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~出会い~

旅立ちの準備

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 月日が流れるのは早いものです。ユールが7歳を迎えてから、もう少しで半年が経過しようとしていた。公爵家にきてから、すでに1年半だ。

  テオを勧誘した日、つまりユールが公爵家の厨房で徹底的な破壊活動をして以来、厨房ではこの半年とちょっとの間、随時食料や道具不足に悩まされ続け、いろんなものの買い込みで大忙しだった。それでも買ったものをユールが片っ端から怪しまれない程度に奪い去っていたのでますますだ。

  ユールとノルン、それからテオの食事はすっかり抜かれているが、そんなことは全く気にならない三人です。

  あの日以降、テオは約束通りユールたちのためにたくさん料理してくれた。テオには念話を教えたので、彼から連絡が入ればいつでも部屋に転送している。テオの料理は日に日に上手になって行き、ユールが渡している料理本やレシピ本を元にさらにアレンジを進めている。そんな天才料理人テオの料理を毎食食べているユールたちは、下手をすれば今の公爵家よりも豪華な食事を食べているのだ。

  あの日から数日後、テオは厨房に顔を出さなくなった。厨房にあるレシピはもう全部覚えているらしく、いい主人が見つかったからもうあそこに出入りする必要はない、と本人は嬉しそうに語っていた。実際料理人たちも破壊活動の被害の後始末に追われ、誰もテオの不在に気づかなかった。今では、テオ?誰だそれ?というレベルにまでなっている。

  トトとの仲も順調で、最近では魔法の特訓に付き合ってくれるようになった。相変わらず貢物やら貴重な薬草やらを大盤振る舞いしてくるけど。数日前にはスフィンクスの忠誠の証である腕輪も託された。聖獣の腕輪は、新しいものが手に入ると以前持っているものと融合して、一つの腕輪に帰着するらしい。今ユールの左腕についているブレスレットには、ヒッポグリフとスフィンクス両方の力が宿っている。

  この半年ぐらいでユールの魔力はさらに成長した。あれだけのチートなのにまだ成長するのか、バグになりますよ、とテオに突っ込まれたが、ユールにだって己の限界に挑戦したい気持ちはあるのだ。その限界が一向に見えてこないが。

  今のユールなら月一の頻度であるが、ポッポのいる森まで転移できる。さらに腕輪も使えるようになり、聖獣を召喚できるようになった。相当魔力が伸びたことはわかってもらえたと思う。

  ノルンも魔力を伸ばし、威力や熟練度はともかく、今ではほぼ全ての無属性魔法を使いこなせている。テオも風属性の魔力に目覚め、着々と風属性の魔法を習得している。この三人だけで精鋭軍隊を軽く壊滅させられるほどの規格外になってしまっていたが、そんなことはお構いなしと言わんばかりに化け物街道を突っ走る三人である。

  そんな公爵家よりも余裕な生活を送っていたある日、いつものように図書室で本を読み漁っていると、滅多にこないノルンからの念話が届いた。

   "あのゲス野郎が呼んでいるらしいです"

 ノルンの念話に心の中で"わかった"と返し、ユールは本をパタンと閉じる。

  一年と半年の間に、ユールは屋敷の中の本という本を読み尽くした。それこそ図書室の本も1ヶ月前に読み切り、領地経営の書類にまで目を通してしまったのだ。そんな重要資料を出しっぱなしにするとか、いくら屋敷の中でも無防備すぎではないか?と公爵の神経を疑ったりもした。最終的には読書に帰着し、今では気に入っている本や有意義な本を読み返している。

  光学魔法を発動させたまま、一度自室の前まで戻る。そこでパレードを発動してから光学魔法を解除する。公爵は気に食わないが、今の状況でやつを怒らせるのは面倒しかない。

  現在、公爵家そのもので食料不足が続き、いつもいいものばかり食べてきた公爵一家は、最近は結構みんなげっそりしている。しかしユールたちはそれに反比例して健康的になっている。そんなユールの姿を見た暁には、公爵は発狂してユールに命の危険が降りかかりそうだ。だから公爵一家と同じようにげっそりしている見た目を作り出し、健康な見た目にかぶせる。

  偽げっそりの見た目で廊下を移動する。通り過ぎる使用人たちの目に軽蔑しかないのを見て、パレードは大成功だと心の中でガッツポーズを取る。そのままわざとフラフラと歩いて公爵の執務室前まできた。

