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その日 2006/7/29
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「ねえねえ、今日が何の日か知ってる?」
満面の笑顔の幼馴染に、冷たい視線を一瞥。
「正月は終わったな」
「そうそう、一年で一番おめでたくッてねー、って、何ヶ月前の話だよ!」
うるさい日が来た、と思う。知っているも何も、一月も前からさりげなく(と本人は思っているらしい)喧伝されれば、忘れたくても忘れられない。
しかもそれが、十年以上も。生れ落ちたときからの幼馴染という事実を、葬り去りたくなる期間だ。
「わかった。今年は何が食べたい?」
「…あのさ、そのまえに、もっと何か言葉はないわけ?」
「無駄は省きたい性分なんだ」
「いいよもう…夏のタルトとスイカの共演」
「相変わらずチャレンジャー」
年に一、二度行くだけの喫茶店のメニューを丸暗記している変な奴だと思いながら、それが大体でも判ってしまう自分も、何か厭だ。
鈍く澄んだ音を立てて、喫茶店の中に入った。
そうして、どうせ、一日が終わる前には「誕生日おめでとう」と言わされてしまうのだろうと、観念するのだった。今や、毎年恒例の行事だ。
満面の笑顔の幼馴染に、冷たい視線を一瞥。
「正月は終わったな」
「そうそう、一年で一番おめでたくッてねー、って、何ヶ月前の話だよ!」
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しかもそれが、十年以上も。生れ落ちたときからの幼馴染という事実を、葬り去りたくなる期間だ。
「わかった。今年は何が食べたい?」
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「無駄は省きたい性分なんだ」
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