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第2章 チート街道驀進(不本意)

あのサブタイトルはあながち間違ってない (3)

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「…えっと……?」

我が家の前に立つ4人組に、私は聞き返す。なるほどこの4人はきっと勇者ストーカーの仲間だろう。

「申し遅れました。私はフローラル・マドレーヌといいます」
「どうも…センです。クリストファーならうちにいます。早急に引き取ってください」

おいしそうだな……とか思ったけど、それよりもあのストーカーを引き取ってもらうのが何より重要だ!!

「立ち話もなんですし、とりあえず入ってください」
「ありがとうございます」
「あれ?みんな怪我してますけど、大丈夫ですか?」
「とりあえずは大丈夫です。さすがに魔の樹海を抜けてきたので、無事では済みませんよ」

…ああ、忘れてた。そういえばこの森ってそういう物騒な場所だったな。チートとバグにはよくわからないぜ。

なんせ、私はこの森で怪我すらしたことがないのでね!!あ、イセカイゴッドめ、今笑ったな?

「改めてお礼を申し上げます。先ほども言いましたが、私はフローラル。こちらのエルフはローランド、あちらにいるのは双子のメルとメロです」
「ご丁寧にありがとうございます」
「重ね重ねありがとうございます。それで、クリスはどこに……」
「ああ、アレならあそこです」

私が指差す先には、むくりと起き上がるストーカーの姿。なんだ?あの生命力の強さは。もう勇者じゃなくてゾンビに転職しちまえよ。

「…ん?ああ!お前らか!」

先ほど私が鼻にストレート決めたからね。少々痛そうな顔になっている。

「まぁ!!クリスちゃん!?どうしちゃったの~!?」

エルフの男が叫んだ。……ん?この口調って…いわゆるO・NE・E……?

「センさん!クリストファーに何をしたんですか!?」
「何をしたも何も……」
「おおー!愛しのオーレリア!!日の光を背負うその姿はまるで妖精だ!!結婚してくれ!!いや、お友達からでも!」
「だから来んなってーー!!」

一直線に寄ってきた勇者の顔面に、2度目のストレートを決める。蹴りはスカート履いてる女の子としてはやっちゃいけないことだと思うので自重してます。

……うおぉぉ…勇者という名のストーカーが綺麗に吹っ飛んで行くぅぅ……。

「「「「………」」」」

そしてそれを目撃した勇者パーティの面々は沈黙。突っついてみても反応がない。圧倒的無反応である。

「もうぉ!クリスちゃんったら!あたし一筋じゃなかったのぉ?」
「キャハハハ!!クリス、なんだその愉快なズタボロっぷり!!」
「…大変だ。兄ちゃがSに目覚める」
「……あのアホ。また新しい犠牲者増やしやがって…」

上からローランド、メロ、メル、フローラルです。

特に最後のフローラルの一言が私の気を引いた。

「まさかアレ、常習なんですか?」

まるでそういう口ぶりだったよね?フローラルさん。

「ええ、ある意味では常習です。ちょっと前までの私に対する態度があれでしたので」
「………」
「センさんの苦労、私にはよくわかります。大変だったでしょう?」

優しい笑みを浮かべながら、フローラルはそっと私の手を握る。

おお……!!フローラルさんよ!私にはあなたが女神のように見えますぞ!同士を見つけた!

「わかってくれますか!!」
「ええ!センさんの苦労が我がことのように思えます!」
「アンブレーラ!!」
「しかしセンさんの反撃はまだまだ弱いです。あれの3倍ほどの仕返しをしても全然大丈夫です!」
「マジでございますか!?」
「マジです!」

嘘でしょ!?あれの3倍でも問題ないの!?同士のフローラルさんがそう言うのなら間違いないのだろうが、いよいよ『勇者と書いてゾンビと読む』が現実味を帯びてきた。

「わかりやした!次に突っ込んできた時にはもうちょっと本気で鼻にストレート決めます!」
「ええ、そのいきです!」

というわけで、私、天海 千夜あまみ せんやは、ストーカー退治の仲間を見つけました!
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