  コンコン、とドアをノックすると、中から「入れ」の一言。ドアを開けて中に入ると、正面の机にはここ半年以上は見ていなかった、げっそりとしたユミルの顔があった。

 「お呼び……ですか……?公爵様……?」

  今のユールもげっそりとした見た目になっているので、なるべく弱々しくしゃべる。

 「お前に領土をくれてやる」

  開口一番、そんなことを言うユミル公爵。

 「私に……領土ですか?」
 「ああ。公爵領最果てのヴァルハラ地方だ」

  ヴァルハラ地方って、確かこの公爵領で2番目に広い地方であるにもかかわらず、周りを魔の森や魔の海域に囲まれて立ち入るのが困難というか不可能な上、土地は平凡だから今まで開拓を放置してきた場所だったはず。

  なるほど、いい加減養いきれないから領土を与えるという名目で家から追い出し、あわよくば道中で死んでくれ、って魂胆ですね。ユールとしても早くこの家を出たいと思っていたのでちょうどよかった。

 「わかりました………」
 「出立は明後日だ。馬車や馬、道具などはあとで前庭に並べさせるから好きに選べ」

  これはいよいよ冥土の土産のつもりらしい。げっそりしていていつもの気迫が0だが、これはそういった意味だろう。どうせ道中に死ぬだろうから最後に甘い汁を吸わせてやる、ってことね。

  用事はそれだけらしく、つまらなくなったユールはさっさと退出した。ユールと入れ違いで部屋に入ってきた執事が、公爵と「好きに選ばせるなど良いのですか?」「構わない。どうせ魔の森で死ぬだけだからな」といった会話を繰り広げているのを風の囁きで聞きつけ、やっぱりなとほくそ笑む。

  早速部屋に帰ってノルンたちに話す。テオも部屋に呼び出した。

 「というわけで領土をもらったから、明後日ここを出る」
 「ようやくこの腐った屋敷から出られるのですね!」
 「こんなカスの集まる屋敷など、今すぐにでも出て行ってしまいたいですね」

  ノルンもテオもやる気まんまんです。

 「魔物か……高ランクの魔物は肉も美味しいですからね。今から楽しみです」
 「領土にも興味あるけど、久々に力を使える」
 「私も魔物相手に魔法の練習ができますね!」

  領土の方ももちろん大事であるが、それよりも魔物に関して興味津々な一行。しかも魔物討伐を楽しみという。いよいよ化け物である。

 「それであとで旅道具や馬、馬車を好きに選ばせてくれるらしい」
 「その心は?」
 「ユール様は道中で命を落とすと決め込んでるんでしょうね。それで冥土の土産のつもりなんでしょう」
 「相も変わらず人類の汚点ですわ」
 「否定しない」

  ノルンの公爵家に対する罵りが日に日にヒートアップしているが、それだけ恨みも深いので聞き流している。

 「明後日までには荷物とかまとめておいて。収納魔法があるから困らないだろうけど」
 「「はい」」

  今では二人とも収納魔法が使えるので荷物は困らない。限りなく荷物がないに近いはずの三人が、大量の荷物を抱えて公爵家に怪しまれる心配は0なのだ。

  しばらく部屋で待機していると、執事が呼びにきたので一緒についていく。ノルンとテオは置いてきた。

  前庭には馬車が3つ、馬が10頭いた。ほかにも旅道具などが並んでいるコーナーがあったが、ユールはとりあえず馬車と馬の選別を始めた。

  せっかく公爵家からぼったくれるチャンスなので、ここにあるものの中から最高級のものを選ぼうと決めている。三つある馬車は、全部バラバラの見た目だった。キラキラとした、いかにも悪目立ちしそうな六角形型の金色の馬車と、落ち着いた雰囲気の四角い小麦色の馬車、上品な雰囲気を醸し出す丸い形の白い馬車。悪目立ち確定の金馬車は論外で、残ったやつで二択である。

  小麦色の馬車は片側だけが出入り口で、ほかはコの字に席がある。座り心地は良さそうだったが、少し暗い。一方白い馬車の方は両側にドアと窓がついていて、小窓から前の御者台と連絡が取りやすいようになっている。これは……白いやつで決定だね。見た目がちょっと目立つ気がするが、その辺はパレードでどうにかなる。設備の元もいいから手を加えればもっといい馬車になりそうだ。

