49 / 53
第2章 チート街道驀進(不本意)
あのサブタイトルはあながち間違ってない (3)
しおりを挟む
「…えっと……?」
我が家の前に立つ4人組に、私は聞き返す。なるほどこの4人はきっと勇者の仲間だろう。
「申し遅れました。私はフローラル・マドレーヌといいます」
「どうも…センです。クリストファーならうちにいます。早急に引き取ってください」
おいしそうだな……とか思ったけど、それよりもあのストーカーを引き取ってもらうのが何より重要だ!!
「立ち話もなんですし、とりあえず入ってください」
「ありがとうございます」
「あれ?みんな怪我してますけど、大丈夫ですか?」
「とりあえずは大丈夫です。さすがに魔の樹海を抜けてきたので、無事では済みませんよ」
…ああ、忘れてた。そういえばこの森ってそういう物騒な場所だったな。チートとバグにはよくわからないぜ。
なんせ、私はこの森で怪我すらしたことがないのでね!!あ、イセカイゴッドめ、今笑ったな?
「改めてお礼を申し上げます。先ほども言いましたが、私はフローラル。こちらのエルフはローランド、あちらにいるのは双子のメルとメロです」
「ご丁寧にありがとうございます」
「重ね重ねありがとうございます。それで、クリスはどこに……」
「ああ、アレならあそこです」
私が指差す先には、むくりと起き上がるストーカーの姿。なんだ?あの生命力の強さは。もう勇者じゃなくてゾンビに転職しちまえよ。
「…ん?ああ!お前らか!」
先ほど私が鼻にストレート決めたからね。少々痛そうな顔になっている。
「まぁ!!クリスちゃん!?どうしちゃったの~!?」
エルフの男が叫んだ。……ん?この口調って…いわゆるO・NE・E……?
「センさん!クリストファーに何をしたんですか!?」
「何をしたも何も……」
「おおー!愛しのオーレリア!!日の光を背負うその姿はまるで妖精だ!!結婚してくれ!!いや、お友達からでも!」
「だから来んなってーー!!」
一直線に寄ってきた勇者の顔面に、2度目のストレートを決める。蹴りはスカート履いてる女の子としてはやっちゃいけないことだと思うので自重してます。
……うおぉぉ…勇者という名のストーカーが綺麗に吹っ飛んで行くぅぅ……。
「「「「………」」」」
そしてそれを目撃した勇者パーティの面々は沈黙。突っついてみても反応がない。圧倒的無反応である。
「もうぉ!クリスちゃんったら!あたし一筋じゃなかったのぉ?」
「キャハハハ!!クリス、なんだその愉快なズタボロっぷり!!」
「…大変だ。兄ちゃがSに目覚める」
「……あのアホ。また新しい犠牲者増やしやがって…」
上からローランド、メロ、メル、フローラルです。
特に最後のフローラルの一言が私の気を引いた。
「まさかアレ、常習なんですか?」
まるでそういう口ぶりだったよね?フローラルさん。
「ええ、ある意味では常習です。ちょっと前までの私に対する態度があれでしたので」
「………」
「センさんの苦労、私にはよくわかります。大変だったでしょう?」
優しい笑みを浮かべながら、フローラルはそっと私の手を握る。
おお……!!フローラルさんよ!私にはあなたが女神のように見えますぞ!同士を見つけた!
「わかってくれますか!!」
「ええ!センさんの苦労が我がことのように思えます!」
「アンブレーラ!!」
「しかしセンさんの反撃はまだまだ弱いです。あれの3倍ほどの仕返しをしても全然大丈夫です!」
「マジでございますか!?」
「マジです!」
嘘でしょ!?あれの3倍でも問題ないの!?同士のフローラルさんがそう言うのなら間違いないのだろうが、いよいよ『勇者と書いてゾンビと読む』が現実味を帯びてきた。
「わかりやした!次に突っ込んできた時にはもうちょっと本気で鼻にストレート決めます!」
「ええ、そのいきです!」
というわけで、私、天海 千夜は、ストーカー退治の仲間を見つけました!
我が家の前に立つ4人組に、私は聞き返す。なるほどこの4人はきっと勇者の仲間だろう。
「申し遅れました。私はフローラル・マドレーヌといいます」
「どうも…センです。クリストファーならうちにいます。早急に引き取ってください」
おいしそうだな……とか思ったけど、それよりもあのストーカーを引き取ってもらうのが何より重要だ!!
