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さん

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「センスがすごいわ」

目を覚ますと寒色系と黒で整えられた部屋のベットの上にいた
私の部屋ではないことはすぐにわかるほどごてごてとしている
シンプルイズザベストの私からしたらあり得ない部屋だ

「…骸のお家かしら」

お家と言って良いのかわからないレベルの部屋の大きさなのだ
屋敷とか館、城と言った方がしっくりくるレベルだ

「…服はそのままなのね 適当なものないかしら」 

別に体を見られることに抵抗があるとかではないけど
次にあったときにどんな顔をして良いのかわからないもの
何気に紳士的なところに驚いていた

私はクローゼットの中にあった男物の服を着る
ドレスは流石に着ることができないためだ
私はこのシャルトの記憶がない
体に染み込んでいるかも知れないが、今わかることで何とかした方が良いだろう

「…鏡がないからちゃんと着れてるかわからないわね」

とりあえず着替え終わったので扉の近くにあったソファに座る
勝手にここからでて迷子になっては困るからだ

「…まさか、それを着こなすとはな」

まるで、準備ができたことがわかったかのように
扉からではなく急に目の前に出てきた

「着こなしているのだったらよかったわ」
「…令嬢がそれではダメだと思うがな」

骸はあの時とは服装が違い
紫と黒で統一されたお高そうな服を着ていた
きっちりとした服ではないためか骸らしさは感じなかった

…まあ、骸なんだけど

なんといえばいいのか
細すぎるってことがわからないと言えば良いのか
まるで、頭と手だけが骨で体には肉があると思うかのような

「…失礼な令嬢だ」
「あら、私の考えていることがわかるの?」
「当たり前だ。 その体は我のものだからな」

魔法で読めてますとか言われるのかと思っていたがまさかの答えだった

この体が骸のもの…?

「口に出して言え
が、まずは骸と呼ばれ続けるのも気に入らんな」

どこかからかティーポットとカップが出てきて紅茶が注がれている

「我はオルクス・レイヴァン・マーギア 好きに呼べ」

好きに呼べと言われても困る
名前も長すぎてどこを呼べば良いかわからない

「…長いわ 他の人からは何て言われてるの?」
「奴らには本命は伝えておらん。」
「え?」
「魔王様だとか我が王、オルクス様と呼ばれておるな」

聞き捨てならない言葉が聞こえた気がした

王様だったことはまだ気にしないこととしよう
まぁ、すっごく気になるとこだけど
魔王様ってのはアウトでしょ

「貴様が契約をした相手が我だ」
「…えっと、この体のシャルトって令嬢さんが契約した?」

渡された紅茶に口をつけることができない
喉はすごく渇いていることがわかるのに飲めない

「…貴様はシャルトではないのだろうが、その体は我のものである」

つまり、この体のシャルトって令嬢さんは死ぬことがわかって目の前にいる骸改め、レイヴァンさんと契約をしたと
で、シャルトさんの魂は消え中身のなくなった体を手に入れたはずだったが
私がこの体に入ってしまったってことかしら

契約上ではこの体はレイヴァンさんのものだから私は処刑されることなく助かったってこと?

「まさか、我が入る前に知らぬものに入られてるとはな」
「…この体目当て?」
「あぁ。 …はぁ、人や生物とは違いその体に性別的な魅力があるというわけではない
我が入るには問題ないという訳でだ」

私は失礼なことを考えてしまっていたらしく、それを読まれたことがわかり少し反省

「その体には人では手に終えない程の魔力があり、その魔力を押さえておける体なのだ」

何となくだがわかったような気がする
この体はレイヴァンにとってはちょうど良い体なのだろう
そこはわかったが、新たな疑問が浮上した

「…どうして、人になりたいの?」
「別に人間などにはなりたくない」
「でも…」
「我の新たな体として使えるものがそれ人間だっただけだ」


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