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結婚式
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よくあるチェーンのその居酒屋の最大の取柄は、半個室の造りと適度な混み具合だろうと雪季は思った。価格設定が安いこともあって、やたらとにぎやかな大学生の集団もいる。
通常であればマイナスになりそうな点だが、よほど大声でも出さない限り、あまり周囲に会話を聞かれないだろうところはかなりの利点だ。
「一応既婚者だけどそういうの関係ない人たちだから、気を付けた方がいいよ」
「へーそれは逆にやりやすそうで助かります」
特に、このコンビの会話は選ぶ単語自体はぼかしているのに内容が結構えげつないのでうっかり聞いてしまった人が気の毒になりかねないのでありがたい。興味津々に聞かれても困るが。
やはり話が合ってるなと、雪季は、烏龍茶のグラスを傾けながら思う。
やや呆れ気味な視線には気付いているだろうが、二人の言葉のやりとりは止まらない。合間に、酒のグラスがどんどん空いていくのが何とも言えない気分になる。雪季は、今日は運転手を兼ねているので飲めない。
「…河東」
「んー?」
「飲むなら何か食べろ。胃が荒れる」
先ほどから、グラスばかりが空になっている。その間つまんだものといえば、せいぜいが枝豆やトマト。それも、ほんの少しだ。
「えーだって俺さっき結構食べたし」
「せめてチーズくらい齧っとけ」
「はいはい」
大人しく手を伸ばした英から視線を逸らすと、何故かこちらも目線を逸らしていた彼女のものとぶつかった。
「アキ?」
小声で呼びかけると、そっと身を寄せて、小声で返してくる。
「デジャヴっていうかお嬢とあたしもこんな感じかなーとか思うとちょっと目が遠くなるよね」
「どういう表現だ」
言っていることがわかるようなわからないような。
そして彼女が隠したがった「お嬢」のことは、早々にばれた。
正確には、「お嬢」が誰かを英は知らないままだし詮索はしないとも宣言した。正直その宣言には飲み物を訊いて来るのと変わらない調子で嘘をつく英が相手では意味がないとは思うが、知ったところでそれほど問題はないだろうとも思う。
では何がばれたかと言えば、明音が情報を売り買いする大学院生というだけではなく、主持ちだということだ。情報屋は主を護るための副産物のようなもので、本業ではない。
「…そんなに過保護に見えるか?」
「あたしとお嬢を乳母やと姫って言うならお母さんと子どもみたいな?」
「………そうか」
以前口にした言葉を返され、軽く瞑目する。とてつもなく厭だが、嫌がらせや何らかの意趣返しというわけではなく、素直な感想なのだろう。それがわかるだけに、何とも言えない気分になる。
不意に、視線に気付いて顔を上げると、英がこちらを見ていた。表情が消えている。が、雪季が見たことに気付くとへらりと笑みを浮かべる。視線は、明音へと向けた。
「ところで、明音ちゃんの目的って?」
「ええーそれ訊いちゃう? これでも一応守秘義務ってのがあるんですけどー」
「誰にも話さないって、ここだけの話にするから。な、雪季?」
こっちに話を振るな、と思うが、そもそも雪季と明音のつながりがなければ接触があったとしてももう少し違ったものになっただろう。そう考えると、無下にもし難い。
「…悪い、保証できない」
「…雪季酷くない?」
「お前の日ごろの行いのせいだろ」
「えー。なんだよ、酒飲めないからってへそ曲げた? だからタクシーでもいいって言ったのに」
「正当な評価だと思うが」
今回の付き添いに車を選んだために今酒が飲めないのは事実だが、タクシーや電車を使うという話は出なかったはずだ。いちいち指摘するつもりもないが、そういうところなんだよな、とは思う。
明音もいくらでも平然と嘘をつくし、雪季だってしれっと事実と異なることくらい言える。ただ英のそれは、理由や意味がないことも多いという点において性質が違うように思える。時によって英の嘘は、右足から踏み出すか左足から踏み出すか、その違いでしかないのだろう。
居酒屋特有のアルコール分の少ないカクテルのコップを傾けながら英と雪季の会話を聞いていた明音は、不意に笑みをこぼした。雪季が気付いたことに気付くと、グラスを置いてにっこりと微笑む。
「知らなかったなあ。セツ君にも、ちゃんと友達いたんだ。よかったね」
「…そんなにいないように見えるか…?」
「見えるんじゃなくて、いなかったでしょ、事実」
きっぱりとした言葉に英が爆笑しているが、無視を決め込む。
結愛にも似たようなことを言われたが、それほどだろうかと己を振り返り、案外彼女たちの言葉が外れていないことに気付いて頭を抱えたくなる。
