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第2章 チート街道驀進(不本意)

また拾いました (1)

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あっという間に半年の歳月がすぎた。居候ノルがうちにやってきてからも、すでに3ヶ月である。

私の苦労は相変わらずである。ノルは3ヶ月前と比べてずいぶんマシになったとはいえ、まだまだ世間知らず全開なところがあるのです!

この間もボウルにスープよそおうとしてたり。ボウルにスープよそったら、一人分がとんでもない量になるでしょ!?

とまあ、ノルの常識知らずに振り回されつつも、私は元気です。

ノルという同居者が増えたおかげで、狩りは全部ノルに丸投げできるようになりました!これが指し示すこと、つまり私のレベルが3ヶ月前から14のままなんです!!きゃっほーー!!

時々肉の在庫がなくなりかけた時にはノルに同行して肉を入手しに行くんだが、戦闘に一切合切関与していないからなのか、私の方には経験値が全く入ってこないようなんです!素晴らしい!

ちちんぷいぷい、私のレベルよこれ以上上がるな……!!

狩りに出かけることがなくなったから、私はこの家の敷地内で一日中のんびりしてられるようになりました!念願のスローライフがついに達成できたんです!

ああ……夢に見た異世界スローライフがついに私の元にも…。

スローライフ中、つまり家にいる間に私がやることはもうだいたい決まってる。

レシピを完成させた本物の回復薬トゥルーズ・ポーションを作ったり、まだ作れていないレシピを編み出すために研究を重ねたり、あるいは今ある食材とかで料理レシピを作ったり。

イセカイゴッドからもらった4冊の本のうち、白紙なのが2冊あったじゃないですか。そのうちの一冊、藤色の本に作った料理レシピを書いてます。だって、書いとかないと忘れるじゃん。

ちなみに、この3ヶ月で開発できた本物の回復薬トゥルーズ・ポーションのレシピはこちら。


深海の回復薬マリン・ポーション:上級魔力回復薬の本物の回復薬トゥルーズ・ポーション。MP2000回復。
材料…紅の泉、白銀草、銀河狼の尾、水】


半年間、調薬をやり続けてきて、はじめてまともなネーミングの素材と出会いましたよ。紅の泉というのは薄紅色の甘い蜜で、白銀草というのも名の通り綺麗な銀色のユリの葉っぱみたいな形の草だ。

どうよ!私のツッコミ属性が少しは改善されているだろう!!ふはははは!!

……とか笑ってる場合では本当はないんです。私はツッコミ(つまり私の疲労)が減ったことをとてみ喜ばしいと思っているんだが、それを快く思ってない輩がおりまして……。


『今日は一段と目の下のクマがひどいね。寝不足かな?』


「あんたのせいだっつーのーーー!?」

イセカイゴッドの手紙をテーブルに全力で叩きつけ、私は叫んでやった。昨日の夜に長ったらしい手紙を送ってきたからだろうが!読み終わった時には夜明け寸前だったぞ!?嫌がらせかこのヤローー!!

このようなおちょくり?の手紙が、1ヶ月ほど前から数日おきに届く。おい、この世界はノータッチとか言ったのはどこのどいつだよ。がっつり食い込んでるじゃないか!

ついでに1ヶ月前というのは、私のツッコミが少々改善されはじめた時期でして……。

「そんなに私にツッコんで欲しいのか!?この神は!」

イヤイヤ、私はわかっている。こいつは私がツッコむところを見て爆笑するのが目的だ。もうツッコんでる時点で奴の思うままなんだが、何度だって言ってやる。これがツッコまずにやってられるかーー!!

「おーい、センー!今日魚釣りに行くんじゃなかったのかー?」

寝室の外から、ノルの寝ぼけた声が聞こえてくる。あいつ……正午に起きる習慣、まだ直せていないのか。

「わかってるー!食事は机の上に並べておいたからー!」

キッチンにあるから温め直しといてー!とか怖くて言えない。ノルはまだまだアホの塊なんですよ?そんなこと言ってみやがれ。釣りから帰ってきたらキッチン吹っ飛んでるわ。

「おー……zzz」

……今、ノルの言葉の最後の方に睡眠を示す音が聞こえたような気が…。あの世間知らず、正午まで寝ておいてまだ寝るか。

だが、ノルの生活週間については私はもう匙を投げている。まあ、ノルの仕事といえば森でモンスター狩って回復薬の素材を集めるだけだし、今はただスローライフしてるだけだからいっか……と半ば諦めています。

いつものごとく、イセカイゴッドからの手紙は分解スキルで粉々のバラバラの塵に分解する。もう一切合切痕跡も残らないくらいにまったく清々しい朝には程遠いけど今から出かけてくるか。

異次元収納の中にお手製の釣竿とハロロ(ミミズ)が入ってることを確認し、私は席を立つ。
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