  次は馬選び。選ぶのは馬車を引かせる2頭と、予備で連れて行く2頭。全部で10頭いる馬を一匹ずつ見ていく。馬車を引かせる馬に関しては見た目や性能は揃えたい。まずは色を見て絞り込んでいく。ご丁寧なことにカタログを作っていたらしく、執事から巻き上げる形で読ませてもらう。

  あれこれ悩んだ挙句、ユールは2頭の白馬を選んだ。見た目もとても似ていて、能力も五分五分だ。カタログの内容が嘘の可能性もあるかも、と鑑定魔法を使ったから確かだろう。早速執事に取り付けさせる。今日ぐらい屋敷の人間をこき使ってもいいと思う。

  馬車用の馬が決まれば、次は予備の馬だ。これは割と簡単に決まった。見た目を気にする必要はないから、残った8頭の中から能力が高い馬を選べばいいのだから。

  そうして決まった馬は、8頭の中で一番体力がある黒馬と、一番速い月色の馬だ。この2頭も馬車のそばに寄せさせて、こっちをしきりに睨んでいる執事を無視してユールは旅道具を選び始める。

  上限個数はないそうです。ならば好き放題に選ばせてもらいます。選ぶものはもちろんここにある最高級のものです。道中好き勝手に異次元収納を使うわけにはいかないので最低限の物品や金銭を入れるためにバッグを3つ。正直それ以外のものはもっといいのが異次元収納にあるからいいのだが、とりあえず高値で売れそうなものはもらっていく。そこまで量は多くないが、選んだカバン3つに入ったぐらいの量はある。

 「以上です。ありがとうございます」

  ぺこりとお辞儀をすると、ギロリと睨まれた。大方、覚えてろよ!だろう。相手にするのも面倒なので、馬車と馬に結界魔法を付与させておいた。これで馬車が壊されたとか、馬が毒を盛られた、とかいう騒ぎにはならないだろう。

  執事を適当にかわし、ユールは部屋に戻る。御者はつけてくれないようなのでテオが代わりにやってくれるらしい。地図は旅道具の中にあったからいただいている、よって迷うことはない。なのでできるだけ多くの街に寄って、転送ポイントを増やそうと目論んでいるユールである。ゲートの魔法は、一度行ったことがある場所にしか行けないのだ。

  街をたくさん回れば、隠れ蓑が増える。ペースの個数や値段を決めれば旅道具コーナーからかっさらってきた物品を売ることもできる。二人に意見を求めたところ、二つ返事で承諾してくれた。

  道中、テオも冒険者ギルドに登録することになったので、念のためパレードを習得してもらう。

  その日はテオにパレードを教えるだけで終わった。属性持ちは、魔力に覚醒するとどうしても属性の方に引っ張られて、無属性の方はおろそかになってしまうのだ。それでも今日一日の練習だけで、無属性の魔力も風属性の魔力と同じように扱えるようになったテオは天才的だろう。ユールの周りにはなぜか魔法の才能が豊かな人たちが集まっているのだ。




  次の日、ユールは光学魔法で馬車と馬のところに出かけた。ちなみにノルンは魔力の特訓に励んでいるそばで、前にギンヌンガガプで買ったメイドのあり方について書いてある本を読んでいる。テオは愛読しているレシピ本を片手にアレンジレシピを作っている。セラ(雪うさぎ)は相手してくれる人がいなくて、ベッドで惰眠を貪っている。

  結界のおかげか普通に襲撃がなかったのか、馬車も馬もピンピンしていた。黒と月色の馬には鞍一式も取り付けられていたが、美しい見た目に反してすぐ壊れるように細工してあったので、魔法で修復させてもらいました。やっぱり公爵家はろくなやつがいない。

  4頭の馬にはそれぞれ首飾りをつけた。馬車を引く2頭は青と水色、黒馬は赤、月色は緑の宝石のついた首飾りだ。この首飾りたちには付与魔法がつけられていて、全員同じ"身体強化"と"自動防御"が付与されている。

  この付与魔法とは、ユールが2ヶ月前に開発した新魔法である。アクセサリーや防具、武器に魔力を込めた文字を付与し、身につけた対象が魔力を流し込むと効果が発動する魔法だ。今はまだ一つのものに対して最大で2個しか付与できないが、ユールとしては5個を目指したい。ますます化け物街道を驀進だが、そんなことを気にするユールではない。

  馬にあげて大丈夫か?と思うかもしれないが、この世界では大自然や動植物、人間も含めて生活する上で一定以上の魔力をいつも身にまとっている。その魔力を拝借して常時発動できるようにしたので問題ない。