両親が健在だった頃の、小学生だった時には考えることもなく友人がいた気がするが、中高とやりすごすうちにすっかり疎遠になっている。結愛が唯一の例外だ。
その後、バイト先や準備のために潜り込んだ中で親しく付き合う人や恋人はいても、傍からそう思われるようにしただけで実際にそうだったわけではない。
明音だって似たようなものではないのかと思うが、考えてみれば彼女は、器用にもちゃんと学生生活も楽しんでいる様子だった。彼女の「主」でさえ、友人の枠に入っていておかしくはない。
「そう言う二人の関係は?」
さくりと投げ落とされた声に、雪季は明音と顔を見合わせる。さてどういう関係だろうと、改めて考えるとよくわからない。
「同僚…に、近い…?」
「それでいくとアキが先輩になるが…まあそんなところか…?」
何より、明音は情報の売り買いや多少人を陥れるようなことはしても殺人まではしてはいないだろうが、彼女の線引きでは同類となるらしい。
互いに首を傾げ合っていると、英までが、おそらくは半ば面白がって真似て来た。
「元カレ元カノとかじゃなく?」
「んー。それはそれで、そもそもどうして知り合ったってなってくると、やっぱり同僚が近い気がします。何やかんや言っても、狭い業界だし。あたしの方はともかく、セツ君みたいなのはさすがに高校生デビューって珍しいし。うっかり暴力沙汰とか半分事故でとかで転がり落ちてくるのはあっても、そういうのは飽くまできっかけですしねー」
結構有名人だったよね、名前ほど顔は知られてなかったけど。
あっさりと話す明音に、雪季は喋りすぎだと視線で訴える。それで気付いたのか、グラスを傾けて一度言葉を止めた。
別に隠すようなことではないが、何をどうからかいのネタにしてくるかわからない英が相手なので、もう少し自重してほしい。
相槌の間合いや、ちゃんと話を聞いていると知らせるような態度なのに適度に距離を置くあたりが話しやすいのだろうとはわかるのだが。
「要は同年代が少ないから、なんとなく顔を合わせる機会も多くてつるむこともあったというだけで」
「ふうん。明音ちゃん?」
「はい?」
「俺たちの三つ下で、今は院生なんだったね」
「はい」
「博人さんはちゃんと指導とかできてる? 博人さんもその婚約者も、今日は出席してなかったみたいだけど、元気でやってる?」
明音の笑顔が固まった。やや置いて、体ごと振り向いて雪季を見るが、首を振るしかない。雪季は何も言っていない。
英は、そんな二人の様子にも笑みを崩さず、手に持ったグラスを回すように揺らす。
「俺のところにも情報通はいるんだ。あと、博人さんの婚約者にはちょっとだけ会ったことがあるしその時明音ちゃん、近くにいただろ?」
「うわー…これだからあんまり触りたくなかったんだよねこの人…」
「アキ。心の声が漏れてる」
「いや別に心の声とか違うし。ただの愚痴だし。今一瞬ちょっと鳥肌立ったし。思ってた以上なんだけど。言っちゃなんだけど、これに対抗しようとしてるとか、間宮の係累馬鹿なの? あとついでにこれをいい人なんて言っちゃう加賀谷さんの人を見る目のなさに軽く絶望するんだけど!?」
加賀谷博人という名が、雪季には心当たりがあった。
同姓同名でなければ、仕事絡みで知り合った一人だ。ほんの少し紛れた手伝い先のバイトなど向こうは覚えていないだろうが、まさか彼が明音の主人と付き合っているとは思ってもみなかった。その上、彼を介して、英と明音につながりがあったとは。
案外世の中というのは狭いものだと、溜息をつきたくなった。
「ああ、さっき言った父や兄たちの話は、嘘は混ぜてないし好きに扱っていいよ」
「ありがとーございまーす」
棒読みのような声。出し抜かれたようで、ふてくされているのだろうか。
「…アキ。その加賀谷博人さんって、研究馬鹿?」
「え。うん」
ほぼ即答で、それはそれでどうかと思う。思うが、おかげで確信が持てた。
「それなら、何かはっきりとした理由がなければ河東はその人の邪魔はしないと思う。あと多分、その理由にお金は入らない」
「へ?」
「だろ」
目を丸くした明音から視線を移して英を見ると、わずかに拗ねたようなそぶりを見せたが、隠すようにグラスを干した。雪季が黙って返事を待っていると、わざとらしく溜息を吐く。
「なんで?」
「前にお前が言ってた研究馬鹿って、その人だろ」
「…なんでそんなことまで覚えてるかな」
「えーと? これ、あたし安心していいの? 信じていいの? 騙そうとしてたりしない、セツ君?」
「アキを騙すと百倍くらいで返されそうだからやらない」
そろそろ腹に溜まるものが食べたくなって、おにぎりをたのんだ。英と明音にも訊いたが、いらないとの返事でそれぞれの飲み物だけを追加する。
