!」
「はんっ、わたっ、…れでもっ、だひっぞーぶ、らからっ!」
「俺が、エリサを、抱きたい! エリサは、すぐに、忘れちゃうっだから、俺の愛を、刻まなきゃ!」
「んっ、んうっ……ぁああああーーー!!」


あの薬は代々侯爵家に伝わる、煎じ薬だそうです。
本来、女性の顔など傷が残って欲しくない箇所にできた吹き出物に塗ると、ひと晩で治るという使い方をするそうなのですが、昨夜は私がたっぷりと塗ってしまいました。

確認させてもらったバルトルの背中の傷は、左斜め下から見上げた時に多少の凸凹はあれど跡形もなく、魔法のように消えていたのは、バルトルが私を自分の腹の上に乗せると言う時に確認させて頂きました。



「バルトルさっぁあー、もう、もう…」
「俺のことはなんて呼ぶの? エリ?」
「ばるっ! ばるっへ、呼ぶぅ…」
「はい、エリ。上手に呼べたね。御褒美、だよ!」
「ぁああっあああーーー!!」

窓の外は陽が眩しく射した後に茜色に染まり、そしてまた暗くなって、夜を迎えたことにぼんやりと気付きました。

今夜は月が明るく、バルトルとの交わりが朝から始まったため灯りのない室内を優しく照らしています。

ぼんやりとしたまま窓の方を眺めていると、

「エリ、疲れてしまったかい? あぁ、また夜が来たんだな。そういえば先程、《影》が手紙を置いて行ったのだが…」

バルトルはサイドテーブルへ腕を伸ばし、私を腕に閉じ込めたまま小さく折りたたまれた紙を片手で器用に開くと、フムフムと読み始めました。

私はバルトルの胸に自分の耳を押し付けるようにしているため、バルトルの発声による胸の振動を鼓膜が逐一拾うので、何やら耳がムズムズします。

「迎えの馬車を寄越してくれるそうだよ。それから、馭者のヨセフはこのまま泊まり治療をしてもらい、動かせる時が来たら自領へ運ぶというのを、こちらへの迎えと共にやって来る領の治療師が対応するので心配しないようにとのことだ。
ならば、今日はもう入浴して就寝しようか。エリのケアは俺がするから、エリは安心して眠りなさい。」
「はい。わかりま……」

全て言う前に夢の世界へ旅立った私は、以降何度か淫らな夢を見ながら翌朝を迎えることになったのでした。


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