  馬たちに名前もつけた。馬車を引く2頭は、赤い目の方がフギン、青い目の方がムニン。黒馬の方はエイン、月色の方はヘリヤルと名付けた。

  次は馬車の改造だ。こちらも人が乗っている時だけ常時発動の付与魔法をつけるつもりでいる。しかし車輪は大地の魔力に随時触れているのでここだけは付与魔法が随時発動だ。

  ユールは馬車の部位ごとに付与をつけていく。4つの車輪には全部"破損無効"を付与する。御者台には"疲労回復"、馬車の座席には"衝撃吸収"と"極上座り心地"、馬車の天井には"光調整"と"温度調整"、座席下の収納スペースには"空間凍結"をそれぞれ付与した。"空間凍結"だけは人がいなくても常時発動するようにしておいた。ここには食料品を入れるつもりだから腐ったら大変だ。

  馬車の外側には"外観偽装"をつけたが、これは必要に応じて発動解除ができるように、ある程度の魔力を流し込んで発動するように調整した。

  明日だと表立って異次元収納を使えないだろうから、今のうちにユールは異次元収納から明日の軽食を取り出し、座席下に入れていく。空間凍結は特定空間の時間を止める付与魔法であるので、ここに入れておいた物は劣化もしなければ温度変化もしない。

  付与魔法のせいで最高級の一品になってしまった馬車の出来栄えに満足し、ユールは部屋に戻る。そのあとは聖獣たちに挨拶して回った。クリステル渓谷には全然転移してこれるし、古の森もクリステル渓谷からであれば転移可能だから別れは告げなかった。

  今日は聖獣のところには長居せず、ユールたちは屋敷に戻って最後の片付けをする。ノルンとテオが自分の荷物をまとめている横で、ユールもクローゼットの服2着を異次元収納に放り込む。他の荷物は全て異次元収納の中だ。それから図書室から手頃な本を数十冊持ち去る。公爵家でも図書室の利用者は皆無で、これだとやっぱり宝の持ち腐れだから、重要だと思う本は片っ端から異次元収納に突っ込んでいった。

  その日の夜、テオがはじめて女子部屋に泊まった。ノルンと一緒にカーペットで寝てたけど、二人ともまんざらではなさそうだった。この二人、さてはいい雰囲気になっているね。




  無事出立の日を迎えた。

 『みぃ~!』

  三人と一匹はいつもより少し早起きした。よっぽど今日が楽しみだったのか。セラまでこんなにテンションが高いとは。

  今日の朝ごはんは三人で協力して作った。食事中の話題は、もっぱら魔物についてだった。あ、当然ですが三人とも戦闘狂ではありません。

  それが済むと、ユールたちは片すものを片し、手早く部屋を出る。小窓から公爵の手紙がきていたが、書いてあるのは年始に報告書をよこすように、だけだったので、パパッと燃やして通行証と思われるカードだけもらう。

  朝の早い時間で、まだほとんど誰も起きていない屋敷内を1年半ぶりに光学魔法を使わずに移動して、エントランスから外に出る。

  馬車と馬を止めている場所に向かい、馬車に乗り込む。テオは御者台に座り、ノルンは予備に用意した2頭のうちエインに乗り、ヘリヤルの誘導もやってくれると。ユール的にはノルンに乗馬の技術があったことが驚きだったが、本人曰く、渓谷で馬の魔物で練習していたらしい。

  付与魔法のおかげでものすごい豪華になった馬車の中で地図を広げ、セラを撫でつつ目的地を決める。

  この屋敷があるのは領土の西側、領都ドラウだ。そこから東の最果てのヴァルハラ地方へ行く途中、ギンヌンガガプを除いて大きい都市が5つある。ここから出発して一番近いのは、ミミールだろう。

 「はい、テオ、地図。目的地はミミール」
 『みみーみっ!』
 「セラ、近いけど違うからね」
 「了解。セラもユーモアを覚えたんですかね?」
 「この子には小動物のままでいて欲しいものだわ」

  軽口を叩きながらテオが馬を走らせると、ガタゴトと馬車が動き始めた。横でノルンもエインとヘリヤルを走らせてついてきた。

  正門から出ると、テオは馬の走行速度をあげ、屋敷はあっという間に見えなくなった。

  まだうっすら霧に包まれている冬の街を眺めながら、ユールは心の中でドラウに別れを告げる。

  さて、東へ向けた楽しい旅の始まりです。
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