ところで結局、これは何の飲み会だったのだろうと、おそらくは原因になった雪季はぼんやりと考えた。
通常であればマイナスになりそうな点だが、よほど大声でも出さない限り、あまり周囲に会話を聞かれないだろうところはかなりの利点だ。
「一応既婚者だけどそういうの関係ない人たちだから、気を付けた方がいいよ」
「へーそれは逆にやりやすそうで助かります」
特に、このコンビの会話は選ぶ単語自体はぼかしているのに内容が結構えげつないのでうっかり聞いてしまった人が気の毒になりかねないのでありがたい。興味津々に聞かれても困るが。
やはり話が合ってるなと、雪季は、烏龍茶のグラスを傾けながら思う。
やや呆れ気味な視線には気付いているだろうが、二人の言葉のやりとりは止まらない。合間に、酒のグラスがどんどん空いていくのが何とも言えない気分になる。雪季は、今日は運転手を兼ねているので飲めない。
「…河東」
「んー?」
「飲むなら何か食べろ。胃が荒れる」
先ほどから、グラスばかりが空になっている。その間つまんだものといえば、せいぜいが枝豆やトマト。それも、ほんの少しだ。
「えーだって俺さっき結構食べたし」
「せめてチーズくらい齧っとけ」
「はいはい」
大人しく手を伸ばした英から視線を逸らすと、何故かこちらも目線を逸らしていた彼女のものとぶつかった。
「アキ?」
小声で呼びかけると、そっと身を寄せて、小声で返してくる。
「デジャヴっていうかお嬢とあたしもこんな感じかなーとか思うとちょっと目が遠くなるよね」
「どういう表現だ」
言っていることがわかるようなわからないような。
そして彼女が隠したがった「お嬢」のことは、早々にばれた。
正確には、「お嬢」が誰かを英は知らないままだし詮索はしないとも宣言した。正直その宣言には飲み物を訊いて来るのと変わらない調子で嘘をつく英が相手では意味がないとは思うが、知ったところでそれほど問題はないだろうとも思う。
では何がばれたかと言えば、明音が情報を売り買いする大学院生というだけではなく、主持ちだということだ。情報屋は主を護るための副産物のようなもので、本業ではない。
「…そんなに過保護に見えるか?」
「あたしとお嬢を乳母やと姫って言うならお母さんと子どもみたいな?」
「………そうか」
以前口にした言葉を返され、軽く瞑目する。とてつもなく厭だが、嫌がらせや何らかの意趣返しというわけではなく、素直な感想なのだろう。それがわかるだけに、何とも言えない気分になる。
不意に、視線に気付いて顔を上げると、英がこちらを見ていた。表情が消えている。が、雪季が見たことに気付くとへらりと笑みを浮かべる。視線は、明音へと向けた。
「ところで、明音ちゃんの目的って?」
「ええーそれ訊いちゃう? これでも一応守秘義務ってのがあるんですけどー」
「誰にも話さないって、ここだけの話にするから。な、雪季?」
こっちに話を振るな、と思うが、そもそも雪季と明音のつながりがなければ接触があったとしてももう少し違ったものになっただろう。そう考えると、無下にもし難い。
「…悪い、保証できない」
「…雪季酷くない?」
「お前の日ごろの行いのせいだろ」
「えー。なんだよ、酒飲めないからってへそ曲げた? だからタクシーでもいいって言ったのに」
「正当な評価だと思うが」
今回の付き添いに車を選んだために今酒が飲めないのは事実だが、タクシーや電車を使うという話は出なかったはずだ。いちいち指摘するつもりもないが、そういうところなんだよな、とは思う。
明音もいくらでも平然と嘘をつくし、雪季だってしれっと事実と異なることくらい言える。ただ英のそれは、理由や意味がないことも多いという点において性質が違うように思える。時によって英の嘘は、右足から踏み出すか左足から踏み出すか、その違いでしかないのだろう。
居酒屋特有のアルコール分の少ないカクテルのコップを傾けながら英と雪季の会話を聞いていた明音は、不意に笑みをこぼした。雪季が気付いたことに気付くと、グラスを置いてにっこりと微笑む。
「知らなかったなあ。セツ君にも、ちゃんと友達いたんだ。よかったね」
「…そんなにいないように見えるか…?」
「見えるんじゃなくて、いなかったでしょ、事実」
きっぱりとした言葉に英が爆笑しているが、無視を決め込む。
結愛にも似たようなことを言われたが、それほどだろうかと己を振り返り、案外彼女たちの言葉が外れていないことに気付いて頭を抱えたくなる。
両親が健在だった頃の、小学生だった時には考えることもなく友人がいた気がするが、中高とやりすごすうちにすっかり疎遠になっている。結愛が唯一の例外だ。
