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きゅう

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この生活に慣れて、城の中を案内できるほどに詳しくなった頃
急にレイヴァンさんに共に食事をとらないかと誘われた
何故、急にそのようなことを言ってきたのかは疑問だけど断る必要もないので了承して今に至る

「…」
「…」

何も話さずに目の前にある料理を黙々と食べていく
これでは、一人で食べていることとあまり代わりがないのではないかと
というよりも、むしろ一緒に食べているという事で少し緊張しているため、食べづらかったりする

「…」

それにしても、こちらに来たときからずっと思っていた不思議のひとつなのだが
今、レイヴァンさんが食べている食事はいったい何処に消えているのだろうか

初めて紅茶を飲んでいる姿をみたときも疑問に思っていたのだが、改めて見ていると不思議だ

「……魔力に変わる」
「へ…?」

ずっとレイヴァンさんをみていたからか文句を言われたのかと思ったがどうやら違ったようで
私はなんと言われたのかわからなくってポカンとレイヴァンさんを見ていると
レイヴァンさんは持っていた食器を置いた

「前に伝えたと思うが、その身体は我と繋がっている為、思想や考察がわかる」
「あ、そうでしたね…」

ということは、先ほどの不思議に思っていたことが伝わっていたらしく
それについての答えを教えてくれたようだ

「えっと、…魔力に変わるってことは食事をすることが大事ってことですか?」

もし、そうだとしたら不便な世界だと思う
食べないと魔力を回復できないとは面倒ではないかと

「別に食べなくてもよい。 腹が膨れるものでもなければ、減るということもない。味もわからんしな」

なら、何故食べているのかわからない

「…お前に合わせているだけだ」
「……、私に?」

確かに、この体シャルクスはご飯を食べないと生きていけない
その為に、今のうちから練習をしているということなのだろう

「そう言う事ではないのだが… まぁ、良い」

人が食器を持つように、レイヴァンさんも使いなれているかのように食器を持つ

どうして、食器を使うのが上手なのだろうか。
まず、魔法が使えるのだから持って使う必要がないだろう

「…疑問は言葉にしろ」
「あ。」
「質問があるのなら、答えられる範囲で教えてやる」

いつの間にかレイヴァンさんの前にあった食事も持っていた食器も消えており
かわりに何処かからかティーカップとティーポットが現れた

「で、何か聞きたいことはあるのか?」
「…その中身はコーヒーですか?」

表情は読み取れないはずなのだが
たぶん今、呆れられたと思う

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