「立ち話もなんですし、とりあえず入ってください」
「ありがとうございます」
「あれ?みんな怪我してますけど、大丈夫ですか?」
「とりあえずは大丈夫です。さすがに魔の樹海を抜けてきたので、無事では済みませんよ」
…ああ、忘れてた。そういえばこの森ってそういう物騒な場所だったな。チートとバグにはよくわからないぜ。
なんせ、私はこの森で怪我すらしたことがないのでね!!あ、イセカイゴッドめ、今笑ったな?
「改めてお礼を申し上げます。先ほども言いましたが、私はフローラル。こちらのエルフはローランド、あちらにいるのは双子のメルとメロです」
「ご丁寧にありがとうございます」
「重ね重ねありがとうございます。それで、クリスはどこに……」
「ああ、アレならあそこです」
私が指差す先には、むくりと起き上がるストーカーの姿。なんだ?あの生命力の強さは。もう勇者じゃなくてゾンビに転職しちまえよ。
「…ん?ああ!お前らか!」
先ほど私が鼻にストレート決めたからね。少々痛そうな顔になっている。
「まぁ!!クリスちゃん!?どうしちゃったの~!?」
エルフの男が叫んだ。……ん?この口調って…いわゆるO・NE・E……?
「センさん!クリストファーに何をしたんですか!?」
「何をしたも何も……」
「おおー!愛しのオーレリア!!日の光を背負うその姿はまるで妖精だ!!結婚してくれ!!いや、お友達からでも!」
「だから来んなってーー!!」
一直線に寄ってきた勇者の顔面に、2度目のストレートを決める。蹴りはスカート履いてる女の子としてはやっちゃいけないことだと思うので自重してます。
……うおぉぉ…勇者という名のストーカーが綺麗に吹っ飛んで行くぅぅ……。
「「「「………」」」」
そしてそれを目撃した勇者パーティの面々は沈黙。突っついてみても反応がない。圧倒的無反応である。
「もうぉ!クリスちゃんったら!あたし一筋じゃなかったのぉ?」
「キャハハハ!!クリス、なんだその愉快なズタボロっぷり!!」
「…大変だ。兄ちゃがSに目覚める」
「……あのアホ。また新しい犠牲者増やしやがって…」
上からローランド、メロ、メル、フローラルです。
特に最後のフローラルの一言が私の気を引いた。
「まさかアレ、常習なんですか?」
まるでそういう口ぶりだったよね?フローラルさん。
「ええ、ある意味では常習です。ちょっと前までの私に対する態度があれでしたので」
「………」
「センさんの苦労、私にはよくわかります。大変だったでしょう?」
優しい笑みを浮かべながら、フローラルはそっと私の手を握る。
おお……!!フローラルさんよ!私にはあなたが女神のように見えますぞ!同士を見つけた!
「わかってくれますか!!」
「ええ!センさんの苦労が我がことのように思えます!」
「アンブレーラ!!」
「しかしセンさんの反撃はまだまだ弱いです。あれの3倍ほどの仕返しをしても全然大丈夫です!」
「マジでございますか!?」
「マジです!」
嘘でしょ!?あれの3倍でも問題ないの!?同士のフローラルさんがそう言うのなら間違いないのだろうが、いよいよ『勇者と書いてゾンビと読む』が現実味を帯びてきた。
「わかりやした!次に突っ込んできた時にはもうちょっと本気で鼻にストレート決めます!」
「ええ、そのいきです!」
というわけで、私、天海 千夜は、ストーカー退治の仲間を見つけました!
1
お気に入りに追加
3,798
あなたにおすすめの小説
ステータス999でカンスト最強転移したけどHP10と最低ダメージ保障1の世界でスローライフが送れません!
矢立まほろ
ファンタジー
大学を卒業してサラリーマンとして働いていた田口エイタ。
彼は来る日も来る日も仕事仕事仕事と、社蓄人生真っ只中の自分に辟易していた。
そんな時、不慮の事故に巻き込まれてしまう。
目を覚ますとそこはまったく知らない異世界だった。
転生と同時に手に入れた最強のステータス。雑魚敵を圧倒的力で葬りさるその強力さに感動し、近頃流行の『異世界でスローライフ生活』を送れるものと思っていたエイタ。
しかし、そこには大きな罠が隠されていた。
ステータスは最強だが、HP上限はまさかのたった10。
それなのに、どんな攻撃を受けてもダメージの最低保証は1。
どれだけ最強でも、たった十回殴られただけで死ぬ謎のハードモードな世界であることが発覚する。おまけに、自分の命を狙ってくる少女まで現れて――。
それでも最強ステータスを活かして念願のスローライフ生活を送りたいエイタ。
果たして彼は、右も左もわからない異世界で、夢をかなえることができるのか。
可能な限りシリアスを排除した超コメディ異世界転移生活、はじまります。
賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!
