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ごう

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「っ!!! オルクス様! この女はなんなのですかぁ!!」
「…我のものだ」
「!!!?」

レイヴァンさんの言っていることは間違っていないが
その言葉ではちゃんとした理由まではわからないだろう

私はレイヴァンさんに連れられて
魔王のお城レイヴァンの家を探検しているところでであったナイスバディのお姉様に睨まれていた

「こ、こんなちんちくりんな女のどこがぁっ!!!」

この体も別に変とか醜いとかというわけではない
令嬢にしては筋肉がついていると思うし、でこぼこはあまり無いけどスラッとしてて素敵である

「我はこれを求めていたのだ」
「…」
「な、…ど、どうして! ずっと側にいた私じゃなくってこんな女にっいぃ!!」

どんどん悪い方向になっていることはわかるが止めずに私は聞いていた

ナイスバディのお姉様は綺麗な真っ黒な髪に隠せているかどうか際どい服を着ていて
頭には羊のような角、背には小さな黒い羽、どこから出ているかわからないしっぽがついている

絶対私には無理だわ

服にしろそこまでの執着心?にしろ

「許さない…」
「メロディ、シャルクスを傷つけたらどうなるかわかるよな」
「っつ!!」

シャルトの体を使いたがっているから傷つけたら許さん
て事だろうけど、そういわないとダメだと思うが
もしかして、わかっててやっているのだろうか
いや、気づいていなそうだ

紳士的なところあるけど、どこか抜けてる感じするし

「えっと、レイヴァンさん 話が戻れなくなりそうなんですけど」

私がちゃんと説明しようと口を挟むと
メロディと呼ばれたお姉様に襟を捕まれた

「人間に処刑されそうになってた令嬢が、オルクス様の事を別名で呼ぶですって…?」

レイヴァンさんの名前を呼んだことで怒りに触れてしまったらしい
別名で呼ぶと言うことはそういう仲だというようなものだと言われたし

「メロディ、止めなさい。 オルクス様がお怒りになる前に」
「……うるさいわよ ディーロン」
「オルクス様はそこの元令嬢の器が欲しかっただけです 心や魂、体が欲しいわけではない」

いつの間にかメロディに似た綺麗な人が私の後ろに立っていた
真っ黒な髪をオールバックにしており
きっちりとした執事のような服を着こなしてる
右の片腕は無いようで袖が縛られていた

「…体の関係が目的ではない?  体が目的… あぁ、この間の会議で新しい体を見つけたってやつ?」
「えぇ、どうやら なにか問題があったようですが」

私を冷めた目でみる

「オルクス様は人ではないでしょうが。
性別など関係ないウィッチスケルトンの特殊上位種であり我々の王だ」

私はこの言葉に対して疑問を浮かべたが、それがなんなのかこのときの私にはわからなかった

「…それもそうね。 取り乱しましたわ」

私の襟をようやく離して美しく一礼した

「オルクス様、取り乱したりして申し訳ありません。 それと、シャルクスでしたっけ? 急に怒鳴り付けたり、掴みかかったりと失礼しました」
「かまわん。 月満ちる時間に会議を行う準備は任せる」
「「はっ!」」

二人は頭を垂らしたあと、暗い靄の中に消えていった
先程までうるさかったのが嘘のように廊下は静まる

「…お二人はご兄弟ですか?」

見た目も名前も似てるし

「姉弟だ」
「名前をつけたのは?」
「…我が師だが?」

名前センスは引き継がれるらしい

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