その後、バイト先や準備のために潜り込んだ中で親しく付き合う人や恋人はいても、傍からそう思われるようにしただけで実際にそうだったわけではない。
明音だって似たようなものではないのかと思うが、考えてみれば彼女は、器用にもちゃんと学生生活も楽しんでいる様子だった。彼女の「主」でさえ、友人の枠に入っていておかしくはない。
「そう言う二人の関係は?」
さくりと投げ落とされた声に、雪季は明音と顔を見合わせる。さてどういう関係だろうと、改めて考えるとよくわからない。
「同僚…に、近い…?」
「それでいくとアキが先輩になるが…まあそんなところか…?」
何より、明音は情報の売り買いや多少人を陥れるようなことはしても殺人まではしてはいないだろうが、彼女の線引きでは同類となるらしい。
互いに首を傾げ合っていると、英までが、おそらくは半ば面白がって真似て来た。
「元カレ元カノとかじゃなく?」
「んー。それはそれで、そもそもどうして知り合ったってなってくると、やっぱり同僚が近い気がします。何やかんや言っても、狭い業界だし。あたしの方はともかく、セツ君みたいなのはさすがに高校生デビューって珍しいし。うっかり暴力沙汰とか半分事故でとかで転がり落ちてくるのはあっても、そういうのは飽くまできっかけですしねー」
結構有名人だったよね、名前ほど顔は知られてなかったけど。
あっさりと話す明音に、雪季は喋りすぎだと視線で訴える。それで気付いたのか、グラスを傾けて一度言葉を止めた。
別に隠すようなことではないが、何をどうからかいのネタにしてくるかわからない英が相手なので、もう少し自重してほしい。
相槌の間合いや、ちゃんと話を聞いていると知らせるような態度なのに適度に距離を置くあたりが話しやすいのだろうとはわかるのだが。
「要は同年代が少ないから、なんとなく顔を合わせる機会も多くてつるむこともあったというだけで」
「ふうん。明音ちゃん?」
「はい?」
「俺たちの三つ下で、今は院生なんだったね」
「はい」
「博人さんはちゃんと指導とかできてる? 博人さんもその婚約者も、今日は出席してなかったみたいだけど、元気でやってる?」
明音の笑顔が固まった。やや置いて、体ごと振り向いて雪季を見るが、首を振るしかない。雪季は何も言っていない。
英は、そんな二人の様子にも笑みを崩さず、手に持ったグラスを回すように揺らす。
「俺のところにも情報通はいるんだ。あと、博人さんの婚約者にはちょっとだけ会ったことがあるしその時明音ちゃん、近くにいただろ?」
「うわー…これだからあんまり触りたくなかったんだよねこの人…」
「アキ。心の声が漏れてる」
「いや別に心の声とか違うし。ただの愚痴だし。今一瞬ちょっと鳥肌立ったし。思ってた以上なんだけど。言っちゃなんだけど、これに対抗しようとしてるとか、間宮の係累馬鹿なの? あとついでにこれをいい人なんて言っちゃう加賀谷さんの人を見る目のなさに軽く絶望するんだけど!?」
加賀谷博人という名が、雪季には心当たりがあった。
同姓同名でなければ、仕事絡みで知り合った一人だ。ほんの少し紛れた手伝い先のバイトなど向こうは覚えていないだろうが、まさか彼が明音の主人と付き合っているとは思ってもみなかった。その上、彼を介して、英と明音につながりがあったとは。
案外世の中というのは狭いものだと、溜息をつきたくなった。
「ああ、さっき言った父や兄たちの話は、嘘は混ぜてないし好きに扱っていいよ」
「ありがとーございまーす」
棒読みのような声。出し抜かれたようで、ふてくされているのだろうか。
「…アキ。その加賀谷博人さんって、研究馬鹿?」
「え。うん」
ほぼ即答で、それはそれでどうかと思う。思うが、おかげで確信が持てた。
「それなら、何かはっきりとした理由がなければ河東はその人の邪魔はしないと思う。あと多分、その理由にお金は入らない」
「へ?」
「だろ」
目を丸くした明音から視線を移して英を見ると、わずかに拗ねたようなそぶりを見せたが、隠すようにグラスを干した。雪季が黙って返事を待っていると、わざとらしく溜息を吐く。
「なんで?」
「前にお前が言ってた研究馬鹿って、その人だろ」
「…なんでそんなことまで覚えてるかな」
「えーと? これ、あたし安心していいの? 信じていいの? 騙そうとしてたりしない、セツ君?」
「アキを騙すと百倍くらいで返されそうだからやらない」
そろそろ腹に溜まるものが食べたくなって、おにぎりをたのんだ。英と明音にも訊いたが、いらないとの返事でそれぞれの飲み物だけを追加する。
ところで結局、これは何の飲み会だったのだろうと、おそらくは原因になった雪季はぼんやりと考えた。
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