織侍紗(@'ω'@)ん?
ファンタジー
ルーチェ村に住む少年アインス。幼い頃両親を亡くしたアインスは幼馴染の少女プラムやその家族たちと仲良く過ごしていた。そして今年で十二歳になるアインスはプラムと共に近くの町にある学園へと通うことになる。
そこではまず初めにこの世界に生きる全ての存在が持つ職位というものを調べるのだが、そこでアインスはこの世界に存在するはずのない無職であるということがわかる。またプラムは賢者だということがわかったため、王都の学園へと離れ離れになってしまう。
その夜、アインスは自身に前世があることを思い出す。アインスは前世で嫌な上司に手柄を奪われ、リストラされたあげく無職となって死んだところを、女神のノリと嫌がらせで無職にさせられた転生者だった。
そして妖精と呼ばれる存在より、自身のことを聞かされる。それは、無職と言うのはこの世界に存在しない職位の為、この世界がアインスに気づくことが出来ない。だから、転生者に対しての調整機構が働かない、という状況だった。
アインスは聞き流す程度でしか話を聞いていなかったが、その力は軽く天災級の魔法を繰り出し、時の流れが遅くなってしまうくらいの亜光速で動き回り、貴重な魔導具を呼吸をするように簡単に創り出すことが出来るほどであった。ただ、争いやその力の希少性が公になることを極端に嫌ったアインスは、そのチート過ぎる能力を全力にバレない方向に使うのである。
これはそんな彼が前世の知識と無職の圧倒的な力を使いながら、仲間たちとスローライフを楽しむ物語である。
以前、掲載していた作品をリメイクしての再掲載です。ちょっと書きたくなったのでちまちま書いていきます。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
見よう見まねで生産チート
立風人(りふと)
ファンタジー
(※サムネの武器が登場します)
ある日、死神のミスにより死んでしまった青年。
神からのお詫びと救済を兼ねて剣と魔法の世界へ行けることに。
もの作りが好きな彼は生産チートをもらい異世界へ
楽しくも忙しく過ごす冒険者 兼 職人 兼 〇〇な主人公とその愉快な仲間たちのお話。
※基本的に主人公視点で進んでいきます。
※趣味作品ですので不定期投稿となります。
コメント、評価、誤字報告の方をよろしくお願いします。
チートを極めた空間魔術師 ~空間魔法でチートライフ~
てばくん
ファンタジー
ひょんなことから神様の部屋へと呼び出された新海 勇人(しんかい はやと)。
そこで空間魔法のロマンに惹かれて雑魚職の空間魔術師となる。
転生間際に盗んだ神の本と、神からの経験値チートで魔力オバケになる。
そんな冴えない主人公のお話。
-お気に入り登録、感想お願いします!!全てモチベーションになります-
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
外れスキル【観察記録】のせいで幼馴染に婚約破棄されたけど、最強能力と判明したので成りあがる
ファンタスティック小説家
ファンタジー
モンスター使役学を100年単位で進めたとされる偉大な怪物学者の孫アルバート・アダンは″天才″と呼ばれていた。将来を有望な魔術師として見込まれ、大貴族で幼馴染の可憐なる令嬢を許嫁としていた。
しかし、おおくの魔術師に期待されていたアルバートは【観察記録】という、「動物の生態を詳しく観察する」だけの極めて用途の少ない″外れスキル″を先代から受け継いでしまう。それにより周囲の評価は一変した。
「もうアダン家から実績は見込めない」
「二代続いて無能が生まれた」
「劣等な血に価値はない」
アルバートは幼馴染との婚約も無かったことにされ、さらに神秘研究における最高権威:魔術協会からも追放されてしまう。こうして魔術家アダンは、力をうしない没落と破滅の運命をたどることになった。
──だがこの時、誰も気がついていなかった。アルバートの【観察記録】は故人の残した最強スキルだということを。【観察記録】の秘められた可能性に気がついたアルバートは、最強の怪物学者としてすさまじい早さで魔術世界を成り上がっていくことになる。
スローライフとは何なのか? のんびり建国記
久遠 れんり
ファンタジー
突然の異世界転移。
ちょっとした事故により、もう世界の命運は、一緒に来た勇者くんに任せることにして、いきなり告白された彼女と、日本へ帰る事を少し思いながら、どこでもキャンプのできる異世界で、のんびり暮らそうと密かに心に決める。
だけどまあ、そんな事は夢の夢。
現実は、そんな考えを許してくれなかった。
三日と置かず、騒動は降ってくる。
基本は、いちゃこらファンタジーの予定。
そんな感じで、進みます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる